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「四国遍路・文化遺産へのみちゆき」(第4展示室)「北の大地が育んだ古代-オホーツク文化と擦文文化-」(第1展示室)「新出の野村コレクション」(第3展示室)

第4展示室
「四国遍路・文化遺産へのみちゆき」

開催概要

開催期間 2023年9月26日(火)~ 2024年2月25日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第4展示室 特集展示室
料金 一般600円/大学生250円
高校生以下無料

※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等の提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場(16:00まで)できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開館時間

9月:9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
10月~:9:30~16:30(最終入館は16:00まで)

休館日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館 )
年末年始(12月27日~1月4日)、2024年2月14日(水)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
共催 愛媛県歴史文化博物館、愛媛大学 四国遍路・世界の巡礼研究センター

みどころ

  • 四国88ヶ所霊場を開いたとされる弘法大師空海とはどんな人物だったのか、弘法大師と四国とのつながりから紐解く
  • 四国遍路の札所はなぜ88ヶ所なのか?-遍路絵図に描かれた、札所や遍路道の姿について紹介する
  • 四国遍路はなぜ白装束?いつから?-近代化による遍路の変化をみる
  • 世界遺産とは?-四国遍路が持つ世界遺産に登録される価値を考える

趣旨

本展示では、1200年の歴史を有するとされる四国遍路の歴史と現在について、次の構成で紹介していきます。

1 四国遍路と弘法大師空海

四国遍路は真言宗の宗祖、弘法大師空海が霊場を定めたと伝えられています。遍路の白衣にも「南無大師遍照金剛」と背中に記され、金剛杖は大師の化身であるとされています。そこで本展示では、まず弘法大師と四国とのつながりを示し、古代から続く大師信仰の系譜をみていきます。

2 遍路絵図と描かれた札所

江戸時代に確立し、庶民の旅の目的として普及していった88ヶ所霊場の特徴を概観します。四国遍路の長い歴史のなかでは、その位置づけや人々の関わり方も大きく変化しています。例えば、88ヶ所を巡るお遍路ですが、これらの札所が定まったのは近世、17世紀に入ってからでした。札所をめぐる巡礼路が絞られていくのも、それ以後のことになります。四国遍路の普及に大きな役割を果たした媒体に注目し、描かれた遍路の姿についても紹介していきます。

3 近代化とツーリズム

近代化のなかで四国遍路は、全国からの集客を見込めるツーリズムへと展開していきます。遍路の代名詞でもある「南無大師遍照金剛」と背中に記された白装束についても、戦後になって普及した姿であることがわかってきました。明治・大正時代に奉納された絵馬や戦前の絵葉書の遍路の一行には、白装束は数えるほどしかみられません。鉄道やバス、自家用車の利用なども盛んになることで、遍路の意味づけや参加者、規模や期間も変化していきました。

4 世界遺産登録に向けて

21世紀になると、四国遍路を世界遺産に登録しようとする運動が活発化します。四国4県は登録に向けて様々な活動を行うとともに、その文化的歴史的な特質を炙り出し、遍路文化を物語化していきました。また、今回の展示共催となる愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センターと愛媛県歴史文化博物館による最新の研究成果の紹介も行います。

主な展示資料


弘法大師と衛門三郎の摺物
愛媛県歴史文化博物館蔵

典籍:『三教指帰』/『三教指帰簡註』/『弘法大師行状記』/『四国徧礼道指南増補大成』

摺物・絵図:弘法大師と衛門三郎の摺物/四国徧礼絵図/四国遍路道中図

文書資料:往来手形/宇和島藩の通行手形/遍路宿の宿帳(大黒屋)

写真パネル:中国四国名所旧跡図/四国八十八ヶ所霊場案内(吉田初三郎)

映像:「和紙彫塑による弘法大師空海の世界 密●空と海」

など約60点(本館蔵、愛媛県歴史文化博物館蔵、愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター蔵 他)

但し、会期中、展示替えを行います。

展示資料一覧はこちら

 

【展示代表】

川村 清志 かわむら きよし(国立歴史民俗博物館 民俗研究系 准教授)

専門分野:文化人類学/民俗学
主な研究テーマは、口頭伝承の近代的展開、祭礼芸能の実践と習得過程の探求、メディアによる民俗文化の再表象過程、現代日本のサブカルチャーと伝統文化などに関する研究。
札幌大学を経て、2012年から国立歴史民俗博物館に勤務。主な著書、論文、ドキュメンタリーとして、『クリスチャン女性の生活史─「琴」が歩んだ日本の近・現代』、『明日に向かって曳けー石川県輪島市皆月山王祭の現在』(2016年DVD102分、監督)、『民俗学読本―フィールドへのいざない―』(2019年髙岡弘幸・川村清志 他編)、『石川県輪島市山王祭フォトエスノグラフィー祭日編』(2020年川村清志・倉本啓之編)など。

 

1) 弘法大師と衛門三郎の摺物
愛媛県歴史文化博物館蔵

12番札所焼山寺の麓にある杖杉庵(徳島県神山町)が発行した摺物。摺物の上段には弘法大師と衛門三郎の伝承が記され、下段に衛門三郎が大師に許しを乞う場面が描かれている。

2) 四国遍路往来手形
1806(文化11)年 国立歴史民俗博物館蔵

1806(文化11)年3月、新谷藩領伊予国(現愛媛県大洲市)浮穴郡麻生村庄屋宮内丈左衛門が、同村の村人による四国八十八ヶ所霊場順拝にあたって発行した通行手形。
※今回、この資料は展示されておりません。

3) 細田周英「四国徧礼絵図」
1763(宝暦13)年 愛媛県歴史文化博物館蔵

現存する四国遍路絵図の中で最も古い木版の絵図。四国の南を上、北を下、東を左、西を右という構図で、本州から四国を眺めたような形に描かれている。

4) 明治後期の遍路写真
1897(明治30)年 愛媛県歴史文化博物館蔵

西予市宇和町山田にあった山田大師堂に奉納されていた明治時代の遍路の古写真。撮影場所は琴平(香川県)の福井写真館で、帰郷後に山田大師堂に奉納されたものと考えられる。

5) 象頭山参詣道四国寺社名勝八十八番
愛媛県歴史文化博物館蔵

左上に「金毘羅美玉堂」とあることから、その門前町にある板元が、遍路や金毘羅への参詣客への土産として刊行した案内図と考えられる。本州からの旅人の目線を意識しているかのように、南が上の構図となっている。

6) 馬木遍路道道標 複製
1863(文久3)年 国立歴史民俗博物館蔵

原品は、松山市馬木町にて現存。四国道後平野の馬木村に幕末の1863(文久3)年に建てられた。この道標は同村32人の寄進になったもので、近世に多く見られた巡礼への喜捨の一形態を示している。

ギャラリートーク

展示期間中、展示プロジェクト委員によるギャラリートークを開催します。

日程 時間 担当者
2023年10月7日(土) 11:00~ 川村 清志 (当館民俗研究系)
2023年10月28日(土) 13:30~ 川村 清志 (当館民俗研究系)
2023年11月23日(木・祝) 11:00~、
13:30~
川村 清志 (当館民俗研究系)
2024年1月13日(土) 11:00~ 川村 清志 (当館民俗研究系)
2024年1月21日(日) 10:30~ 川村 清志 (当館民俗研究系)
2024年2月10日(土) 11:00~ 川村 清志 (当館民俗研究系)

※開始時間までに第4展示室特別展示室にお集りください。
※入館料が必要となります。
※日時は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。

 

 

第1展示室
「北の大地が育んだ古代-オホーツク文化と擦文文化-」

開催概要

開催期間 2023年11月14日(火)~2024年2月12日(月・休)
会場 国立歴史民俗博物館 第1展示室 特集展示室
料金

一般600円/大学生250円
高校生以下無料

※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開館時間 9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日

月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館)、
年末年始(12月27日~1月4日)

主催 東京大学大学院人文社会系研究科・同附属北海文化研究常呂実習施設、大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

みどころ

  • 日本列島の文化の多様性 「あなたの知らない古代」
  • 本州では馴染みが薄い北海道の古代、オホーツク文化、擦文文化を紹介します。
  • 東京大学による北海道東部の北見市常呂町での長年の調査と地域への貢献

趣旨


常呂川河口からサロマ湖を望む

日本史で古代(飛鳥・奈良・平安時代)と呼ばれた時代、北海道ではオホーツク文化と擦文文化が展開していました。オホーツク文化は、5世紀から9世紀頃にサハリン南部から北海道の東北部、千島列島にかけて広がった文化です。北方から南下した外来の文化と考えられており、海獣狩猟と漁撈を生活の基盤とし、クマを中心とする動物儀礼に特徴があります。擦文文化は7世紀後半から12世紀にかけて北海道の全域に広がった文化で、本州の古代国家の影響のもとに成立しました。漁撈・狩猟・採集を中心に雑穀を利用し、アイヌの文化の直接的な母胎になったと考えられています。しかしながら、ともに本州の古代と同じ時代の文化であるにもかかわらず、本州においては馴染みが薄いのが現状ではないでしょうか。

今回の特集展示では、北海道東部の北見市常呂町に拠点をおき長年にわたって調査・研究を進めてきた東京大学常呂実習施設と、大学共同利用機関である当館が連携して、この2つの文化をわかりやすく紹介します。日本列島には多様な文化が展開していたこと、「あなたの知らない古代」に関心をもっていただけたら幸いです。

なお本特集展示は、東京大学文学部「人文学における国際的地域・社会連携の推進」プログラム関連事業として実施します。

窪みで残る竪穴住居跡

北海道東部には、古代の竪穴住居の跡が埋まらずに窪みで残る遺跡が多数存在する。東京大学は、常呂町に残るこのような遺跡を1957年から継続して発掘してきた。

駒井和愛(1906-1971)

東京大学文学部教授。地元住民からの求めに応じて、1957年から常呂町で発掘調査を開始する。地域の協力を得て今日の常呂実習施設設立の基礎を築いた。

主な展示資料

・北見市内各遺跡(トコロチャシ跡、トコロチャシ南尾根、トコロ貝塚、栄浦第二、岐阜第二、大島2)出土資料(東京大学常呂実習施設蔵)
・北見市常呂川河口遺跡出土資料(北見市ところ遺跡の森蔵)
・根室市弁天島遺跡出土資料(根室市歴史と自然の資料館蔵)

など約40点

 

【展示代表】

林部 均 はやしべ ひとし(国立歴史民俗博物館 考古研究系 教授)

専門分野:日本考古学
主な研究テーマは、東アジアの王宮・王都の研究、考古学からみた古代地域社会の研究。
主な著書に、『古代宮都形成過程の研究』(青木書店 2001年)、 『飛鳥の宮と藤原京-よみがえる古代王宮-』(吉川弘文館 2008年)、『平城京100の疑問』(編著 学生社 2010年)など。

 

1) オホーツク土器(貼付文系)栄浦第二遺跡
8~9世紀 東京大学常呂実習施設蔵

「ソーメン文」とも呼ばれる、粘土紐を密に貼り付けた文様が特徴的な土器。オホーツク文化後期の道東部にみられる。

2) 銛頭 トコロチャシ跡遺跡・栄浦第二遺跡
8~9世紀 東京大学常呂実習施設蔵

オホーツク文化では海獣狩猟や漁労の道具が発達した。海獣や大型魚を獲るための銛頭にも様々なタイプがある。

3) 骨製クマ像 トコロチャシ跡遺跡
8~9世紀 東京大学常呂実習施設蔵

オホーツク文化には動物儀礼の痕跡が多くみられる。特にクマは特別視され、多くの像がつくられた。

4) 青銅製帯飾 栄浦第二遺跡
8世紀 東京大学常呂実習施設蔵

オホーツク文化には、中国東北部・ロシア極東に展開していた靺鞨系の文化から、青銅製品などのモノがもたらされた。

5) 紡錘車 トコロ貝塚
12世紀 東京大学常呂実習施設蔵

擦文文化には、糸を作るための道具である紡錘車など、本州の農耕文化に由来するモノが多くみられる。

6) 擦文土器 甕 栄浦第二遺跡
11世紀後半 東京大学常呂実習施設蔵

擦文土器の器形や器面調整の技法は本州の土師器に由来するが、複雑な文様は北海道独自の特徴である。

7) トビニタイ土器 常呂川河口遺跡
11~12世紀 北見市ところ遺跡の森蔵

器形と文様意匠は擦文、文様要素(貼付文)はオホーツクと、二つの文化の融合が表れている。

関連イベントのご案内

歴博講演会

第448回「オホーツク文化とは何か-東京大学文学部と北海文化研究-」

日時 12月9日(土)13:00~15:00
講師 熊木 俊朗(東京大学大学院人文社会系研究科・教授)
場所 歴博講堂 ※事前申込制、詳細は約1ヶ月前に歴博講演会ページにて公開

 

 

第3展示室
「新出の野村コレクション」

開催概要

開催期間 2024年1月5日(金)~ 2024年2月4日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室
料金

一般600円/大学生250円
高校生以下無料
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等の提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑(入苑は16:00まで)にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開館時間 9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日 2024年1月9日(火)、15日(月)、22日(月)、29日(月)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館