共同利用型共同研究

館蔵資料型共同研究

「豊後若林家文書」の伝来検討と関連水軍史料との比較

研究期間:2019年度

研究代表者 鹿毛 敏夫(名古屋学院大学)
館内担当教員 荒木 和憲(本館研究部)

研究目的

九州豊後の戦国大名大友氏の水軍組織に関しては、16世紀後半の永禄期に水軍「大将」に任じられた若林鎮興を擁する「若林氏」が注目されてきた。すなわち、若林氏は、古代の海部の歴史と伝統を有する豊後国海部郡を舞台に成長を遂げた海の領主であり、佐賀関半島南部で臼杵湾に面した海部郡佐賀郷一尺屋に本貫を有す。一方、多くの水軍衆によって構成されていたと推測される大友水軍であるが、近年新たに、古代以来、豊後国随一の港町であった佐賀関を本拠とする水軍衆「上野氏」の存在も明らかになってきた。

同じ海部郡の一尺屋と佐賀関という隣接する港町を本拠とする若林氏と上野氏は、中世から近世にかけていかなる相互関係にあり、また大名大友氏とはどのような関係性を構築していたのであろうか。

本共同研究では、第1に、若林家に伝わった中世文書群全体が近世以降において3つに分割されて伝来していくことになるその伝来系統を考察する。そして第2に、同様の水軍史料として近年その存在が確認された上野家に伝わる中世文書群の原本調査を実施し、その内容を分析して若林家文書と比較する。

2つの家に伝わる文書群の伝来と主家大友氏を介した相互の関係を比較考察することにより、中世九州の海の武士衆の活動実態を浮き彫りにし、また、15世紀段階に上野氏が掌握していた「佐賀郷関宮御神領御代官職」が16世紀末に若林氏の差配に転換される経緯等についても検討していく。