共同利用型共同研究

館蔵資料型共同研究

葬列における輿に関する日韓比較研究

研究期間:2019年度

研究代表者 金 セッピョル (総合地球環境学研究所)
館内担当教員 山田 慎也 (本館研究部)

研究目的

日本と韓国の葬送儀礼において、葬列はこの世からあの世への移行を意味する重要な儀式であった。なかでも、遺体を乗せる輿は、葬列の中で中心的な存在である。しかし両国において輿自体を対象とした研究は乏しく、輿の構造や象徴、使用・管理状況は未知のままである。そこで本研究は、国立歴史民俗博物館に所蔵されている輿や、輿が登場する絵巻・写真資料、文献資料などを中心に、物質文化としての輿の具体像を明らかにしていきたい。また、韓国においては、輿(喪輿(サンヨ))が数多く存在する慶尚北道の資料を中心に調査を進める。

さらに、これに基づいて日本と韓国において輿がいかに位置付けられてきたかに迫りたい。日本では葬列の衰退とともに輿も姿を消し、霊柩車が登場した。近年では霊柩車にも否定的なまなざしが向けられ、消えつつある。その一方、韓国では喪輿、喪輿を保管する小屋、喪輿関連民俗などを保存しようとする運動があり、両国の葬列における輿の位置付けは対照的であると言える。このような差異に至る変遷を明らかにし、当時の葬送儀礼を通して死生観を照射する。