第449回「知を編む人びと―江戸時代の蔵書文化―」

歴博講演会

開催要項

日程

 2024年1月13日(土)

講師

工藤 航平(本館歴史研究系准教授)

講演趣旨

徳川政権のもと平和な社会が続いた江戸時代、文字文化の浸透を背景に人びとは大量かつ多様な情報に接することができました。一方で、情報にアクセスできることと、知識を形成することは同じではありません。人びとは溢れる情報をいかに収集し、取捨選択し、分析し、自らの知識・技術として獲得していったのでしょうか。

本講演では、江戸時代に生きた全国各地の〝普通の〟人びとの知識形成のありようについて、編纂・蔵書という切り口から読み解きます。

当時の人びとが認識した「蔵書」とは、単なる書籍(版本・写本)の集合体ではなく、さまざまな特性をもった情報、それを個人の課題や興味関心に基づいて集積した固有の知-地域〈知〉-そのものだったのです。

編纂物や蔵書を紐解くことで、いわば〝名も無き〟人びとが編んだ豊かな知的営為の世界をみてみたいと思います。