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「桜の意匠」「海を渡った漆器Ⅲ-輸出漆器の技法」「大津絵と江戸の出版」

第3展示室(近世)特集展示「もの」からみる近世
『桜の意匠』

開催概要

開催期間 2021年3月16日(火)~4月11日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)特集展示室
料金

一般600円/大学生250円
高校生以下無料

※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
※料金が変更になる場合があります。

開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館)
主催 国立歴史民俗博物館

みどころ

花見の風習が庶民にまで広まったのは、江戸時代になってからといわれています。現代と同じように、江戸の人々も花見を楽しんでいましたが、現代とは違った点も色々とありました。本展を通して、現代とはまた異なる江戸の人々が実際に見ていた桜の品種や、楽しみ方、抱いていたイメージについて知ることができます。

趣旨


浅草金龍山奉納桜盛之図 歌川国綱画 
安政4年(1857)

桜は日本で古くから親しまれてきた花です。詩歌で単に「花」といえば、奈良時代には中国の文化にならって梅を指していたのが、平安時代には桜に転じたことは、よく知られています。日本には10種もしくは11種の野生種の桜が自生しており、そのわずかな種類の野生種から200品種以上の栽培品種を生み出し、それは世界でも圧倒的に多い品種数を誇っています。しかも、基本的には花の観賞を目的として、品種が作出されてきました。

本館の建つ佐倉城址公園は、春には約50品種、1,000本以上の桜が咲き、桜の名所として市民に親しまれています。また、開館30周年を迎えた平成25年以来、本館は「歴博夜桜観賞の夕べ」を開催し、桜観賞の機会を市民に積極的に提供してきました(2021年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止)。こうした活動と連動し、本展示では、園芸、意匠、花見といった視点から、近世における人と桜との関わりを見ていきます。園芸では、園芸書や図譜などにより、どのような品種の桜を観賞していたのかを示します。意匠では、桜をモティーフとした美術工芸品から、桜にまつわるイメージを探ります。花見では、錦絵などにより、江戸における桜の花見の名所を紹介します。

主な展示資料


花筏模様振袖 明治時代 19世紀

・増補地錦抄
・怡顔斎桜品
・四季桜模様小袖
・花筏模様振袖
・義経千本桜 三代歌川豊国画
・新板狂歌江戸花見双六
・武州小金井堤満花之図 歌川広重画

など 約40点(すべて本館蔵)

 

 

 

【展示代表】

澤田 和人 さわだ かずと(国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 准教授)

専門は染織史。服飾史。絵画史(絵巻)。特に、中世を中心とする染織および服飾・衣装風俗に関する研究をしている。1998年に文学修士(大阪大学)を取得。現在、国立歴史民俗博物館研究部准教授を務める。

 

1) 花筏模様振袖 明治時代・19世紀

花筏とは、水面に散った花びらを筏に見立てたもの、あるいは、筏に花を添えたものをいいます。水面に浮かんだ花びらを楽しむことも、桜の観賞のあり方のひとつでした。

2) 桜樹短冊模様小袖(屏風装) 江戸時代中期・18世紀

詩歌を詠んだ短冊を植物に結びつけることは、古くから行われてきた遊びです。桜もその代表的な植物のひとつでした。

3) 胡蝶桜模様箱迫 
江戸時代後期・18~19世紀

舞楽装束の胡蝶と桜をあらわしています。『源氏物語』の「胡蝶」に取材した模様と考えられます。

4) 桜文金具打黄楊櫛・前差・笄 
江戸時代後期・19世紀

金具で桜をあらわすという独創的な装飾を加えた髪飾りです。金具は酸化により黒くなっている可能性があります。もとは桜の花にふさわしい白っぽい色であったのかも知れません。

5) 幔幕桜図櫛入 
江戸時代後期~明治時代・19世紀

櫛などを入れる女性の小物入れです。押絵によって花見のために桜に幔幕を張った様子をあらわしています。

6) 雪月花 江戸 上野花 東叡山乃さくら 秋しき 楊洲周延画 
明治17年(1884)

桜の名所である上野には、固有の名前がついた桜樹もあり、その代表例が「秋色桜」です。この名前は、13歳のときに上野の桜を題材に優れた俳句を詠んだお秋の俳号、菊后亭秋色にちなんでいます。

7) 浅草金龍山奉納桜盛之図 歌川国綱画 安政4年(1857)

浅草寺に奉納された桜が満開を迎えた様子を描いています。浅草は上野と双璧をなす江戸の桜の名所でした。

すべて本館蔵

 

第3展示室(近世)特集展示「もの」からみる近世
『海を渡った漆器Ⅲ-輸出漆器の技法』

開催概要

開催期間 2020年12月15日(火)~2021年2月7日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室
料金 一般600円/大学生250円
高校生以下無料

※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
※料金が変更になる場合があります。

開館時間 9:30 ~ 16:30(最終入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(休日の場合は開館し、翌日休館)
年末年始(12月27日~1月4日)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

みどころ

・日本から西洋に輸出された漆器のほかに、中国製の輸出漆器も展示されます。日本の蒔絵を模倣した「描金」技法による大きな衝立屏風は、2004年以来久しぶりの展示となります。
・日本と中国の輸出漆器を比較することによって、日本の蒔絵の特長や、日本製の漆器の何が西洋人の心をとらえたかを考えるきっかけとしていただけます。

趣旨

サンクト・ペテルブルク風景図蒔絵プラーク
18~19世紀
16世紀後半以降、大量の漆器が日本の特産品として海外に向けて輸出されました。西洋人の注文によって制作されたこれらの漆器は、西洋に由来する形態の家具調度に、日本独特の蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)の装飾をほどこしたものでした。艶やかに光る黒い塗装面に、重厚な黄金の輝きが映える蒔絵漆器、またエキゾチックな煌めきを放つ螺鈿漆器は、ヨーロッパの富裕層のあいだで評判となり、日本という東方の未知の国を象徴する物品として愛好されました。

本展示では、輸出漆器に用いられた技法にとくに焦点をあて、蒔絵と螺鈿という伝統的な装飾技術が文化交流に果たした効果について考えます。また、中国から西洋向けに輸出された描金漆器をあわせて展示し、アジアにおけるグローバル商品としての漆器輸出の実態を紹介します。

主な展示資料

楼閣人物描金衝立(中国製輸出漆器) 
清時代

・山水蒔絵小箪笥 17世紀後半
・故事人物蒔絵螺鈿瓶子 一対 17世紀前半
・花鳥螺鈿蒔絵瓶入箱(色絵磁器瓶付) 19世紀
・山水花鳥螺鈿化粧箪笥 18~19世紀
・サンクト・ペテルブルク風景図蒔絵プラーク 18~19世紀
・楼閣人物唐草描金ゲーム箱(中国製輸出漆器) 清時代
・楼閣人物描金衝立(中国製輸出漆器) 清時代

など約30点(すべて本館蔵)

 

【展示代表】

日高 薫 ひだか かおり (国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授)

専門分野:漆工芸史
主な研究テーマは、蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究、交易品としての漆器をめぐる文化交流に関する研究。また、在外の日本関係資料の調査研究をすすめている。
東京大学文学部美術史研究室、共立女子大学国際文化学部日本文化研究の助手を経て、1994年から国立歴史民俗博物館に所属。

 

1) サンクト・ペテルブルク風景図蒔絵プラーク
18~19世紀
西洋からもたらされた銅版画の図柄を、精巧な蒔絵装飾で写しとった壁掛け用飾り板。

2) ケスティウスのピラミッド螺鈿蒔絵プラーク
18~19世紀
ガイウス・ケスティウスのピラミッドはローマの名所。銅版画の風景を、細緻な螺鈿技法のみで表現した珍しい作例。

3) グスタフ3世肖像図蒔絵プラケット 天明8年
裏面に「Japonia factum 1788(1788年日本製)」と記されており、現存する年紀入りのプラケットとしては最古。

4) 花鳥螺鈿脚付裁縫箱 
19世紀
細かい仕切をもつ裁縫箱に脚を付けた裁縫机。江戸後期の輸出漆器の人気商品であった。

5) 花鳥螺鈿蒔絵瓶入箱(色絵磁器瓶付)
19世紀
螺鈿の下に鮮やかな色彩を施す装飾技法を用いた漆器は、19世紀に多数輸出された。同じく人気の高かった有田製の磁器瓶2つを収めたもの。

6) 草花風景蒔絵薬箪笥
17世紀後半
黒漆地に高蒔絵の技法を組み合わせる漆器は、17世紀に盛んに輸出された。東洋風のエキゾチックな風景や花鳥の意匠が人気を呼んだ。

7) 紋章付山水人物蒔絵皿
17世紀後半~18世紀
中央にアムステルダムの名家ヒンローペン家の家紋を表した特注品の大皿。商館長が旅した東海道の風景が、精細な蒔絵で描かれる。

8) 楼閣人物描金衝立(中国製輸出漆器) 清時代
広東の港から輸出された中国製漆器の典型例は、日本の蒔絵を模倣した描金装飾によるもの。三国志の図柄を金と青金とで細密に表している。

 

特集展示(第3展示室)「もの」からみる近世
「大津絵と江戸の出版」

開催概要

開催期間 2020年8月4日(火)~9月6日(日)
※開催期間が当初の5月26日(火)~6月28日(日)から変更となりました。
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)特集展示室
料金

一般600(350)円/大学生250(200)円
高校生以下無料

※( )は20名以上の団体料金です。
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
※料金が変更になる場合があります。

開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(休日の場合は開館し、翌日休館)
主催 国立歴史民俗博物館

  

みどころ

  • 大津絵の素朴な魅力を味わってみてください。
  • 大津絵に込められた護符的な意味を読み解いてみましょう。
  • 大津絵の画題がさまざまなかたちで浮世絵にも取り入られたのをご覧ください。

趣旨

江戸時代、大津の追分(おいわけ)周辺で売られていた肉筆の民衆絵画である「大津絵(おおつえ)」は、木版や合羽摺(着色部分を切抜いた型紙の上から刷毛や“たんぽ”を使って色を塗る技法)なども併用して大量生産され、大津土産として全国に広く知られるものとなりました。江戸末期には「大津絵十種」といわれるような定番の画題が定着し、歌舞伎や戯作など、江戸の大衆文化にも題材を提供するようになります。とくに錦絵の戯画のモティーフとして好まれ、嘉永6年(1853)の歌川国芳の「浮世又平名画奇特(うきよまたべえめいがのきどく)」のようなヒット作も生み出し、風刺画を示唆する機能も有するようになりました。

本展では、当館所蔵の大津絵12点のうち11点を紹介するとともに、大津絵をモティーフに取り入れた江戸末期から明治初期にかけての錦絵などをあわせて展示し、江戸後期における大津絵イメージの広がりについて考えます。

 

「大津絵」とは?
大津絵は大津宿の追分付近で江戸時代初期から描かれ始めたと考えられています。芭蕉の句「大津絵の筆のはじめは何仏」が知られているように、初期には仏教的な画題が主流でしたが、次第に世俗的で戯画性や風刺画的なものが増えていきます。江戸末期には次第に「大津絵十種」と呼ばれる代表的な画題へと絞られ、それ以外のものが見られなくなっていきます。大津絵は近代になって描かれなくなりますが、その諧謔や素朴な味わいを愛する文化人も少なくありませんでした。近年では海外でも注目を集めつつあります。

「大津絵十種」とは?
江戸時代末期、大津絵の画題は十種に絞られるようになり、それぞれがご利益のある護符としての役割を期待されるようにもなりました。今回展示する「鷹匠」、「座頭」、「瓢箪鯰」、「釣鐘弁慶」も大津絵十種です。

 

主な展示資料


歌川国芳画「浮世又平名画奇特」 
嘉永6年(1853)  国立歴史民俗博物館蔵

大津絵 館蔵の12幅のうち11幅 江戸時代
『東海道名所図会』巻之一 寛政9年(1797)
歌川国貞画「大津絵の鬼」 江戸時代
歌川国芳画「浮世又平名画奇特」 嘉永6年(1853)
楊洲周延画「千代田の大奥 初午」 明治29年(1896)

など 約20点(すべて当館蔵)

 

【展示代表】

大久保 純一(国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授)

専門は浮世絵を中心とした江戸絵画史。
主な著書に、『広重と浮世絵風景画』(東京大学出版会、2007年)、『カラー版 浮世絵』(岩波新書、2007年)、『浮世絵出版論』(吉川弘文館、2013年)など。

 

1) 大津絵「釣鐘提灯」 江戸時代
猿が天秤棒で釣鐘と提灯を担いでいる図。軽いはずの提灯のほうが下がっており、道理が通らぬ世間への風刺の意味があるとされる。

2) 大津絵「鷹匠」 江戸時代
鷹匠は公家や武家に仕え、鷹狩りの鷹を養成する役目。作物を荒らす鳥を鷹が追い払うことから、五穀豊穣などの護符とされた。

3) 大津絵「鎮西八郎」 江戸時代
剛勇で知られた平安末期の武将、源為朝を描いている。為朝は浮世絵でも疱瘡除けのお守りの「疱瘡絵」として好んで描かれているが、大津絵でもその願いが込められていたのだろう。

4) 大津絵「瓢箪鯰」 江戸時代
禅の公案に由来する画題。口の小さい瓢箪で大きな鯰を捕えようするのは要領を得ない。思慮の足りない行動を風刺するとされる。安政大地震の後に流行した鯰絵にも取り入れられた。

5) 大津絵「釣鐘弁慶」 江戸時代
三井寺の釣鐘を奪った弁慶がそれを比叡山の山上まで運び上げたという伝説を絵画化したもの。大津の地元にもゆかりあるエピソードなので、人気のあった画題。
6) 歌川国芳画「浮世又平名画奇特」 江戸時代
人気浮世絵師の歌川国芳が大津絵のキャラクターを、役者似顔絵仕立てで描いた戯画。ペリー来航など不安な世情の中、風刺画だとの噂が立って大当たりをとった。