「中世公家の〈公務〉と生活-広橋家記録の世界-」

特集展示

中世公家の〈公務〉と生活-広橋家記録の世界-

開催概要

開催期間

2023年3月7日(火)~ 2023年5月7日(日)

会場

国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室

料金

一般600円/大学生250円
高校生以下無料
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等の提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開館時間

9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日

月曜日
※5月1日(月)は開館
※その他館内メンテナンスのため休館する場合があります。

主催

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

2020年度から開始した基盤研究「『広橋家旧蔵記録文書典籍類』を素材とする中世公家の家蔵史料群に関する研究」(研究代表:家永遵嗣)の研究成果を展示にて公表します。本共同研究では、『広橋家旧蔵記録文書典籍類』に含まれる日記、公務関係文書、先例調査文献を、広橋家歴代当主それぞれの経歴と結びつけて位置づけ、その全体像をイエの歴史として整理して提示することを主目的に掲げています。本特集展示では、館蔵の実物資料を用いてこの研究成果を具体的に示し、多様な資料群からなる『広橋家旧蔵記録文書典籍類』の魅力と奥深さを紹介するとともに、広橋家からみた中世における公家社会の具体相を展示します。

また、当館では2018年度に『八省御斎会部類記』(H-63-994)、2019年度に『大仁王会部類記』(H-63-995)、2020年度に『春日経供養家記抄』(H-63-996)・『兼仲卿暦記』自正安二年正月四日至二十一日(H-63-997)、2021年度に『兼仲卿暦記』自正安二年正月二十二日至三月二十九日(H-63-998)を相次いで購入しました。これらの資料は、いずれも広橋家当主によって作成されたものであり、『広橋家旧蔵記録文書典籍類』と一体をなすものです。本特集展示では、これら新収蔵資料もあわせて公開します。

『洛中洛外図屏風』歴博甲本(部分)16世紀前半本館蔵

『洛中洛外図屏風』歴博甲本(部分)

16世紀前半 本館蔵
※広橋邸部分

本展のみどころ

  • 重要文化財の『経光卿記』・『経光卿暦記』・『兼仲卿記』・『兼仲卿暦記』・『弁官補任』を展示
  • 新収蔵資料はいずれも今回初公開
  • 広橋家に蓄積されたバリエーション豊かな資料群から中世の公家社会の実態に迫る

主な展示資料

【広橋家旧蔵記録文書典籍類】
『経光卿暦記』・『経光卿記』・『経光卿御斎会奉行記』・『兼仲卿暦記』・『兼仲卿記』・『兼宣公記』・『綱光公暦記』・『綱光公記』・『兼顕卿暦記』・『兼顕卿記』・『守光公記』・『義満公任槐召仰儀并大饗雑事定書』・『経嗣公記抄』・『兼綱公譲状草』・『崇賢門院叙位除目申文案』・『後柏原院践祚御訪方註進』・『後土御門院御即位惣用帳』・『永正度御即位料足請取』・『文明九年小叙位方切符』・『脩明門院熊野御幸記』・『頼資卿熊野詣記』・『弁官補任』自寛弘八年至久寿元年・『補略 永禄六年』・『公卿補任』自天文十年至弘治三年・『年号勘者例 正応〜応永』・『改元部類記』・『仲光卿記』・『仲光卿讓状』・『柳原第⾏幸親王宣下記』・『後法性寺殿御抄』・『除目』・『除目執筆記 下』・『柿御園山上郷用水沙汰記録』・『守光公書状案』・『足利義成元服記 文安六年』・『県召除目成文』・『八省御斎会部類記』・『大仁王会部類記』・『春日経供養家記抄』・『兼仲卿暦記』自正安二年正月四日至二十一日・『兼仲卿暦記』自正安二年正月二十二日至三月二十九日など

【船橋清原家旧蔵資料】
『即位第一』・『即位下行帳 第四』

【田中穣氏旧蔵典籍古文書】
『御即位下行帳 越前 永正八』・『慶長十六年御即位雑用一式帳』・『御即位之図』

など約80点(すべて本館蔵)


※会期中、展示替えを行います。

展示資料一覧はこちら

展示資料釈文

重要文化財『経光卿記(つねみつきょうき)』

1)重要文化財『経光卿記(つねみつきょうき)』
自安貞元年十月十四日至二十七日

安貞元年(1227)
国立歴史民俗博物館蔵 展示期間:前期

鎌倉時代前期の広橋家当主だった藤原経光の日記。子孫のために、朝廷の儀式について詳細に記録している。

重要文化財『兼仲卿記(かねなかきょうき)』

2)重要文化財『兼仲卿記(かねなかきょうき)』
自正応元年十月一日至二十九日

正応元年(1288)
国立歴史民俗博物館蔵 展示期間:通期

鎌倉時代後期の広橋家当主だった藤原兼仲の日記。朝廷の儀式のほか、主家の近衛家の家政についても詳細に記録している。

『兼仲卿暦記(かねなかきょうりゃっき)』

3)『兼仲卿暦記(かねなかきょうりゃっき)』
自正安二年正月二十二日至三月二十九日

正安2年(1300)
国立歴史民俗博物館蔵 展示期間:後期

具注暦に記された藤原兼仲の日記。2021年度の購入資料で、これまで写本でしか知りえなかった内容の新出原本となる。

『永正度御即位料足請取(えいしょうどごそくいりょうそくうけとり)』

4)『永正度御即位料足請取(えいしょうどごそくいりょうそくうけとり)』

永正18年(1521) 
国立歴史民俗博物館蔵 展示期間:後期

後柏原天皇の即位礼に使用する脂燭掌灯(照明器具)の費用を、蔵人所の職員が広橋守光へ提出した請取状(請求書)。

重要文化財『弁官補任(べんかんぶにん)』

5)重要文化財『弁官補任(べんかんぶにん)』
自寛弘八年至久寿元年

13世紀 
国立歴史民俗博物館蔵 展示期間:前期

朝廷の実務を担った歴代弁官の名簿。現存最古の『弁官補任』として資料価値が高い。

『御即位之図(ごそくいのず)』

6)『御即位之図(ごそくいのず)』

17~18世紀 国立歴史民俗博物館蔵 展示期間:通期

正応元年(1288)に太政官庁で行われた伏見天皇即位礼の即位図の写し。即位礼は本来大極殿で行われたが、中世には消失していたため、辛うじて残っていた太政官庁で行われた。

展示代表

No Image画像

田中 大喜

TANAKA Hiroki

准教授
研究部歴史研究系
博士(史学,学習院大学)(2005年取得)

専門分野:日本中世史
主要研究課題:中世武士団・武家政権論,中世地域社会論
所属学会:歴史学研究会,日本史研究会,日本歴史学会,地方史研究協議会,鎌倉遺文研究会, 学習院史学会

学歴:学習院大学文学部史学科(1996年3月卒業)
学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻博士前期課程(1999 年3月修了)
学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻博士後期課程(2005年3月修了)

武士団・武家政権の研究を通して、およそ700年間にもわたり武士の支配が継続した歴史を持つ日本社会の特質を追究。主な著書に『中世武士団構造の研究』(校倉書房、2011年)、『対決の東国史3 足利氏と新田氏』(吉川弘文館、2021年)、『中世武家領主の世界』(編著、勉誠出版、2021年)など。