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「吉祥のかたち」「紀州徳川家伝来の楽器 -琵琶II-」「錦絵 in 1868」

『もの』からみる近世「吉祥のかたち」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2019年1月5日(土)~2月11日(月祝)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体

※毎週土曜日は高校生入館無料
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館無料
※高校生及び大学生の方は、学生証等要提示

開館時間 9:30~16:30(最終入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

みどころ

  • 琳派の絵師・酒井抱一(1761~1828年)が描いた現存唯一の小袖「梅樹下草模様小袖」(重要文化財)を公開します。
  • 千葉出身の国学者・楫取魚彦(1723~82年)が得意とした鯉の絵「瀑布鯉魚図」を初公開します。

趣旨

吉祥とは、良いきざし、めでたいしるしを意味する言葉です。絵画や工芸品の中には、吉祥にかかわる意味や願いを込めて制作されたものが少なくありません。歴史的に何度も何度も繰り返して表現され、定番と化した図像やモティーフの組み合わせには、特定の吉祥の意味づけがなされている場合が多くあります。例えば、松竹梅や鶴亀がめでたさの象徴であることは、良く知られています。

吉祥を意味する図像やモティーフの組み合わせには、中国の伝説や思想に端を発するものも多くありますが、能の祝言曲の『猩々』や浦島太郎の物語のように、日本で芸能や説話にとりいれられ、独特の展開が見られることがあります。また、細かな相違では、長寿を象徴する鶴は、中国では白鶴なのが日本では白鶴に限らないこと、亀は、中国では三千年生きるとされていたのが日本では一万年になっていること、鯉の瀧のぼりの鯉は、中国では角が生えかけているのが日本ではそうではないこと、などがあげられます。

このたびの特集展示では、そうした日本での展開に留意しつつ、吉祥にかかわる絵画や工芸品を歴博の所蔵品の中から選んで展示し、図像やモティーフに託された意味を読み解いていきます

【展示代表】

澤田 和人(さわだ かずと)
国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 准教授
専門は染織史。服飾史。絵画史(絵巻)。特に、中世を中心とする染織および服飾・衣装風俗に関する研究をしている。1998年に文学修士(大阪大学)を取得。現在、国立歴史民俗博物館研究部准教授を務める。

主な展示資料

・梅樹下草模様小袖 酒井抱一筆 重要文化財
・色絵双鶴図小皿 酒井抱一下絵
・霊元院鶴御画并御賛歌 霊元院筆
・瀑布鯉魚図 楫取魚彦筆
・牡丹獅子置物 
・龍宮城模様一つ身 
・浦島太郎模様袱紗

など約30件、すべて本館蔵

1) 梅樹下草模様小袖 酒井抱一筆 
重要文化財 江戸時代中期~後期
(国立歴史民俗博物館蔵)

琳派の絵師、酒井抱一(1761~1828年)が筆をふるった描絵の小袖。鳥取藩主池田家の伝来品。厳寒期に花を開く梅は、その生命力から長寿と子孫繁栄を象徴する。

2) 龍宮城模様一つ身 江戸時代後期
(国立歴史民俗博物館蔵)

日本の物語や説話などでは、時の流れが停止した異界として、東の庭を春、南を夏、西を秋、北を冬とした四方四季の庭が登場する。浦島太郎が訪れた龍宮城もその一つであり、永遠や長寿を意味するモティーフであった。

3) 霊元院鶴御画并御賛歌 
霊元院筆 江戸時代中期
(国立歴史民俗博物館蔵)

霊元院(1654~1732年)宸筆の画賛。長寿の象徴である鶴の絵には、その長寿にちなんで詠んだ和歌を添えてある。

4) 瀑布鯉魚図 楫取魚彦筆 1769(明和6)年
(国立歴史民俗博物館蔵)

筆者の楫取魚彦(1723~82年)は佐原出身の国学者。余技として絵を描き、中でも鯉は魚彦が好んで描いた画題である。鯉の瀧のぼりの図様は、中国の登龍門の伝説に由来し、立身出世を寓意する。

5) 牡丹獅子置物 美濃・魁翠園製 1853(嘉永6)年頃
(国立歴史民俗博物館蔵)

牡丹と獅子は、謡曲の『石橋』に取材したモティーフの組み合わせ。『石橋』は文殊菩薩の霊験を示すめでたい演目であり、祝意を込めた祝言曲とされている。美濃高須藩主のお庭焼である魁翠園の製品。

 

 

『もの』からみる近世「紀州徳川家伝来の楽器 -琵琶II-」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2018年10月30日(火)~12月9日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
※11月3日(土・祝)は明治150年記念として入館が無料です。
開館時間 9:30~16:30(最終入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

国立歴史民俗博物館が所蔵する紀州徳川家伝来楽器コレクション(161件)は、主として紀州藩の第十代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ・1771~1852)によって収集されたものと伝えられています。意欲的な文化政策を推進したことで有名な治宝は、のちの伝えによれば、特別に勅許を得て黄金五万両を投じ、国内外、古今の楽器を集めたといいます。コレクションは、雅楽器を中心に、吹きもの(管楽器)・弾きもの(弦楽器)・打ちもの(打楽器)など各種の楽器や、楽譜、調律具、収納袋や箱などの附属品、さらに楽器にまつわる情報を記した附属文書から構成されており、楽器史や音楽史上きわめて重要な資料です。

今回の特集展示では、この中から、琵琶をとりあげ、附属品や附属文書とともに展示します。コレクション中の琵琶は23面におよびますが、そのうち12面に関しては、平成22年度に開催した特集展示において紹介しています。そこで、2回目となる今回は、前回の展示で出品しなかった11面を中心に展示します。
治宝が雅楽を嗜んでいたことを示す琵琶の楽譜や、享和3年(1803)十月、江戸藩邸において催された管絃の様子を表す絵巻(赤阪御薗積翠池試楽図并記)も琵琶とともに展示し、江戸後期の大名家を中心とした音楽をめぐる文化の一端をご覧いただけます。

なお、本資料は最大級の日本古楽器コレクションとして広く知られており、平成17年度に特別企画「紀州徳川家伝来の楽器」、平成24年には企画展示「楽器は語る―紀州藩主徳川治宝と君子の楽―」を開催し、主要なものを紹介してまいりました。また、平成15年度に刊行した『国立歴史民俗博物館資料図録3 紀州徳川家伝来楽器コレクション』、および<データベースれきはく>において、その豊富な資料情報を公開しています。

みどころ

  • コレクションの中で最も古い伝来をもつ「白鳳」とともに、この琵琶が実際に演奏された管弦の様子を描いた記録的な絵画「赤阪御薗積翠池試楽図并記」(江戸時代)を展示します。
  • コレクション中の琵琶23面のうち、平成22年度に開催した特集展示「琵琶」では出品しなかった11面を中心に展示します。歴博で初公開のもの6面を含みます。

【展示代表】

日高 薫(ひだか かおり)
国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授
専門は漆工芸史。主な研究テーマは、蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究、交易品としての漆器をめぐる文化交流に関する研究。また、在外の日本関係資料の調査研究をすすめている。東京大学文学部美術史研究室、共立女子大学国際文化学部日本文化研究の助手を経て、1994年に国立歴史民俗博物館に勤務。

主な展示資料

・紀州徳川家伝来楽器コレクションより
琵琶(銘「白鳳」)  1面 在田坊作
琵琶(銘「朝陽」)  1面 平安~鎌倉時代初期
琵琶(銘「小嵐」)  1面 室町時代
琵琶(銘「花園」)  1面 室町時代
琵琶(銘「嘉吉丸」) 1面 嘉吉2年(1442)
琵琶(銘「雲鶴」)  1面 慶長11年(1606)銘 山室永斎作
琵琶(銘「雲上」)  1面 文化3年(1806)三井伊織作
『琵琶譜』       1帖 寛政4年(1792)徳川治宝奥書
赤阪御薗積翠池試楽図并記 1巻 文化2年(1805)住吉廣尚筆

など約15件

1) 琵琶(銘「白鳳」)(国立歴史民俗博物館蔵)

嵯峨天皇(786-842)が兵庫の鶴林寺に寄進したとの伝承をもつ由緒正しい琵琶。

2) 琵琶(銘「白鳳」)(国立歴史民俗博物館蔵)

嵯峨天皇(786-842)が兵庫の鶴林寺に寄進したとの伝承をもつ由緒正しい琵琶。撥面の桐鳳凰の絵は、寛政12年(1800)の修理の際に、住吉内記広行によって描かれた。

 

3) 琵琶(銘「嘯月」)(国立歴史民俗博物館蔵)

雅楽に用いる琵琶。撥面には、金泥と墨で樹木を表し、銀製の月を嵌める。絃の周辺に残された傷が、実際に演奏されたことを物語る。

4) 赤坂御薗積翠池試楽図并記(部分)(国立歴史民俗博物館蔵)

享和3年(1803)年10月、治宝が江戸の紀州藩邸において催した管弦の様子を描いたもの。舟上に琵琶を演奏する人物が表される。文化2年(1805)住吉廣尚筆、紀三冬跋。

 

 

『もの』からみる近世「錦絵 in 1868」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2018年4月17日(火)~5月20日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
開館時間 9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
ただし、5月1日(火)は開館
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

2018年は慶応4年(戊辰の年)から150年目にあたります。天保の改革以後、錦絵はメディアとしての性格を強め、政治や世相の動きに取材したものは従来の役者絵や美人画、名所絵に次ぐような大きなジャンルに成長していました。とくに慶応4年1月3日(1868年1月27日)の鳥羽(とば)伏見(ふしみ)の戦いにはじまる戊辰戦争に関しては、勃発の初期からおよそ大勢の決まる東北戦争までの間、戦局の推移に従って大量の風刺画が出版され、時局に取材した幕末・明治初期の錦絵の中でひとつのピークを成しています。それらは近年、都市民衆の政治意識をさぐるための資料として注目されつつありますが、出版統制がおこなわれていた当時、新政府側と旧幕側の戦いを子ども同士の遊びに偽装したり、表向き過去の歴史的事件として描くなど、規制をかいくぐるためのさまざまな風刺画の絵づくりの手法を楽しむこともできます。

当館は幕末・明治初期の錦絵を豊富に所蔵しており、それらの中から戊辰の年に出版されたものを選び、錦絵でもって戊辰戦争を中心とし、明治天皇の東幸などの世の中の動きを視覚的に提示するとともに、当時の風刺画の特徴的手法についても紹介します。

 

みどころ

・子どもの遊びや虫の戦いなど、一見無邪気な画面の中に戊辰戦争の様相がうまく取り込まれています。
・人物の着物の柄や持ち物などで、新政府側、旧幕側それぞれの藩がたくみに暗示されています。
・戦国時代などの、よく似た過去の事件が、うまく「今」の戦いを描くのに使われています。

【展示代表】

大久保 純一(おおくぼ じゅんいち) 
 所属:国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授
 専門分野:日本近世絵画(浮世絵、江戸後期の風景表現)

主な展示物(予定)

・「慶長四年大功記大山崎之図」
・三代歌川広重「幼童遊び子をとろ子とろ」
・「子供遊端午の気生」
・「夏の夜虫合戦」
・「当世長つ尻な客しん」
・「奥州会津図」

など計約30点(すべて本館蔵)

1) 錦絵 幼童遊び子をとろ子とろ

戊辰戦争の風刺画としては早期の作で、三代歌川広重の筆になります。新政府側と旧幕側の戦いを、2グループに分かれた子どもたちが、相手側の子どもを捕らえて自分らのグループに加える、「子をとろ子とろ」という遊戯に見立てています。

2) 夏の夜虫合戦

新政府側と旧幕側の戦いを虫たちの戦いに見立てています。伝統的な異類合戦の主題を風刺画にもちいたものですが、虫たちのたくみな擬人化の手法に面白さが見いだせます。

 

3) 当世長つ尻な客しん

江戸城無血開城後、江戸の町に進駐してきた新政府軍の諸藩を、料理茶屋で長居する客に見立てています。箒を逆さに立てて早く帰らせようとしているのは天璋院と和宮。新政府の江戸支配に対する市民の複雑な感情が見て取れます。

4) 〈御酒頂戴〉

明治天皇は、明治元年10月に東京と改めた後の江戸城に入城します。11月4日に、お祝いとして市民に樽酒が振る舞われ、江戸市中はまるでお祭りのような賑わいとなりました。

5) 東京十二景 内桜田

「東京十二景」は明治天皇の東幸の行列を描く12枚組の錦絵揃物で、「内桜田」はかつて大名たちが将軍に拝謁するために登城した内桜田門から天皇の行列が入場する様を描いています。

6) 奥州会津図

日本各地を描いた鳥瞰図で知られる歌川貞秀の筆になります。会津若松城を中心に猪苗代湖周辺の風景を実景感豊かに描きますが、慶応4年8月という出版時期からすると、東北戦争への高い関心が制作の動機となっていたことが推測されます。