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「紀州徳川家伝来の楽器-こと-」

第3展示室(近世)特集展示「もの」からみる近世
『紀州徳川家伝来の楽器-こと-』

開催概要

開催期間 2021年5月25日(火)~ 7月4日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)特集展示室
料金

一般600円/大学生250円
高校生以下無料

※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
※料金が変更になる場合があります。

開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館)
主催 国立歴史民俗博物館

みどころ

●箏(そう)や和琴(わごん)、七絃琴(しちげんきん)など種類の異なるさまざまな「こと」の違いがわかります。
●一絃の琴や、中国の瑟(しつ)(二十五絃琴(げんきん))など珍しい「こと」が展示されます。

趣旨


鼓瑟 江戸時代 桐屋丹後作


和琴(銘「都風」) 室町時代

当館が所蔵する紀州徳川家伝来楽器コレクション(162件)は、主として紀州藩の第十代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ・1771~1853年)によって収集されたものと伝えられています。雅楽器を中心に、吹きもの(管楽器)・弾きもの(絃楽器)・打ちもの(打楽器)など各種の楽器や、楽譜、調律具、収納袋や箱などの附属品、さらに楽器にまつわる情報を記した附属文書から構成されており、楽器史や音楽史上きわめて重要な資料です。

今回の特集展示では、本コレクションの絃楽器の中から、「こと」、すなわち琴や箏の仲間の楽器をとりあげ、附属品や附属文書とともに展示します。現代では、「こと」といえば、13本の絃を張った箏のことを連想される方が多いかと思いますが、『源氏物語』に「きんのこと」(琴)、「そうのこと」(箏)、「びはのこと」(琵琶)の語が登場するように、「こと」は、古くはもっと広い意味の、絃楽器全体を示す用語でした。さらに、箏や琴に代表される細長い胴をもつツィター系の絃楽器(琴箏類)と、琵琶や三味線のように共鳴胴の先に棹が張り出した形態のリュート系の絃楽器とを区別する意味で、もう少し狭義に、前者を「こと」と呼ぶ場合があり、音楽学的にはこの用法が一般的です。コレクションの中には、雅楽に用いられる楽箏や和琴、江戸時代の文人に愛好された七絃琴のほか、鼓瑟(単に瑟とも。二十五絃琴)、板琴(一絃琴)など多彩な琴箏類が含まれます。

これら多彩な「こと」を比較できるように展示し、各々の楽器の構造的な特色や、歴史的な背景を概観します。

なお、本資料は最大級の日本古楽器コレクションとして広く知られており、平成17年度に特別企画「紀州徳川家伝来の楽器」、平成24年に企画展示「楽器を語る-紀州藩主徳川治宝と君子の楽-」を開催し、主要なものを紹介してきました。また、平成15年度に刊行した『国立歴史民俗博物館資料図録3 紀州徳川家伝来楽器コレクション』、および<データベースれきはく>において、その豊富な資料情報を公開しています。「笙」「琵琶」「笛」「琵琶Ⅱ」に続くこの特集展示においては、企画展示等に出品される機会の少ない資料についても、順次、展示・公開をすすめ、その全貌を紹介することを目的としています。

主な展示資料


箏(銘「君が千歳」) 万治年間(1658-1661) 神田治定作

紀州徳川家伝来楽器コレクションより

・箏(銘「君が千歳」) 1面 万治年間(1658-1661)神田治定作
・箏(銘「武蔵野」)  1面 天明年間(1781-1789)
・和琴(銘「都風」)  1面 室町時代
・和琴(銘「初音」)  1面 長禄3(1459)年
・七絃琴(銘「谷響」) 1面 
・琴案  1基 寛政10(1798)年 黙翁真剰作
・鼓瑟  1面 江戸時代 桐屋丹後作
・板琴  1面 江戸時代

など 約15点(すべて本館蔵)

 

【展示代表】

日高 薫 ひだか かおり (国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授)

専門分野:漆工芸史
主な研究テーマは、蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究、交易品としての
漆器をめぐる文化交流に関する研究。また、在外の日本関係資料の調査研究をすすめている。
東京大学文学部美術史研究室、共立女子大学国際文化学部研究助手を経て、1994年から国立歴史民俗博物館に所属。

 

1) 鼓瑟 江戸時代 桐屋丹後作

瑟は、「琴瑟相和す」のことば通り中国では琴と調和する楽器とされていた。徳川治宝の、中国古来の琴学への関心をうかがわせる資料。

2) 七絃琴 天明3(1783)年

古代中国に起源をもつ七絃琴は、奈良時代に伝来し、平安時代末頃から伝承が絶えていたが、江戸時代になって、明代の琴学がもたらされ、儒者・文人・武士らの間で愛好された。

3) 板琴 江戸時代

一枚の板に一本の絃を張っただけの板琴(一絃琴)は、在原行平が須磨の地に流されたときに心の慰めとして弾いた「須磨琴」に由来するとの伝説がある。

4) 和琴(銘「都風」) 室町時代

和琴は「やまとごと」とも読まれるように日本固有の楽器であり、日本古来の国風歌舞(くにぶりのうたまい)(御神楽・東遊など)の伴奏に用いられた。

5) 箏(銘「武蔵野」) 天明年間(1781-1789)

雅楽で用いられる楽箏。表面全体に金銀の蒔絵装飾で、秋草の咲く武蔵野の様子を表したもの。槽の部分に装飾を加える例はまれ。

6) 箏(銘「君が千歳」) 万治年間(1658-1661) 神田治定作

箏の両端(竜頭・龍尾)には、しばしば、金箔押玳瑁貼(きんぱくおしたいまいばり)・象牙象嵌・木画・蒔絵・螺鈿等の技法による華麗な装飾が施される。

7) 琴台(松竹梅螺鈿) 江戸時代

七絃琴をのせて演奏するための台。黒漆塗に細緻な螺鈿技法で、歳寒三友の意匠を表した中国風の琴台である。

8) 爪三種 江戸時代

箏を演奏する際に右手親指・人差指・中指にはめる懸爪。金色の爪は、天保6年(1835)、徳川治宝の楽箏の師である四辻公説が治宝に贈ったもの。

9) 爪袋匣 江戸時代

紀州徳川家には、箏爪用の錦の爪袋10点が伝来する。この箱は、爪袋を保管する唐櫃形の箱。金砂子を撒き、蝶と鳥の模様を描く華麗なもの。

すべて本館蔵