期間限定の展示資料:第2展示室

王朝文化

終了予定日:2025年10月5日(日)

類聚雑要抄 巻第四上 本館蔵

貴族階級に必要な有職(宮廷の儀礼等に関する知識)についてまとめた書。12世紀末頃に成立。饗宴の際の饗鐉(もてなしの膳)や寝殿の内部とその調度などを、彩色によって詳細に描いている。平安時代末期の有職故実研究の重要な資料。

時代:18世紀|数量:1巻

釋摩訶衍論 巻第二 本館蔵

10世紀前半頃に書写された仏典の注釈書。角筆(象牙などで作った細い棒の先を尖らせた筆記用具)で書かれた片仮名・乎己止点が加えられているが、いずれも10世紀前半に加点されたもの。角筆は凹線のため見にくい。

時代:10世紀|数量:1巻

源氏物語 若菜上 本館蔵

伏見宮邦高親王・近衛政家・一条冬良ら、公家や僧侶が54帖を各帖ごとに分担して書写したもの。冬良が統轄者で、各帖に冬良自身の奥書がある。本文は『源氏物語』の中でも河内本系に属する。

時代:長享2(1488)年|数量:1巻

中右記部類 複製 原品:本館蔵 本館蔵

右大臣藤原宗忠(1141年没)が60歳頃に、人々を指揮して自らの日記『中右記』の記事を整理・分類した事典。原本は散逸したが、30巻以上あったらしい。この古写本では、巻物の片面に年中行事秋部上(相撲の節会の記事)を、他面には漢詩集を写している。

時代:鎌倉時代前期|数量:1巻

終了予定日:2025年11月3日(月・祝)

紙本墨書宮城 複製 原品:京都府 陽明文庫蔵

宮城図(大内裏図)・内裏図・八省院図(朝堂院図)・豊楽院図を収める。『延喜式』(九条家本)の付図とともに平安時代の大内裏の様子をうかがわせる重要な資料。巻末に元応元年に僧頼円が鎌倉の足利上総前司の館で書写した旨の奥書がある。

時代:元応元(1319)年|数量:1巻

北山抄 巻第二 複製 原品:前田育徳会尊経閣文庫蔵 本館蔵

平安時代中期に藤原公任(966~1041)によって作られた私撰の儀式書。書名は公任が晩年に隠棲した京都・北山の地名による。恒例・臨時の儀式、太政官の政務、国司の行事などを記す。全10巻。展示個所は11月新嘗会における豊明節会の部分。本書の原本は平安時代後期の写本である。

時代:平安時代|数量:1巻

内裏式 中巻 複製 原品:宮内庁蔵(九条家本) 本館蔵

平安時代前期に嵯峨天皇が右大臣藤原冬嗣(775~826)らに命じて撰定させ、弘仁12年(821)に奏上された最初の勅撰の儀式書。全3巻。正月から12月までの年中行事と4項目の臨時行事とから構成される。展示個所は11月新嘗会の部分。本書の原本は鎌倉時代後期の写本である。

時代:鎌倉時代|数量:1巻

金光明最勝王経 巻第六 複製(原品:西大寺蔵) 本館蔵

天平宝字6年2月8日、百済豊虫が両親の追善のために発願した供養経。全巻にわたって白点(第二群点)と白書の注記があり、さらに朱点が加筆されている。白点は天長7年(830)頃と推定されている。また朱点は喜多院点で、承徳元年(1097)に加えられた。

時代:天平宝字6(762)年|数量:1巻

終了予定日:2026年1月12日(月・祝)

大和物語 複製(原品:本館蔵) 本館蔵

平安時代の歌物語の一つで、10世紀中頃、『伊勢物語』にならって作られた。『大和物語』の古伝本は二条家本系と六条家本系とに大別されるが、本書は二条家本系の最古の写本の一つである。

時代:13世紀|数量:1巻

印刷文化

終了予定日:2025年10月5日(日)

【国宝】宋版史記(黄善夫刊本) 巻五二 本館蔵

史記集解・索隠・正義の三注合刻本で、全130巻完存した現在最古本。「建安黄善夫刊・于家塾之敬室」の刊記があり、建安(現在福建省)で刊行。直江兼続・上杉藩校興譲館伝来。

時代:南宋慶元年間(1195~1201)刊か|数量:1冊

【重要文化財】宋版備急千金要方(びきゅうせんきんようほう) (金沢文庫本) 巻第三 本館蔵

唐代に成立した医書。本書の開版は南宋の孝宗〈1163~1190〉頃のことと推定される。本文中には補刻の部分も多いが、13世紀初期のものと考えられる。金沢文庫の黒印が押されている。

時代:南宋・12世紀後期刊|数量:1冊

新刊五百家嘉慶註音弁唐柳先生文集 五山版 巻第十二 本館蔵

刊記に見える兪良甫は、明国福建仁徳里台諫坊の住人であったが、わが国に渡来し、京都に住んで、五山版の刊行に携わった。彼の他にも明の刻工が来朝しているが、その活躍を示すものである。

時代:嘉慶元年(1387)刊|数量:1冊

版本法華疏記 巻第一本 本館蔵

本書は法印権大僧都承詮が願主となり、弘安5年(1282)から永仁4年(1296)頃にかけて開版したもの。叡山版は南都版や高野版に比して遺品が少なく貴重。版下筆者に宋人了一の名が見える。

時代:13世紀末刊|数量:1冊

版本群書治要 古活字版(銅活字)駿河版 巻三 本館蔵

徳川家康は駿府(静岡市)に隠棲後、銅活字を鋳造して印刷を行わせたが(いわゆる駿河版)、本書はその一つである。そのときの銅活字は現存し、重要文化財に指定されている。

時代:元和2(1616)年刊|数量:1冊

版本大学衍義 巻第六 本館蔵

本書は朝鮮で宣徳9年(1434・甲寅年)に鋳造された銅活字「甲寅字」によって印刷されている。その文字・印刷は美しく、朝鮮における銅活字印刷技術の水準の高さをよく示している。

時代:16世紀|数量:1冊

版本孟子 巻第三 本館蔵

刊記に「関東上総住今関正運刊」とあり、本書の開版は上総国の人によって行われた。古活字版の刊行には広く各地の人が関係していた様子がうかがいしられる。

時代:17世紀初期|数量:1冊

版本源氏物語 古活字版 夕顔 本館蔵

源氏物語に最古の版本として著名。表紙の標題は光悦風の書で、いわゆる嵯峨本の一つとされている。刊記はないが、慶長年間(1596~1614)頃に木活字をもって印刷されたものである。

時代:17世紀初期|数量:1冊

版本太平記 巻第五・六 本館蔵

太平記は古活字版の国文学書の中でも最も早く開版され、重版も多い。本書も刊記には「慶長十五年(1610)」とあるが、開版時の刊記を継承した元和~寛永ころの重版と推定される。

時代:17世紀前期|数量:1冊

東国と西国

終了予定日:2025年10月5日(日)

尾張国富田庄絵図 複製 原品:円覚寺蔵

富田庄は円覚寺が地頭職を持った荘園で、現名古屋市中川区富田付近に当たる。本図は富田庄の領域と隣接地域を示したもので、右上の萱津宿をはじめ、村落・寺社・堤など当時の景観を知る好資料である。

時代:14世紀|数量:1幅

越後国奥山庄波月条近傍絵図 複製 原品:中条町役場蔵

奥山庄の地頭三浦和田氏の所領相続に関する相論の過程で描かれた絵図。論点の波月条が朱線で囲まれている他、地頭の屋敷や市場(七日市・高野市)、鋳物師の家などが描かれていることも興味深い。

時代:建治3(1277)年ころ|数量:1幅

陸奥国骨寺村絵図(その一) 複製 原品:中尊寺

骨寺村(現一関市本寺)は中尊寺に近い農村で、同寺の経蔵別当が直接支配を行っていた。絵図からは耕地と居宅がセットになった「在家」が盆地内に散在する様子がよくうかがえ、骨寺堂などの記載も見られる。

時代:鎌倉時代末か|数量:1幅

和泉国日根野村近隣絵図 複製 原品:宮内庁書陵部蔵(九条家文書)

日根庄は摂関家のひとつ九条家の荘園。この絵図は14世紀ころの「荒野」の開発に際して、日根野村付近の様子を描いたもの。図の上部に「日根」と記録され、左寄りの中央から下部にかけては「荒野」が描かれている。

時代:14世紀初|数量:1幅

民衆の生活と文化

終了予定日:2025年10月5日(日)

年中行事絵巻 複製 巻第九 原品:京都芸術大学蔵

原本は後白河法皇が作らせた60余巻の絵巻。近世の模写で一部が伝存する。展示しているのは、「祇園御霊会」や「稲荷御霊会」などの祭礼の様子を描いた部分。「御霊会」は、病気をはやらせる貴族や天皇の怨霊をなぐさめて病魔を退散させようとした祭礼で、都の祭りはこれから始まった。

時代:12世紀|数量:1幅

大名と一揆

終了予定日:2025年10月5日(日)

藍韋威腹巻 本館蔵

時代:室町時代|数量:1領

「雑々古文書(ざつざつこもんじょ)」第四巻 田中穣氏旧蔵典籍古文書(たなかゆたかしきゅうぞうてんせきこもんじょ) 本館蔵

京都の収集家、田中教忠氏が集めた土地売券(うりけん)類の巻物。

右の文書は、大副里(おおぞえがり)(現:京都市南区東九条宇賀辺町(うかべちょう)一帯)に所在する畠地(はたち)一反(たん)の所有権を若狭阿闍梨定俊(わかさあじゃりじょうしゅん)に渡したことを証明するもの。下司(げし)とは荘園(しょうえん)現地における経営責任者。「為後日」とは「後日に備えるため」という意で、この畠地の所有権について問題が発生したら、本文書を証拠文書として所有権を主張することが可能となった。

畠地一反を獲得した若狭阿闍梨定俊は、その約3週間後には同じ土地を十貫文の値段で売却している。それが左の文書の畠地売券である。この事例からわかるように、中世社会では土地売買が頻繁(ひんぱん)に行われていた。その背景にある「要用(ようよう)」とはなにか、研究が俟(ま)たれる。


●下司某打渡状(げしなにがしうちわたしじょう)
写真釈文

●僧定俊畠地売券(そうじょうしゅんはたちうりけん)
写真釈文

数量:平安~室町時代|1巻

「田代文書」 本館蔵

筑後国(ちくごのくに)久留米藩士(くるめはんし)田代家の伝来文書(でんらいもんじょ)。大正五年以後に三菱財閥(みつびしざいばつ)岩崎家の所蔵となるが、同時期に岩崎家が所蔵することになった広橋家旧蔵典籍古文書類(ひろはしけきゅうぞうてんせきこもんじょるい)に混入し、「広橋家旧蔵」とされた可能性が高い。

本文書は河内国守護(かわちのくにしゅご)細川顕氏(ほそかわあきうじ)が田代顕綱(あきつな)の軍功を将軍尊氏(たかうじ)へ伝えるよう、執事(しつじ)高師直(こうのもろなお)に送ったもの。細川顕氏は南朝方(なんちょうがた)勢力である戒重西阿(かいじゅうせいあ)の討伐を命じられており、顕綱はそれに従軍していた。本文中には、自ら疵(きず)を負うほどの激闘であったことが記されている。


●細川顕氏軍忠拳状(ほそかわあきうじぐんちゅうきょじょう)
写真釈文(読み)

数量:鎌倉~南北朝時代|1巻

大航海時代のなかの日本

終了予定日:2025年10月5日(日)

花樹草花蒔絵螺鈿洋櫃 本館蔵

ドーム形に湾曲した蓋をもつ櫃は、南蛮漆器の花形商品であった。宝石のほか小物入れとして用いられたもの。

桃山時代(16~17世紀)|数量:1点

花樹鹿虎蒔絵螺鈿洋櫃 本館蔵

時代:桃山時代(16~17世紀)|数量:1点

花鳥蒔絵螺鈿抽斗付平櫃 本館蔵

オランダ東インド会社の記録によれば、1635年から45年にかけて、輸出品の櫃の形式が、従来のドーム形の蓋をもつ櫃から、平らな蓋をもつ櫃へと徐々に変化していったことがわかる。南蛮様式の輸出漆器の最末期にあたるもの。

江戸時代初期(1630年代~40年代)|数量:1点

藤秋草鳥蒔絵螺鈿箪笥 本館蔵

通常の書箪笥より、やや小ぶりの箪笥。東インド会社の記録によれば、1635年から45年の時期を境に、前蓋のかわりに観音開きの扉をもつ箪笥の輸出量が増えている。ただし、本資料は、新しい需要にあわせてヨーロッパで改装されたものであろう。

桃山時代(16~17世紀)|数量:1点

終了予定日:2025年12月26日(金)

横矧二枚胴具足 本館蔵

甲冑はその時代の主要武器のありようを反映している。弓矢が盛んだと大鎧。刀や薙刀だと腹巻・胴丸の類である。さらに鉄砲や鑓の歩兵集団戦が主体になると、鑓先や玉を外すために鉄板仕立の新様式の当世甲冑が流行した。

時代:16世紀|数量:1点