共同利用型共同研究

分析機器・設備利用型

鉛同位体比分析による鉛ガラス嵌入馬具から古代東アジア国際関係を探る

研究期間:2020年度

研究代表者 村串 まどか(筑波大学 日本学術振興会)
館内担当教員 齋藤 努(本館研究部 情報資料研究系)

研究目的

本研究では新羅製と考えらえる馬具に嵌入された鉛ガラスに着目し、鉛同位体比分析から鉛の原産地を明らかにすることで、古代の国際関係を辿っていくことを目的とする。船原古墳1号土坑(福岡県古賀市)から出土した新羅製と考えられる馬具のうち、「辻金具」と「雲珠」と呼ばれる部分において、ガラスの装飾が施されている。九州歴史資料館の調査によると、このガラスはケイ素Siと鉛Pbを含むことから「鉛ガラス」であることが明らかになった。鉛ガラス製のガラス製品は中国戦国時代から漢代頃にかけて出現し、日本列島においても弥生時代の遺跡からの出土例が報告されている。その後、鉛ガラスの製造は断絶するが、『随書』より隋代において緑色鉛ガラスが復活したとされる。こうした背景から鉛ガラスを用いて新羅製の馬具が作られる過程において、隋から新羅へ原料ガラスが輸出されたか、鉛ガラスの生産技術が隋から新羅へ伝わった可能性が考えられる。

船原古墳から発見された馬具装飾の鉛ガラスに対し、鉛同位体比分析による原料産地の推定というアプローチをすることで、馬具制作の技術伝播の実態解明が期待される。本研究では、このように大変注目度の高い船原1号土坑から出土した馬具の鉛ガラスを対象として鉛同位体比分析を実施し、隋‐新羅‐倭における国際関係を明らかにすることを目指す。