基盤研究

課題設定型共同研究

映像による民俗誌の叙述に関する総合的研究-制作とアーカイブスの実践的方法論の検討

研究期間:2021年度~2023年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 村上 忠喜
(京都産業大学文化学部/民俗学/(1)・(6)・(9)・(10)・(11))
研究組織 今石 みぎわ
(東京文化財研究所/民俗学/(4)・(7)・(10))
梅屋 潔
(神戸大学大学院/社会人類学/(7)・(11))
久保田 裕道
(東京文化財研究所/民俗芸能/(8)・(9))
小林 稔
(國學院大學研究開発推進機構/民俗学/(3))
関 孝夫
(上尾市教育委員会/民俗学/(2))
東城 義則
(立命館大学OIC総合研究機構/民俗学/(3)・(7)・(10))
俵木 悟
(成城大学/民俗学/(1)・(6)・(9))
政岡 伸洋
(東北学院大学/民俗学/(7)・(11))
森本 仙介
(奈良県文化・教育・くらし創造部文化財保存課/民俗学/(2)・(9))
内田 順子
(本館研究部/民俗音楽学/(4)・(12))
川村 清志
(本館研究部/民俗学/(3)・(5)・(8)・(11)・(12))
後藤 真
(本館研究部/歴史情報学/(3)・(5)・(8))
高科 真紀
(本館研究部/アーカイブズ学/(8)・(9))

※ (1) これまでの民俗文化財記録映像制作事業の展開についての検討
※ (2) 最新のHD型民俗記録映像の作品紹介と評価による最新の成果についての検証
※ (3)全国の研究者及び文化財担当者向けに映像発信のプラットフォームを開設、および議論の輪を広げる手法の構築
※ (4) 映像記録のシンポジウム開催
※ (5) 全国からの意見聴取や議論の集約作業の継続および発展
※ (6) 先駆的な取り組みの調査
※ (7) これまでの民俗誌映像のバリエーションに関する研究推進
※ (8) プラットフォームの一般公開に向けての課題検討
※ (9) 映像制作からアーカイブまでの方法論のマニュアル作成
※ (10) (9)の多言語版マニュアル作成
※ (11) 映像記録を用いた論文の試作・検討
※ (12) 国際シンポジウム準備・開催

研究目的

本研究の全体構想は、ここ20年あまりの間に全国で作成されてきた民俗文化財記録映像の成果を検証することを通して、「民俗を記録する」という営為、換言すれば「映像による民俗誌作成」とは何かを検討することを第一の目的とする。

民俗文化財の記録映像の方法論の検討は、関西の民俗文化財担当者や東京文化財研究所などが中心となって進められ、(A)普及啓発、(B)伝承支援、(C)民俗文化財を含む地域総体の記録の、大きく3つの目的に沿って作成すべきであるという結論に達し、その方法論が検討されてきた。しかしながらこの3つの中で方法的な検討がほぼ手付かずのまま放置されているのが、(C)民俗文化財を含む地域総体の記録のあり方の検討である。

そこで本共同研究において(C)に関しての検討を進めることで、ここ20年ほどかけて進められてきた民俗文化財記録映像を総合的に活用し、その成果の共有と議論の場を創出したい。その場(プラットフォーム)は、民俗文化財の記録映像制作に関心の高い全国の研究者や行政担当者、博物館学芸員、そして一部の映像作成業者に開かれたサイト(おおよそ数百人規模を想定)である。双方向のサイトであり、全国からの意見聴取、取り組み成果の情報収集等を行い、それを研究会の議論に反映させていく。

加えて、先述の(C)に関する方法論の議論を深めていくと同時に、映像を使った新しい民俗誌を叙述する試みの検討を行う。同時に、世界的にも先端的であることは間違いない日本の民俗文化の記録映像作成の方法等を、海外の研究者や担当者と共有する場を最終年次に設けて、民俗学の国際化に貢献することを企画する。
そこで、同時にその成果は、既存の民俗誌記述の理論的進捗にもフィードバックすることが可能であると予測しており、無形民俗文化財の保護に関する制度の見直し等の提言も準備していきたいと考えている。

具体的な手法としては、本研究会開始後のなるべく早い時期に、歴博内に、各地で作成された民俗文化財記録映像のアーカイブ・公開サイトを立ちあげるところからはじめる予定である。このサイトは、これはこれまで歴博が培ってきた全国の博物館との協力体制、関係性に加えて、文化財行政部局の民俗担当部門で働く行政内研究者との関係性の構築に資することは間違いない。

研究会等

概要

日程:2023年10月29日(日)
場所:国立歴史民俗博物館

内容

「映像による民俗誌の叙述に関する総合的研究」の研究会をハイブリッドの形式で行った。当日は、代表と副代表以外に9名の参加者があり、代表の村上からこれまで検討してきたHDDディスク型の民俗映像記録へと至る文化財の記録映像、並びに映像民俗誌の研究史の流れについての発表があった。また、副代表の川村からは、昨年行った映像研究会の成果発表について、ブックレットの書式を含めた提案を行い、ディスカッションを行った。さらに来年2月に開催予定の台湾での国際シンポジウムと巡検の日程と参加者・発表予定者についてのミーティングを行った。

概要

日程:2023年7月21日(金)~ 7月22日(土)
場所:京都市職員会館かもがわ(京都市中京区土手町通夷川上る末丸町284)

内容

国立歴史民俗博物館の共同研究会「映像による民俗誌の叙述に関する総合的研究-制作とアーカイブスの実践的方法論の検討」の2023年度の第一回研究会を開催した。午前中に神戸大学の梅屋潔研究員から映像を用いた調査事例、並びにアフリカでの撮影記録を含めた発表が行われた。午後からは、午前の発表についての討論に続いて当館の川村清志研究員から、歴博の民俗研究映像の応用活用の事例として、沖縄県竹富島町黒島で1993年に作られた映像(監督、篠原徹)から30年後の事例紹介として、2023年に行われた黒島の旧正月の行事の映像紹介を行なった。なお、研究会前日には、京都産業大学にて代表の村上、川村、政岡にて次回以後の研究会の予定についての打ち合わせを行い、22日の研究会終了後は、村上がかつて映像記録も撮影した祇園祭の会所の現状を彼の解説のもとに参加者一同で巡検した。