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「妖怪変化の時空」「マリア十五玄義図の探究」「たつ年の龍」「和宮ゆかりの雛かざり」

館蔵資料を通して近世のようすにせまります。

  • 「妖怪変化の時空」2011年8月2日(火) - 9月4日(日)
  • 「マリア十五玄義図の探究」2011年11月1日(火) - 11月27日(日)
    ※主催:国立歴史民俗博物館・京都大学総合博物館
  • 「たつ年の龍」2011年12月20日(火) -2012年 1月29日(日)
  • 「和宮ゆかりの雛かざり」2012年2月7日(火) - 4月1日(日)

「妖怪変化の時空」

開催概要

展示名称 「妖怪変化の時空」
開催期間 2011年8月2日(火) - 9月4日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

近年、想像力のあり方や精神世界への関心の高まりとともに、怪異や妖怪文化が注目を集めています。今回の特集展示では「風聞(ふうぶん)と怪異・妖怪」「歌舞伎の中の怪談・妖怪」「妖怪絵巻の世界」「妖怪絵師列伝」の4つのテーマを設けて、関係する資料を展示します。

江戸時代の後期から明治にかけて、豊作や流行り病を予言する姫魚(ひめうお)と称する妖怪が出現したという噂が広まり、人びとの関心を集めました。「風聞と怪異・妖怪」では、世間で取り沙汰された風聞や世相を映し出した錦絵・摺物を紹介します。四代目鶴屋南北(つるやなんぼく)は、幽霊や妖術使いを作品の中に登場させて歌舞伎の世界に大きな影響を与えました。「歌舞伎の中の怪談・妖怪」では、錦絵の好画題となった、歌舞伎に登場する幽霊や妖怪に焦点を当てます。異様な姿をした妖怪たちが、夜間に列をなして移動するさまを描いた百鬼夜行絵巻は江戸時代に数多く制作されました。「妖怪絵巻の世界」では、百鬼夜行絵巻をはじめ妖怪を素材に描かれた絵巻を展示します。「妖怪絵師列伝」では、鳥山石燕(とりやませきえん)・歌川国芳・月岡芳年(つきおかよしとし)・河鍋暁斎(かわなべきょうさい)といった絵師を取り上げ、作品を紹介するとともにその系譜をたどります。

今回の特集展示では、怪異・妖怪文化の多彩な世界を浮き彫りにしたいと考えています。

みどころ

文政2年(1819)に、女の顔に魚の体という奇妙な姿をした異形のモノが現れて予言をしたという噂が広まりました。今回紹介する「姫魚」の図は、このときに描かれたものです。狩野洞雲(かのうとううん)(1625-94)が描いた「百鬼夜行図」は、江戸時代前期の作品で真珠庵本系統に属する絵巻ですが、〈かみきり〉や〈ふらり火〉といったユニークな妖怪がいくつも登場する点に特色があります。江戸から明治にかけて活躍した代表的な妖怪絵師を取り上げて、その作品に注目しながら絵師の活躍と系譜を描きます。

主な展示物

  • 「肥前国平戸において姫魚(ひめうお)龍宮より御使なり」
  • 「雷奇獣(らいきじゅう) 寛政八年六月肥後国熊本」
  • 「百鬼夜行図」 「源頼光公館土蜘作妖怪図」
  • 「和漢百物語 頓欲ノ婆々(どんよくのばば)」

など

 
錦絵 「源頼光公館土蜘作妖怪図」
天保の改革を風刺したとの噂が立った問題作 (当館蔵)
 
錦絵 「和漢百物語 頓欲ノ婆々(どんよくのばば)」
(当館蔵)
 
肥前国平戸において姫魚(ひめうお)龍宮より御使(おんつかい)なり
予言する姫魚 (当館蔵)
 
百鬼夜行図 部分
器物の妖怪たち「百鬼夜行図」 (当館蔵)

ギャラリートーク

日時 2011年8月6日(土)14時00分~(40分程度)
解説 常光 徹(当館民俗研究系)・大久保 純一(当館情報資料研究系)

「マリア十五玄義図の探究」

開催概要

展示名称 「マリア十五玄義図の探究」
開催期間

2011年11月1日(火) - 11月27日(日)

※主催:国立歴史民俗博物館・京都大学総合博物館 ※2013年1月9日(水)~2月3日(日)、京都大学総合博物館にて「マリア十五玄義図の探究」が開催されます。

詳細はこちら

会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

「マリア十五玄義図」(京都大学総合博物館所蔵)は、1930年(昭和5)の発見以来、キリシタン絵画を代表する作品として名高く、当館でも第2展示室「大航海時代の中の日本」に常時複製を展示しています。複製制作に先立つ1996年には、原本を当館に搬入して、X線撮影、赤外線撮影をはじめとする詳細な科学的調査を行ないました(1)。

その後、この調査を契機に文化財指定と修復が行われて外部での展示も可能になり、また京都大学の「研究資源アーカイブ」では、発見当時の写真などがデジタル化して活用されることになりました。そこで当館と京都大学総合博物館が共同で展示を企画し(2)、さまざまな調査研究の成果を、「マリア十五玄義図」と共にご覧いただくことにいたしました。

(1) 調査の詳細については、『国立歴史民俗博物館研究報告』第76集(1998年)、第93集(2002年)に掲載しています。

(2) 京都大学総合博物館でも、同じ趣旨の展示が、2013年2月から開催される予定です。

みどころ

「マリア十五玄義図」の原本は、東日本では初めての公開となります。所蔵者の京都大学総合博物館でも特別な時にしか展示されないため、原本を見る貴重な機会となります。 また、多くのパネルを用いて、科学的な分析による調査結果の紹介や、関連資料との比較などを行いますので、さまざまな切り口からこの絵を理解することができます。

主な展示物

  • マリア十五玄義図(17世紀前期、京都大学総合博物館蔵、重要文化財) および収納されていた竹筒などの付属品
  • マリア十五玄義図のテンペラ画技法による復元模写(武田恵理氏制作)
  • 南蛮屏風(17世紀前期、当館蔵)
  • 発見当時からの調査研究図書
  • 科学分析結果、関連資料などのパネル
  • 「京都大学研究資源アーカイブ」検索端末

など

 
マリア十五玄義図(京都大学総合博物館所蔵)
 
赤外線撮影による聖母子像(京都大学総合博物館所蔵)

ギャラリートーク

日時 11月3日(木・祝)15時00分~
11月19日(土)13時30分~
11月26日(土)13時30分~
解説 小島 道裕(当館歴史研究系)

「たつ年の龍」

開催概要

展示名称 「たつ年の龍」
開催期間 2011年12月20日(火) -2012年 1月29日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

2012年は「辰年」ですが、館蔵資料の中から龍に関わる絵や文様を有する工芸品、版本、版画などを展示いたします。

今日、「たつ」は一般には「龍」として認識されていますが、図像としては複数の種類が存在します。染織や装身具、あるいは楽器といった工芸品の意匠として用いられる龍の多彩な表現とその意味や機能など、近世文化の中に占める龍の意匠の役割の一端についてご紹介いたします。

 
龍笛
龍の文様がなぜ好まれたのかは、それがあしらわれた対象によりさまざまである。その名称に因むのだろうが、雅楽器の龍笛は龍をデザインした箱や袋が目に付く。
 
印籠譜
実物の工芸品だけではなく、『装剣奇賞』や『印籠譜』といった工芸の図譜なども通して、多彩な龍の意匠の一端を垣間見てみたい。
 
通俗水滸伝豪傑一百八人之一個(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんのひとり) 九紋龍史進(くもんりゅうししん)
幕末の侠客の刺青には龍をあしらったものがしばしば見られる。龍というモチーフが伝統的に持つ勇壮なイメージに関わるところが多いが、龍の衣装や刺青などがふんだに登場する水滸伝の豪傑の錦絵の影響も考えられる。
 
凧絵 龍と達磨(部分)
幕末から明治にかけては、凧の絵柄を寄せ集めた錦絵が数多くつくられ、龍の絵や「龍」の文字は凧のデザインの定番であった。龍が凧のデザインに好まれた理由は、天に向かって勢いよく昇る登り龍からの連想であろう。「登竜門」という縁起の良い言葉もある。

ギャラリートーク

日時

2012年1月14日(土) 14時00分~

解説

大久保 純一 (当館情報資料研究系)

※開始時間までに第3展示室特集展示コーナーに集合してください。

「和宮ゆかりの雛かざり」

開催概要

展示名称 「和宮ゆかりの雛かざり」
開催期間 2012年2月7日(火) - 4月1日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁しました。

今回の特集展示で展示する雛人形・雛道具類(当館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれます。

上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めました。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていきました。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようです。当館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重です。

みどころ

  • 和宮所用と伝えられる雛人形は、有職雛(直衣雛)という貴族的な面立ちの上品な人形で、幕末期の富裕層における雛人形の典型的な作例です。
  • 婚礼調度をミニチュアとして作った雛道具は、約80点を数えますが、当時の流行を反映して、ガラス製の器なども含まれます。江戸上野池之端にあった有名な雛人形店、七澤屋製と推測されます。
  • 御所人形・三ツ折(みつおれ)人形には、和宮が兄の孝明天皇(こうめいてんのう)の形見として譲渡された由緒のある人形も含まれます。

など

主な展示物(予定)

内裏雛及雛道具付御所人形より

  • 有職雛(直衣雛)
  • 御所人形 孝明天皇遺物など 13躯
  • 三ツ折人形 孝明天皇遺物 2躯
  • 須磨明石図屏風
  • 狗張子
  • 牡丹唐草文蒔絵雛道具

など約100点

 
有職雛(直衣雛)
 
唐机と文具
 
茶弁当
 
小倉百人一首