基盤研究

歴博研究映像共同研究

歴博研究映像の制作・保存・活用―苧麻文化の映像記録化を中心に

研究期間:2019年度~2021年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 春日 聡(多摩美術大学/映像人類学/総括,映像制作)
研究組織 島立 理子(千葉県立中央博物館/近代史・民俗学/生活と自然との関わり)
分藤 大翼(信州大学全学教育機構/文化人類学/苧麻文化の地域比較)
青木 隆浩(本館研究部/民俗学/歴博研究映像の活用)
内田 順子(本館研究部/民俗音楽学/総括補佐・映像制作)
川村 清志(本館研究部/民俗学/歴博研究映像の活用・映像制作)
澤田 和人(本館研究部/染織史・服飾史/服飾史の観点からの苧麻文化の検討)

研究目的

 本研究では,「歴博研究映像」の制作を、日本列島の歴史・民俗を記録・分析・研究する手段として位置づけ、歴博が制作してきた過去の研究映像の蓄積を活用し、新たな課題設定のもとに調査・撮影を実施して,新規の研究映像を作成するほか、それらの利活用をとおして、歴博の研究映像の成果全体の発信力を高めていくことを目的とする。具体的には以下の通りである。

  1. 共同研究「歴史・民俗研究の資源としての映像の制作・保存・共有と歴博型プラットフォームの構築」(2016〜2018年度、代表:内田順子。以下、「前共同研究」と記す)において制作した、福島県昭和村における苧麻の生産をテーマとした研究映像の成果をふまえ、現代日本のもうひとつの苧麻の生産地である宮古島において新たな調査・撮影を実施する。そして、自然と生活の関係・苧麻生産の歴史的経緯・苧麻生産の現状・技術伝承の方法等の観点から両地域を比較検討して、日本列島の苧麻文化の特徴や多様性を明らかにし、その成果を研究映像として視覚的に示す。
  2. 前共同研究において実施した「歴博映像祭2:民俗研究映像の30年」の成果をふまえ、上映した研究映像から1~2作品を選択し、新たな調査により再編集を行い、蓄積された研究映像の活用を活性化する。
  3. 1・2による成果を、歴博映像フォーラム等の実施を通して発信する。歴博は、1988年度以降、毎年1作品以上の研究映像を継続して制作してきた。2007年度以降は、歴博映像フォーラムを毎年実施して、その成果をコンスタントに公開してきた。しかし、本共同研究が開始される2019年度以降は、3年間の共同研究の中で、最低限、ひとつの映像を制作することになったため、毎年の映像フォーラムのコンテンツの実施計画も検討すべき課題となる。研究成果の一般への公開方法として代表的なものに展示があるが、映像の上映は展示とならび、研究成果を一般の人々へ届ける手段として有効であることから、毎年の歴博映像フォーラムの実施は、可能な限り維持していきたいと考える。本研究では、蓄積された研究映像を検討し、2020〜2022年度の歴博映像フォーラムを企画し、歴博における映像資源の発信力を高めてゆく。