基盤研究

館蔵資料型共同研究

高度情報化による古代中世の寺院および荘園の総合的研究 ―額田寺伽藍並条里図と栄山寺寺領文書を中心に―

研究期間:2021年度~2023年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 下村 周太郎(早稲田大学文学学術院/日本中世史/研究の総括、中世の社会史)
研究組織 赤松 秀亮 (別府大学/日本中世史/中世の荘園史)
坂本 亮太 (和歌山県立博物館/日本中世史/中世の村落史)
高木 徳郎 (早稲田大学教育・総合科学学術院/日本中世史/中世の環境史)
服部 光真 (元興寺文化財研究所/日本中世史/中世の地方寺院)
山崎 竜洋 (五條市教育委員会事務局/日本近世史/近世の地方寺院)
鈴木 景二 (富山大学/日本古代史/北陸古代荘園との比較)
山口 英男 (東京大学史料編纂所/日本古代史/荘園絵図の分析)
鷺森 浩幸 (帝塚山大学/日本古代史/王臣家の荘園分析)
三河 雅弘 (専修大学/歴史地理学/荘園絵図の分析)
西尾 知己 (関東学院大学/日本中世史/中世の権門寺院) 令和4年4月~
似鳥 雄一 (高千穂大学商学部/日本中世史/中世の村落景観復元)令和4年4月~
服部 一隆 (明治大学文学部/日本古代史/古代土地制度史)令和4年10月~
中島 皓輝 (明治大学大学院/日本古代史/栄山寺文書の高度情報化による寺領分析)令和5年3月~
仁藤 敦史 (本館研究部/日本古代史/研究の総括、古代の荘園史)
三上 喜孝 (本館研究部/日本古代史/古代の村落史)
島津 美子 (本館研究部/分析科学/荘園図の材質分析)
後藤 真 (本館研究部/歴史情報学/荘園開発史の高度情報化)

研究目的

本館が所蔵する「額田寺伽藍並条里図」および「栄山寺寺領文書」は、奈良・平安時代の寺院および寺領荘園に関する同時代史料として知られ、前者は国宝、後者は重要文化財に指定されている。本研究ではデジタル技術も活用することで、両史料に関する研究基盤の構築・高度化を図るとともに、古代史・中世史双方の研究者が参画することで、古代~中世における寺院・寺領荘園の総合的・多角的研究の推進を目指す。

前者は現在の奈良県大和郡山市に所在する額田寺(現・額安寺)の境内地および周辺の寺領を、麻布に彩色で描いた絵図で、天平宝字年間(757~765)の作成とされる。奈良時代の寺院や寺領を描出する史料として極めて貴重であり、史料の乏しい当該期の寺院史・荘園史研究において積極的に活用されるべきである反面、退色や朽損が進んでおり、保護・保全への適切な配慮も求められるものである。そこで、本研究ではデジタル撮影により得られた高精細画像の公開を推進するとともに、高精細画像を活用しながら、現物では視認が困難化している記載内容の検討、絵図に用いられた顔料や麻布の自然科学的な分析、記載内容と現地景観との突合による歴史的景観の遡及的復元などに取り組む。

後者は現在の奈良県五條市に所在する栄山寺の平安期の寺領に関する史料で、特に11~12世紀(摂関・院政期)のいわゆる王朝国家段階における古代荘園から中世荘園への転換状況を示すものとして著名である。中でも、条里の坪ごとに租税の免否を確定するためになされた栄山寺と国司とのやり取りに関する一連の史料(栄山寺牒)は、古代中世移行期の荘園史研究における基本史料となっている。ただし、やはり経年の劣化が進んでおり、文字の判読に困難な箇所も生じており、特に細字の注記や朱書きなどについては改めて厳密に解読・確定していく必要がある。また、錯簡ないし断簡が疑われている史料もあり、接続関係についての慎重な検討も望まれる。本研究では、前者と同様に、デジタル撮影により得られた高精細画像の公開を推進するとともに、高精細画像を活用しながら、記載された文字・数字の分析とデータ化および記載内容と現地景観との突合による歴史的景観の遡及的復元などに取り組む。

前者は奈良時代の絵図史料、後者は平安時代の文書史料という別はあるが、いずれも古代~中世における寺院および寺領荘園の実態にアプローチしうる稀有な史料である。文化財としての適切な保存と研究資源としての積極的な活用の両立という観点から、デジタル技術を駆使した高度情報化研究による研究基盤の構築を図り、その上で古代史・中世史双方の研究者が参画し、古代から中世における寺院・寺領荘園の変容過程を断絶・連続の両面から追究することで、寺院史・荘園史研究の新段階を招来したい。

研究会等

概要

日程:2023年12月14日(木)
場所:オンライン

内容

似鳥雄一「室町後期の大和国宇智郡と興福寺―大乗院尋尊の周辺史料から―」

概要

日程:2023年9月24日(日)~年9月25日(月)
場所:国立歴史民俗博物館大会議室

内容

鷺森浩幸(帝塚山大学)「額田寺伽藍並条里図作成頃の額田地域」
山口英男(東京大学史料編纂所)「古代荘園図のランドマーク記載―額田寺伽藍並条里図の事例を参考に―」
西尾知己(関東学院大学)「室町期興福寺の本末関係に関する一考察―栄山寺・久米田寺・和泉松尾寺の事例から―」

概要

日程:2023年7月23日(日)
場所:早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室

内容

三上喜孝(歴博)「宇智川磨崖碑について」
坂本亮太(和歌山県立博物館)「栄山寺領紀伊国東屋荘をめぐる諸問題」
山崎竜洋(五條市教育委員会)「近代栄山寺の官有地境内編入について」

概要

日程:2023年2月10日(金)
場所:国立歴史民俗博物館 大会議室

内容

三河 雅弘(専修大学)「額田寺伽藍並条里図の作成と班田図の整備」
赤松 秀亮(別府大学)「大和国栄山寺周辺の歴史的景観」

概要

日程:2022年12月17日(土)
場所:早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室

内容

公家 怜亮(慶応義塾大学大学院)
  「2021~22年度「古代荘園と在地社会についての高度情報化研究」データ作成進捗状況」
島津 美子(歴博)
 「対象資料の基礎情報に関わる調査」

なお、公家報告は科研費基盤(C)「古代荘園と在地社会についての高度情報化研究」(20K00995) の成果である。