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「錦絵 in 1868」(第3展示室) 「お化け暦と略縁起-くらしのなかの文字文化-」(第4展示室)

『もの』からみる近世「錦絵 in 1868」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2018年4月17日(火)~5月20日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
開館時間 9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
ただし、5月1日(火)は開館
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

2018年は慶応4年(戊辰の年)から150年目にあたります。天保の改革以後、錦絵はメディアとしての性格を強め、政治や世相の動きに取材したものは従来の役者絵や美人画、名所絵に次ぐような大きなジャンルに成長していました。とくに慶応4年1月3日(1868年1月27日)の鳥羽(とば)伏見(ふしみ)の戦いにはじまる戊辰戦争に関しては、勃発の初期からおよそ大勢の決まる東北戦争までの間、戦局の推移に従って大量の風刺画が出版され、時局に取材した幕末・明治初期の錦絵の中でひとつのピークを成しています。それらは近年、都市民衆の政治意識をさぐるための資料として注目されつつありますが、出版統制がおこなわれていた当時、新政府側と旧幕側の戦いを子ども同士の遊びに偽装したり、表向き過去の歴史的事件として描くなど、規制をかいくぐるためのさまざまな風刺画の絵づくりの手法を楽しむこともできます。

当館は幕末・明治初期の錦絵を豊富に所蔵しており、それらの中から戊辰の年に出版されたものを選び、錦絵でもって戊辰戦争を中心とし、明治天皇の東幸などの世の中の動きを視覚的に提示するとともに、当時の風刺画の特徴的手法についても紹介します。

 

みどころ

・子どもの遊びや虫の戦いなど、一見無邪気な画面の中に戊辰戦争の様相がうまく取り込まれています。
・人物の着物の柄や持ち物などで、新政府側、旧幕側それぞれの藩がたくみに暗示されています。
・戦国時代などの、よく似た過去の事件が、うまく「今」の戦いを描くのに使われています。

【展示代表】

大久保 純一(おおくぼ じゅんいち) 
 所属:国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授
 専門分野:日本近世絵画(浮世絵、江戸後期の風景表現)

主な展示物(予定)

・「慶長四年大功記大山崎之図」
・三代歌川広重「幼童遊び子をとろ子とろ」
・「子供遊端午の気生」
・「夏の夜虫合戦」
・「当世長つ尻な客しん」
・「奥州会津図」

など計約30点(すべて本館蔵)

1) 錦絵 幼童遊び子をとろ子とろ

戊辰戦争の風刺画としては早期の作で、三代歌川広重の筆になります。新政府側と旧幕側の戦いを、2グループに分かれた子どもたちが、相手側の子どもを捕らえて自分らのグループに加える、「子をとろ子とろ」という遊戯に見立てています。

2) 夏の夜虫合戦

新政府側と旧幕側の戦いを虫たちの戦いに見立てています。伝統的な異類合戦の主題を風刺画にもちいたものですが、虫たちのたくみな擬人化の手法に面白さが見いだせます。

 

3) 当世長つ尻な客しん

江戸城無血開城後、江戸の町に進駐してきた新政府軍の諸藩を、料理茶屋で長居する客に見立てています。箒を逆さに立てて早く帰らせようとしているのは天璋院と和宮。新政府の江戸支配に対する市民の複雑な感情が見て取れます。

4) 〈御酒頂戴〉

明治天皇は、明治元年10月に東京と改めた後の江戸城に入城します。11月4日に、お祝いとして市民に樽酒が振る舞われ、江戸市中はまるでお祭りのような賑わいとなりました。

5) 東京十二景 内桜田

「東京十二景」は明治天皇の東幸の行列を描く12枚組の錦絵揃物で、「内桜田」はかつて大名たちが将軍に拝謁するために登城した内桜田門から天皇の行列が入場する様を描いています。

6) 奥州会津図

日本各地を描いた鳥瞰図で知られる歌川貞秀の筆になります。会津若松城を中心に猪苗代湖周辺の風景を実景感豊かに描きますが、慶応4年8月という出版時期からすると、東北戦争への高い関心が制作の動機となっていたことが推測されます。

 

 

「お化け暦と略縁起-くらしのなかの文字文化-」(第4展示室)

開催概要

開催期間 2018年4月24日(火)~ 10月28日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第4展示室 副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
開館時間 3月~9月 : 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
10月~2月 : 9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌日休館)
※5月1日(火)、8月13日(月)は開館
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

みどころ

・「お化け暦(ごよみ)」「略縁起(りゃくえんぎ)」から人々の生活と文字文化のつながりを紹介!
・明治6年の太陽暦採用前後の暦(こよみ)を並べて見ることができる貴重な機会です!
・略縁起と関連資料から、江戸時代の歴史や文化の表現をとらえ直します!

趣旨

太陽暦採用後も旧暦を伝える「お化け暦」や寺社の歴史を記した
パンフレット「略縁起」から人々の生活と文字文化とのつながりを考える!

お化け暦(ごよみ)と聞くと、幽霊や妖怪の出現する場所や日時が記されたカレンダーと期待する人もあるかもしれません。明治時代、それまで使われてきた太陰太陽暦(いわゆる旧暦)が廃止され、新たに太陽暦が採用されると、旧暦に従って営まれていた生業や生活にはかなりの混乱が生じました。旧暦は月の満ち欠け、潮の干満と連動しており、さらに日時方角などの吉凶を示すさまざまな暦注が記されていて人びとはそれを目安に仕事をしたり、冠婚葬祭を営んだりしていましたが、明治6年の太陽暦採用はそうした生活の基盤を根こそぎくつがえしてしまいました。それによって生じた不便さを乗り越えるために、政府から認められない秘密出版で、旧暦を記載した暦が数多く送り出されたのです。秘密出版であるために発行者名に偽名が用いられていることが多く、その責任のありかがぼかしてあったために「お化け」と呼ばれたのです。こうした生活に密着していながら、おおやけには認められなかった暦を取りあげ、そのバリエーションと生活の中での位置づけについて考えてみます。民俗研究は一般に文字記録によらないさまざまな言い伝え、伝承を対象とするものですが、実は暦に代表されるような生活に密着した文字情報と深く結びついていました。そのありさまを、さまざな角度から考えます

また、そうした生活のなかに伝えられてきた情報が文字に記される機会は江戸時代に既にかなり多くありました。それは、教育の浸透によって多くの人びとが文字を読み書きできたからと考えられます。そうした高い識字率に支えられて多くの出版物が流通したわけですが、分厚い書籍も数多く出版された一方で、一枚刷りの紙片や数ページに過ぎない印刷物もくらしのなかで一定の役割を果たしていました。そうした前近代の文字と生活との接点にあたるものとして次に、縁起(りゃくえんぎ)という出版物を取りあげます。これは寺社などの由来沿革を文字に記したもので、寺社に詣でる人や開帳などに詰めかける人に配布された一種のパンフレットです。そこにはごく簡単に寺や神社、宝物に関する歴史や説話が紹介されています。絵を伴うものもあり、今日でも有名寺社で同じようなものを手にする機会は多くあります。そしてそこにはわれわれが求める歴史や文化に関する情報がコンパクトに盛りこまれています。江戸時代から盛んに刊行された略縁起を軸に人びとの歴史や文化の知識、さらには神仏などへの期待についての理解を深めます

今回の展示では、近世期に広く版行された略縁起と、近代に旧暦を温存した「お化け暦(ごよみ)」を中心に、関連する写真パネルなどとともに展示し、生活のなかでの文字文化の位相について考えていきたいと思います。

【展示代表】

小池 淳一(こいけ じゅんいち)(国立歴史民俗博物館 民俗研究系 教授)

専門は民俗学(民俗信仰、口承文芸、民俗学史)、信仰史。

主な研究テーマは、民俗における文字文化の研究、陰陽道の展開過程の研究、地域史における民俗の研究など。1992年、弘前大学講師。同助教授、愛知県立大学助教授を経て2003年に国立歴史民俗博物館研究部民俗研究系助教授に就任、現在は国立歴史民俗博物館 研究部民俗研究系教授、および総合研究大学院大学文化科学研究科教授。

主な展示資料

・中野猛氏収集略縁起コレクション
・略縁起(本館蔵、「諸国縁起由来記」、「江都湯嶋天満宮略縁記」ほか)
・お化け暦類(本館蔵)
・寛永8年版『大ざつしよ』(本館蔵)
・仮名草子『安部晴明物語』(個人蔵)
・暦占書『東方朔秘伝置文』(個人蔵)

※展示資料総数未定

 

◎1~4 お化け暦、5・6 略縁起

1) 改暦前と改暦後の暦の比較(個人蔵)

明治6年の暦(上)と明治7年の暦(下)。記載内容に大きなちがいがある。

2) さまざまなお化け暦(個人蔵)

「暦」という文字をたくみにさけて刊行されたお化け暦。

3) 意勢固世見見立て十二直 暦中段づくし(極月)
(本館蔵)

江戸時代の暦を題材にした錦絵。

4) 東方朔(『東方朔秘傳真文』の表紙裏に描かれたもの)
(個人蔵)

異例の長寿を得て、さまざまな予言をした伝説的人物。

5)越前南條郡湯尾峠御孫嫡子略縁起(本館蔵)

疱疹よけのまじないの由来を記した略縁起。

6) 嫁威肉附之面由来(本館蔵)

真宗の教えをわかりやすく説いた略縁起。

関連イベント

歴博講演会

第408回「書かれたものとのつきあい方-民俗研究の新視点-」
日時 5月12日(土)13:00~15:00
講師 小池 淳一(本館民俗研究系教授)
会場

歴博講堂(定員260名・先着順・申込不要・入場無料)

 

ギャラリートーク

開催期間中、展示プロジェクト委員によるギャラリートークを開催します。

日程 時間 担当者
5月3日(木・祝) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)
5月19日(土) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)
6月9日(土) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)
7月14日(土) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)
8月4日(土) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)
9月15日(土) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)
10月20日(土) 11:00~12:00 小池 淳一 (当館民俗研究系)

※開始時間までに第4展示室副室にお集りください。

※内容は変更する場合があります。ご了承ください。