基盤研究

歴博研究映像共同研究

歴博研究映像の総合的活用の方法論の構築―沖縄地域の映像を中心に

研究期間:2022年度~2024年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 春日 聡(多摩美術大学/映像人類学・音文化研究/総括、映像制作)
研究組織

分藤 大翼
(信州大学全学教育機構/文化人類学/映像人類学観点での映像制作論・活用論)
外間 正明
(那覇市歴史博物館/歴史学/福地フィルムの研究と活用)
大湾 ゆかり
(沖縄県立博物館・美術館/民俗学/沖縄の民俗文化の映像分析と現地調査)
内田 順子
(本館研究部/民俗音楽学/総括補助、映像の保存と活用)
川村 清志
(本館研究部/民俗学/植物と生活文化の観点での映像分析と現地調査)
澤田 和人
(本館研究部/染織史・服飾史/染織史・服飾史の観点での映像分析と現地調査)
山田 慎也(本館研究部/民俗学/死者儀礼の映像分析と現地調査)

研究目的

本研究は、歴博が1988年以来実施してきた研究映像制作の成果および共同研究「歴博研究映像の制作・保存・活用―苧麻文化の映像記録化を中心に」(2019〜2021年度、研究代表:春日聡。以下、「前共同研究」とする)の成果に基づき、①歴博研究映像のアーカイブ映像を新規のテーマで研究活用するほか、②前共同研究において実施した福地唯方8ミリフィルムコレクション(以下、福地コレクションとする)のデジタル復元を推進し、③これらの映像を活用しながら現地調査・撮影等を実施して新たな映像記録を蓄積するとともに、④これらの成果を、上映・展示での活用のほか、オンラインでの提供など、総合的な利活用を推進することを目的とする。具体的には以下の通りである。

① 歴博が1988年以来制作してきた研究映像のうち、沖縄県の民俗文化・歴史をテーマに制作された4映像(『黒島民俗誌』1993年、『沖縄・糸満の門中行事-門開きと神年頭-』1996年、『沖縄の焼物 伝統の現在』2000年、前共同研究で制作した沖縄県宮古島における苧麻の生産をテーマとした研究映像)を、民俗宗教行事・生活文化における植物利用を中心的なテーマとして分析し、沖縄県立博物館・美術館と連携してアーカイブ映像の活用をはかる。

② 那覇市歴史博物館が所蔵する福地コレクションは、郷土史家である福地唯方が1960年代後半〜1970年代前半にかけて沖縄各地で撮影した8ミリフィルムで、全87巻から成る。87巻はすべて、著しく劣化が進み、フィルムがくっついて固まってしまっており、そのままでは撮影内容を確認することができない状態であるが、試験的にデジタル復元されたフィルムが沖縄アーカイブ研究所から公開されており、現在では得難い貴重な内容であることが予測される。前共同研究では、宮古島で撮影された祭祀・行事関連のフィルム2巻をデジタル復元し、その諸過程も映像で記録した。本共同研究では、新たに5巻をデジタル化し、それらの映像に基づいた現地調査を実施して研究情報を付与し、那覇市歴史博物館と連携して研究資源化をはかる。

③ ①②の成果を活用しながら現地調査・撮影を実施し、民俗宗教行事・生活文化における植物利用をテーマとする映像のほか、福地フィルムのデジタル復元の諸過程も、研究映像として映像化する。

④ ①〜③による成果を、歴博映像フォーラムを実施して公開するほか、沖縄県立博物館・美術館、那覇市歴史博物館と連携し、展示やオンラインでの提供など、総合的な利活用に取り組む。