基盤研究

館蔵資料型共同研究

『広橋家旧蔵記録文書典籍類』を素材とする中世公家の家蔵史料群に関する研究

研究期間:2020年度~2022年度

  氏名
(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者

家永 遵嗣
(学習院大学/日本中世史/藤原光業・兼綱・仲光の研究)

研究組織

榎原 雅治
(東京大学史料編纂所/日本中世史/藤原兼宣・兼郷の研究)
遠藤 珠紀
(東京大学史料編纂所/日本中世史/藤原綱光・兼顕の研究、史料群形成史の研究)
小倉 慈司
(本館研究部/日本古代史/広橋家史料の古代典籍の研究)
尾上 陽介
(東京大学史料編纂所/日本中世史/藤原頼資・経光の研究)
甲斐 玄洋
(佐伯市歴史資料館/日本中世史/藤原頼資・経光の研究)
末柄 豊
(東京大学史料編纂所/日本中世史/藤原兼秀の研究)
瀬戸 祐規
(神戸松蔭女子学院大学/日本中世文学/藤原守光の研究)
高橋 秀樹
(國學院大学/日本中世史/藤原兼仲の研究、史料群形成史の研究)
田中 奈保
(鎌倉女学院中学校・高等学校/日本中世史/藤原兼綱・仲光・綱光の研究)
田中 大喜
(本館研究部/日本中世史/広橋家史料の武家文書の研究)
田村 航
(明治学院大学/日本中世史/藤原兼郷・綱光の研究)
久水 俊和
(明治大学/日本中世史/朝儀経費史料の研究)
廣田 浩治
(静岡市文化振興財団事務局/日本中世史/藤原守光の研究)
湯川 敏治
(学識経験者/日本中世史/藤原守光の研究)

研究目的

『広橋家旧蔵記録文書典籍類』の全体像を歴代当主の伝記を軸として整理して提示するとともに、包含史料それぞれの価値を提示し、本史料群を用いた研究の多様化と活発化を促す。

広橋家は初代頼資以降、先例を研究して公務を遂行し、その記録を作成・書写することでノウハウを蓄積し、功績による昇進を通じて家格を確立する、という営みを通じて一家を立てた。鎌倉期には摂関家の家司・家礼や蔵人・弁官・公卿として朝廷の政務を支え、室町期には足利義満の姻戚となって室町殿の家政を後見し、公武の間に介在する武家伝奏の地位を占めるようになって近世に至る。朝廷の基盤が縮小した戦国期にも、在京して朝廷を支える「小番衆」として奉仕した。

『広橋家旧蔵記録文書典籍類』には、上記の歴史を辿った広橋家の、歴代当主の公務日誌、業務関係書類(文書)、先例調査の成果文献(典籍)が豊富に含まれ、伝存数が非常に大きい。この史料群を通じて、公務を担うイエの在り方と、イエの外部にある朝廷官人としての公務連繋、また、摂関家・室町殿の家産官僚としての公務連繋を解明することができる。

しかしながら、写真で約23,000コマ、成巻数で993件におよぶ膨大な史料群であることから、全体像の把握と有益な個別史料へのアクセスに困難があった。ここで、2019年3月刊行の国立歴史民俗博物館『広橋家旧蔵記録文書典籍類目録』によって、包含史料それぞれの基本情報が網羅された。また、研究代表者を中心とするグループ(家永・甲斐玄洋・田中大喜・田村航)は、2003年以来、当該史料群の個々の史料について関与した当主の割り出しを進めており、その成果を近く公開する予定である。これらによって、個別史料に対するアクセス条件が大幅に改善すると見込まれる。これらを踏まえて、『広橋家旧蔵記録文書典籍類』の全体像と包含史料の価値を提示する。

当該史料群に含まれる日記、公務関係文書、先例調査文献を、歴代当主それぞれの経歴と結びつけて位置づけ、その全体像をイエの歴史として整理して提示する。さらに、近年試みられている業務書類や故実研究典籍についての研究方法を適用し、これら史料群の内容とその価値を解明・紹介することを通じて、本史料群を用いた研究の多様化と活発化を促す。また、近代における史料の整理・補修によって当該史料群の現状が如何に形成されたのか、についても示す。あわせて、広橋家に関係する史料に関わる研究文献を調査し、研究文献目録を作成して活用の一助とする。