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- 「日本の食の風景-「そとたべ」の伝統-」
特集展示(第4展示室)
「日本の食の風景-「そとたべ」の伝統-」
開催概要
開催期間 | 2020年9月15日(火)~11月29日(日) |
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会場 | 国立歴史民俗博物館 第4展示室 特集展示室 |
料金 | 一般600(350)円/大学生250(200)円 高校生以下無料 ( )内は20名以上の団体 ※総合展示もあわせてご覧になれます。 |
開館時間 | ~9月 9:30 ~ 17:00(最終入館は16:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(休日の場合は開館し、翌日休館) |
主催 | 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 |
趣旨
日本の現在の食文化を形づくってきている歴史的な大きな契機としては、中世の禅宗寺院の料理からの影響が大きいことが知られています。貴族、武家、有力商人が集住した室町時代の京都では独自の文化が醸成され、そうした中で、武家の饗応料理として発達した本膳料理の形式がととのえられてきました。
その一方で、江戸時代の町方では一般の町人たちは蕎麦や寿司、天ぷら、うなぎなどの屋台の店を愛用していたことも知られています。また、旅先や寺社参詣では茶店で楽しむ団子や餅がつきものでした。農村では、田植えの時にヒルマモチとかオナリと呼ばれる女性が運んでくる昼食や朴葉飯などの田植え食が伝承され、ここには本膳料理とか老舗の料理などの格式ある食とは別の、もう一つの日本の食の伝統がありました。現在にも伝承されている外でちょっと食べる「そとたべ」の民俗からは、遊び・行事の日のそとたべと仕事・労働の日のそとたべとの両方があることがわかります。
本展示では、このような「そとたべ」の日本の食の歴史と民俗に注目して、外で食べることの意味について、あらためて考えてみます。
みどころ
・「四条河原納涼図屏風」の川床、農村や漁村の盆の行事の中で河原や浜辺での飲食。お膳や食器に盛られる「いえたべ」と重箱詰めの「そとたべ」のちがいがみえてくる。
・「三代歌川豊国画 冬の宿 嘉例の寿々はき」に描かれているおむすび。丸いおむすびと三角のおにぎりの重なる歴史がみえてくる。
・春の山遊びや花見の弁当箱、漁師の弁当箱。弁当箱には、実用の工夫と遊び心の2つがみえてくる。
主な展示資料
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三代歌川豊国画 冬の宿 嘉例の寿々はき(部分)個人蔵 |
・四条河原納涼図屏風
・花見の戯れ
・歌川広重画 江戸高名会亭尽(山谷八百善、白山傾城か窪、他)
・新版御府内流行名物案内双六
・歌川国貞画 十二代目市村羽左衛門の下男新作と坂東しうかの是斎娘おつゆ
・三代歌川豊国画 八代目市川団十郎の南与兵衛(個人蔵)
・三代歌川豊国画 冬の宿 嘉例の寿々はき(個人蔵)
・花見弁当箱
・チゲ(漁業用弁当箱)
・旧侯爵木戸家資料(アルバム)
・おでん屋呑喜関係資料(写真額、色紙、掛売帳、暖簾、他)
・民俗写真資料(写真提供 芳賀ライブラリー)
花見、屋台、ひな祭りの河原での飲食、花田植えの昼飯(ひるま、朴葉飯)、
盆の河原での飲食、奄美の一重一ビン、他
など計約30点(一部個人蔵、芳賀ライブラリー提供以外すべて当館蔵)
但し、会期中、展示替えを行います。
【展示代表】
関沢 まゆみ(国立歴史民俗博物館 民俗研究系 教授)
専門は、社会・信仰・儀礼に関する民俗学的研究。
主な編著書に『日本の食文化2 米と餅』(吉川弘文館、2019年)、『民俗学が読み解く葬儀と墓の変化』(朝倉書店、2017年)、『盆行事と葬送墓制』(吉川弘文館、2015年)など。
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1) 大道風俗絵巻/明治か/個人蔵 |
2) 農家のコビル/昭和30年代/写真提供:芳賀ライブラリー |
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3) 歌川広重画 江戸高名会亭尽 両国 青柳/天保後期/国立歴史民俗博物館蔵 |
4) 遊山箱/昭和/国立歴史民俗博物館蔵 |
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5) 三代歌川豊国画 冬の宿 嘉例の寿々はき/安政2年/個人蔵 |
6) 朴葉飯/写真提供:芳賀ライブラリー |