『和宮ゆかりの雛かざり』(2021年度)

開催概要
開催期間
2022年2月22日(火)~4月3日(日)
会場
国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)特集展示室
料金
一般600円/大学生250円
高校生以下無料
開館時間
2月まで 9:30~16:30(入館は16:00まで)
3月から 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日
毎週月曜日(休日の場合は開館し、翌日休館)
主催
国立歴史民俗博物館
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
趣旨
幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁しました。
本展で展示する雛人形・雛道具類(本館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれます。
上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めました。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていきました。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようです。
本館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重です。
今年は、長州藩士の子孫に受け継がれ、和宮から下賜されたと伝わる有職雛(直衣雛)を初公開します。
本展のみどころ
- 和宮所用と伝えられる雛人形は、有職雛(ゆうそくびな)(直衣雛)という貴族的な面立ちの上品な人形で、幕末期の富裕層における雛人形の典型的な作例です。
- 女雛の紫地の表着(うわぎ)の模様である「亀甲繋(きっこうつなぎ)に八葉菊」は、文久元年(1861)に和宮に調進された赤地の唐衣(からぎぬ)の裂(きれ)にもみられることから、和宮ゆかりの品であることを示す特徴ともいえます。
- 婚礼調度をミニチュアとして作った雛道具は、約80点を数えますが、当時の流行を反映して、ガラス製の器なども含まれます。江戸上野池之端にあった有名な雛人形店、七澤屋(ななさわや)製と推測されます。
- 長州藩士の子孫に受け継がれ、和宮から下賜されたと伝わる有職雛を昨年度に収集。今回初めて公開します。
主な展示資料
内裏雛及雛道具付御所人形より
- 有職雛(直衣雛)
- 御所人形 孝明天皇遺物など13躯
- 三ツ折人形 孝明天皇遺物のうち2躯
- 須磨明石図屏風
- 狗張子
- 牡丹唐草文蒔絵雛道具
内裏雛(初公開資料)より
- 有職雛(直衣雛)
- 雛屏風
など約100点(すべて本館蔵)
1) 有職雛(直衣雛) 国立歴史民俗博物館蔵
2020年度に寄贈を受けた新収蔵資料。長州藩士の家に和宮より拝領した品として伝来した。徳川宗家に伝来した和宮ゆかりの有職雛と非常によく似ており、ほぼ同時期に同一工房で制作されたと考えられる。
2) 有職雛(直衣雛) 国立歴史民俗博物館蔵
和宮ゆかりの雛人形は有職雛(ゆうそくびな)である。有職雛とは、有職(朝廷・公卿(くぎょう)の儀礼に関する知識)にもとづき、実際の公卿装束とかわらぬ装束を着せかけた雛人形のことをいい、18紀後半につくられ始めた。
本品の場合、男雛が直衣(のうし)を着けていることから、とくに直衣雛(のうしびな)とも呼ぶ。本資料は、徳川宗家に伝来したもの。
3) 須磨明石図屏風 国立歴史民俗博物館蔵
4) 狗張子 国立歴史民俗博物館蔵
5) 箪笥・長持・鋏箱 国立歴史民俗博物館蔵
6) ギヤマン酒宴道具 国立歴史民俗博物館蔵
7) 植木棚 国立歴史民俗博物館蔵
8) 御所人形「牛若と弁慶」 国立歴史民俗博物館蔵
展示代表
澤田 和人
SAWADA Kazuto
准教授
研究部情報資料研究系
文学修士(大阪大学)(1998年取得)
専門分野:染織史,服飾史,絵画史(絵巻)
主要研究課題:中世を中心とする染織および服飾・衣装風俗に関する研究,野村正治郎に関する研究
所属学会:美術史学会
学歴:大阪大学文学部美学科(1996年卒業)
大阪大学大学院文学研究科芸術史学専攻博士前期課程(1998年修了)