第433回「幕末の風刺画と鯰絵」

歴博講演会

開催要項

日程

2021年8月14日(土)※開催中止

講師

湯浅 淑子(たばこと塩の博物館)

講演趣旨

19世紀後半、江戸では数多くの風刺画が制作されました。当時の浮世絵出版には、絵師名と版元名を出し、出版前に改(あらため=検閲のこと)を受けるというルールがありましたが、浮世絵のいちジャンルである風刺画には、出版ルールに則ったものと無視したものがあります。出版ルールに則った風刺画は、検閲を通すためか、内容がストレートに伝わらないように、わかりづらくなっています。一方ルールを無視したものは、何を風刺しているか、よりわかりやすいものが多いという特徴があります。

安政2年(1855)102日に江戸を襲った大地震をきっかけに出された鯰絵以降、出版ルールを無視したものが多く見られるようになり、それに伴い風刺の対象がストレートに表現されるようになります。そういう意味でも、鯰絵は幕末の風刺画にとり、大きな存在です。さらに鯰絵展でも触れられている通り、鯰絵のモチーフはその後の風刺画に受け継がれていて、鯰絵が幕末の風刺画に与えた影響は大きなものがあります。

ここでは、19世紀の代表的な風刺画を紹介し、鯰絵以前と以降での変化を見ながら、鯰絵の果たした役割を考えたいと思います。