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開催概要趣旨関連の催し

開催概要

歴博色尽くし
開催期間2024年3月12日(火)~5月6日(月・休)
開催期間 2024年3月12日(火)~5月6日(月・休)
※会期中、展示替えを行います。
(前期:~4月7日(日)、後期:4月9日(火)~)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A
料金 一般1000円/大学生500円
※総合展示も合わせてご覧になれます。
※高校生以下は入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。(専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入館が無料です。
※半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑(入苑は16:00まで)にご入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
開館時間 9:30 ~ 17:00(入館は16:30まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
休館日 月曜日
※4月29日(月・祝)は開館、振替休館なし。
※その他館内メンテナンスのため休館する場合があります。
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
後援 一般社団法人 日本色彩学会

趣旨

本企画展示は、「色」をテーマとした館蔵資料展として企画しました。ここでは「色」という言葉を大きな意味でとらえ、赤,黄,青…などといった「いろ」にとどまらず、素材のもつ質感や微細な構造がかもす「つや」、そしてそれらの組み合わせがつくる「かたち」までを含めて考えることとしました。

特徴的な「いろ・つや・かたち」をもつ館蔵資料を取り上げ、歴史学・考古学・民俗学・自然科学の観点から展示・解説を行い、日本における色と人間とのかかわりについて考えます。権威あるいはおそれを象徴する存在としての色、職人らによって生み出される技芸としての色…「色」というキーワードから、館蔵資料のさまざまな見方を引き出してみたいと思います。

本展のみどころ

  • 建造物彩色、染織工芸、浮世絵版画、漆工芸、考古遺物、隕鉄剣…歴博の多彩な館蔵資料を紹介し、その「いろ・つや・かたち」が示す人間の営みについて考える
  • あなたがたはなぜ歴博に?2棟の建築彩色模型は、のちにユネスコ無形文化遺産にも登録された文化庁選定保存技術「建造物彩色」保持者となる、二人の技術者が制作したものだった!「醍醐寺五重塔彩色模型」は初の展示!
  • 裂(きれ)から読み解く染織文化…着物の注文見本に見る“男物”と“女物”・上代裂が伝えるいにしえの染織の技
  • 意味をもって使われたふたつの「赤い」錦絵…疱瘡絵と開化絵
  • 蒔絵・螺鈿・色漆が織りなす漆工芸の豊かな色と質感の世界を堪能!
  • 古墳時代の装身具、土器、金属工芸を通して古代日本での「色」の意味を探求!鮮やかな装飾壁画復元模写は必見!
  • 純粋に隕鉄のみを使用して作られた刀剣類を展示!世に「隕鉄剣」は数あれど、日本刀と同じ折り返し鍛錬の脇差は世界で唯一!でもなぜそんなものが歴博の資料になったの?

展示構成

※章の構成と出品作品は変更になる場合があります。

1. 2棟の建築彩色模型 ~あなたがたはなぜ、歴博に?~

彩色された文化財建造物には、劣化や剥落が進んだものも多く、その全貌を窺い知ることは困難です。当時の絢爛豪華な彩色を復元するため、先達たちが検討を重ね、実物大の彩色模型を作り上げました。実際の建造物では見ることのできない色を博物館でご覧ください。

―1 醍醐寺五重塔彩色模型

広報画像 醍醐寺五重塔彩色模型
国立歴史民俗博物館蔵

昭和29年から35年にかけて解体修理された国宝醍醐寺五重塔の内部には、かつて曼荼羅とともに彩色が施されていました。これらの彩色復元を手掛けたのが、のちに文化庁の選定保存技術「建造物彩色」の保持者に認定された山崎昭二郎(1927〜1993)です。山崎は現地にて緻密な調査を行い、彩色の痕跡をトレースして白描を作成しています。山崎による復元彩色模型とその白描画を歴博で初めて展示します。

この模型は、歴博の設立初期に文化庁から管理換になった資料で、ながらくその来歴は不明でした。今回の展示を機にあらためて調査したところ、文化庁の前身である文化財保護委員会による「国宝重要文化財等の模写模造」事業のひとつとして、昭和31年度から32年度にかけて制作されたものであることがわかりました。

 

広報画像①
醍醐寺五重塔彩色模型:ろ1柱帯(腰長押下部)(部分)
《山崎昭二郎作成》
国立歴史民俗博物館蔵

彩色の残存状況が細かく記載されている。

 

―2 平等院鳳凰堂斗栱(ときょう)彩色模型

広報画像 平等院鳳凰堂斗栱彩色模型
国立歴史民俗博物館蔵

国宝・平等院鳳凰堂の天井を支える組物の一部を復元した彩色模型です。昭和修理(昭和25〜32年)の際に作成された複写図に基づき、川面(かわも)稜一(1914〜2005)が彩色を施しました。川面も平成9年に選定保存技術保持者の認定を受けています。今回展示する模型は、その後の研究の進展により、川面による再彩色が行われたものです。その後、平成修理(平成24〜26年)では新しい解釈が加わり、新しい彩色復元模写が作られました。本模型は、失われた建築彩色の復元に取り組む人々の営みを示す資料として、新たな意味をもつこととなりました。

 

2. 身にまとう色 ~染織工芸の色と模様~

歴博が豊富に所有する染織工芸資料の中から、興味深い色や質感をもち、かつ展示のチャンスにめぐまれなかった資料を選んで、ご覧いただきます。

―1 着物注文のための見本 ~男物・女物の違い~

染織業者は、注文を受けるために色見本を作成することがあります。着物の場合、男性用と女性用とでは、色見本には違いがあります。男性用が純粋に色の見本であるのに対し、女性用では、色とともに模様を併せた総合的な意匠の見本となっています。江戸時代から明治時代の実際に注文の場で用いられた資料を通じて、色とともに男女間の相違を見ていきます。

広報画像②
寿印色手本
江戸~明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

京都の染色業者が配布した色見本。
広報画像③
友禅染見本帖
明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

山形の染色業者が作成した裾模様をあしらった女性用着物の見本。

 

―2 考古利今(こうこりこん)~今に伝わる上代裂(じょうだいぎれ)~

飛鳥・奈良時代までの古い染織品の断片を上代裂と言います。そのほとんどは奈良の法隆寺や正倉院に遺されたものであり、「法隆寺裂」「正倉院裂」として知られています。いにしえの染と織の技術を今に伝える貴重な資料です。

※考古利今…古き良きものを学び、現代に生かそうとする態度。

広報画像④
法隆寺裂帖
奈良時代 国立歴史民俗博物館蔵

法隆寺に伝来したとされる染織品の小片をあつめた裂帖。その中には、法隆寺裂を代表する著名な裂も含まれている。

 

3. ふたつの「赤絵」 ~色がなす文化、文化がなす色~

浮世絵版画のなかで、「赤絵」と呼ばれたものが2つあります。ひとつは「疱瘡絵」、もうひとつは「開化絵」。どちらも赤色が用いられていますが、赤を使う理由や意味は全く異なります。あえて、意味的には全く異なる2種類の浮世絵版画を並べて展示することで、色と人との興味深い関係性について考えてみます。

―1 疱瘡(ほうそう)絵

広報画像⑤
疱瘡絵(犬張子(いぬはりこ)と鯛車(たいぐるま)) 歌川広重画
天保末頃(19世紀中頃) 
国立歴史民俗博物館蔵
展示期間 前期(3/12~4/7)

本来、切り離して短冊形の二枚の疱瘡絵になるものであるが、本資料は切り離される前の形をとどめている。
疱瘡(天然痘)にかかった子供の見舞いに用いられた疱瘡絵をご紹介します。赤一色で摺られているため赤絵とも呼ばれました。代表的な画題として、達磨、富士山、鍾馗、源為朝などがあげられます。赤色には魔除け・厄除けの意味があります。

 

―2 開化絵

維新後、洋風建築の導入などで変貌する東京の風景や風俗を描く錦絵「開化絵」には、強烈な色感を有する赤色絵具を多用することから「赤絵」と呼ばれているものがあります。けばけばしいまでの赤は開化の祝祭的なムードを今に伝えています。

広報画像⑥
東京名所第一之勝景墨水堤花盛の図 
三代歌川広重画
明治14年 国立歴史民俗博物館蔵
展示期間 後期(4/9~5/6)

 

【コラム】明治初年の色彩教材

広報画像⑦
錦絵 色図 明治初期 
国立歴史民俗博物館蔵
展示期間 前期(3/12~4/7)
前年に「学制」が発布されたばかりの明治6(1873)年に、「色図」による色彩教育が小学校に導入されました。文部省は教科書不足を補うため、「色図」を解説する書籍の出版を各府県に許可したので、さまざまなバリエーションの「色図」の解説書が作られました。この色彩教育はしかし、それからわずか6年後、明治12(1879)年の「教育令」の公布とともに姿を消すこととなりました。

 

4. 漆工芸にみる色彩 ~蒔絵(まきえ)・螺鈿(らでん)・色漆(いろうるし)~

前近代まで漆の色は五色のみでしたが、蒔絵や螺鈿が生み出す微妙な色合いは漆工芸の魅力のひとつです。館蔵品の漆器の細部に注目しつつ、限られた素材の組み合わせから繊細な色合いを生み出すために、どのような技術的工夫が凝らされているかを探っていきます。

広報画像⑧ 四季花鳥扇面散蒔絵芝山象嵌印籠 銘「易政」
江戸時代 国立歴史民俗博物館蔵
広報画像⑨
朝顔花鳥螺鈿ゲーム箱
江戸~明治時代
国立歴史民俗博物館蔵
広報画像⑩
月に浪兎漆絵盆
江戸時代
国立歴史民俗博物館蔵

広報画像⑪
花鳥螺鈿大型円卓(蝶文三脚台付)
江戸~明治時代
国立歴史民俗博物館蔵

 

5. 古墳の彩り ~「もの」と「空間」~

古墳時代に、日本列島の社会は大きく変化してゆきます。鉄の道具がひろがり、須恵器という新しい器が登場し、馬の利用が始まります。この変化の時代にあって、色彩も造形とともに多様な展開をみせてゆきます。さまざまな「色の共有」に注目して、社会の変化を眺めてみます。

―1 身を飾る彩り

勾玉や管玉などの玉類は、古墳時代を通じて、王やエリートたちの身体を飾りました。碧玉、瑪瑙、水晶、琥珀、ガラスなどさまざまな素材を利用しており、身体に鮮やかな彩りを添えました。当初は青色や緑色が中心でしたが、時期が下がると、無色透明、赤、黄色などの色が加わることになります。古墳時代のおわりには、さまざまな「形」と「色」が王やエリートの身体を飾りました。

広報画像⑫
駄ノ塚古墳出土品より装身具
古墳時代 国立歴史民俗博物館蔵

―2 紺碧と朱とかがやき

古墳の登場は、列島各地で共通するとても大きな変化でした。埋葬施設の形、死者に副える品々など、同じ「形」を共有したのです。主な副葬品は、鏡や刀剣、身に着ける玉類や腕輪形の石製品であり、金銀の光沢、緑や青の色彩を帯びていました。一方、埋葬施設や棺は赤く彩られ、鏡などに朱が付着することがあります。珍しいところでは、朱で紐を描いた石製品もあります。古墳時代のはじまりを、金銀の光沢、緑や青、そして赤という配色でとらえてみます。

広報画像⑬
マエ塚古墳出土品より石製合子(せきせいごうす)
古墳時代 国立歴史民俗博物館蔵

―3 金銀をまとう

古墳時代のなかごろには、朝鮮半島との交流がさかんになります。鉄をはじめ、あらたな金属工芸の技術が導入され、さまざまな造形が生み出されてゆきます。身にまとう冠や帯、あるいは刀剣、そして騎乗する馬などに、金銀のかがやきが添えられてゆきます。金銀をまとうことは、社会が複雑化し国家形成を進める歩みと道を同じくしたのです。

広報画像⑭
蕪木5号墳出土品より金銅製鞘付刀子
(こんどうせいさやつきとうす)
古墳時代 国立歴史民俗博物館蔵

―4 赤の器と黒の器

古墳時代には、「うつわ」に新たな色が出現します。朝鮮半島の影響を受けて、須恵器と呼ぶ硬質の焼き物が登場し、またたくまに各地へと普及しました。須恵器は灰色や黒色など暗色系の彩りをもち、以前より使用する赤色・褐色の土師器とは対をなしています。暗色系と明色系の対照は、その後の歴史のなかにも継続していきます。器の色に反映された内と外、そのはじまりをとらえてみます。

広報画像⑮
宮内大下田山(みやうちおおげたやま)古墳出土品より土師器(はじき)と須恵器(すえき)
古墳時代 国立歴史民俗博物館蔵

―5 壁画の彩り

当時の人々が認識した色彩は、装飾古墳の配色にもあらわれています。古墳時代もおわりに近づくと、九州では赤・白・青(緑)・黄で彩色を構成した装飾古墳が登場します。この配色は、人物埴輪の彩りや繊維製品(織物)にもみることができます。それらと対照して、多色で構成したこの時期の「配色」をとらえてゆきます。

広報画像⑯
王塚(おうづか)古墳 前室正面戸口右側壁復元模写
原品:古墳時代 国立歴史民俗博物館蔵
広報画像⑰
珍敷塚(めずらしづか)古墳 後室奥壁 復元模写
原品:古墳時代 国立歴史民俗博物館蔵

 

6. 鉄の隕石で作られた刀剣 ~ウィドマンシュテッテン構造が生み出す隕鉄の質感~

人類の鉄利用は、鉄ニッケル合金である隕鉄(鉄隕石)から始まったとされています。日本では、切り出しや加熱鍛造、たたら製鉄による玉鋼の混入などを施すことで刀剣が作られてきました。今回展示するのは、隕鉄だけで作られた刀剣類です。また、世界で唯一、混ぜ物をいっさいせず、隕鉄だけを使って、日本刀と同じ折り返し鍛錬の技法で製作した脇差も展示します。

広報画像⑱
ギボン(ギベオン)隕鉄製の脇差「天降剱(あふりのつるぎ)」
現代 国立歴史民俗博物館蔵

世界で唯一、隕鉄だけを原料として使用し、日本刀と同様に、折り返し鍛錬を七回繰り返して作られた脇差

 

 

【展示プロジェクト委員】

展示代表:鈴木 卓治(国立歴史民俗博物館 研究部情報資料研究系 教授)
電気通信大学大学院電気通信学研究科情報工学専攻博士後期課程単位取得退学(1994年)、千葉大学大学院融合科学研究科情報科学専攻博士後期課程修了(2015年)、博士(学術,千葉大学)。1994年国立歴史民俗博物館助手に着任、助教、准教授を経て、2017年より教授。専門分野はソフトウェア学、色彩と画像の数理。

主な研究テーマは、博物館における研究・展示・広報を支援するシステムの研究、とくにネットワーク、データベース、色彩と画像の情報処理。

展示プロジェクト委員 ※五十音順(○副代表)

<館内>
 上野 祥史(研究部考古研究系 准教授)
 大久保 純一(研究部情報資料研究系 教授)
 斎藤 努(研究部情報資料研究系 教授)
○坂本 稔(研究部情報資料研究系 教授)
 澤田 和人(研究部情報資料研究系 准教授)
 島津 美子(研究部情報資料研究系 准教授)
 関沢 まゆみ(研究部民俗研究系 教授)
 高田 貫太(研究部考古研究系 教授)
 日高 薫(研究部情報資料研究系 教授)

<館外>
 濵島 正士(国立歴史民俗博物館名誉教授)

歴博講演会

第452回「歴博の少し不思議な資料の話 ~「歴博色尽くし」展に寄せて~」
2024年4月13日(土) 13:00~15:00 本館講堂
講師:鈴木 卓治

ギャラリートーク

展示期間中、展示プロジェクト委員によるギャラリートークを開催します。

日程 時間 担当者
3月16日(土) 13:00~14:00 コーナー3: 関沢 まゆみ(研究部民俗研究系)、大久保 純一(研究部情報資料研究系)
3月30日(土) 13:00~14:00 コーナー1:坂本 稔(研究部情報資料研究系)、濵島 正士(当館名誉教授)
4月6日(土) 13:00~14:00 コーナー2、4:澤田 和人(研究部情報資料研究系)、日高 薫(研究部情報資料研究系)
4月20日(土) 13:00~14:00 コーナー5:上野 祥史(研究部考古研究系)
4月27日(土) 13:00~14:00 コーナー6:斎藤 努(研究部情報資料研究系)

※開始時間までに企画展示室A入口にお集りください。
※入館料が必要となります。
※日時は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。

 

※内容は変更する場合があります。ご了承ください。