開発型共同研究

歴史災害研究のオープンサイエンス化に向けた研究

研究期間:2018年度~2020年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 橋本 雄太(本館研究部/人文情報学/全体統括・市民参加データ構築)
研究組織 山田 太造(東京大学史料編纂所/人文情報学/災害史料構造化)
中西 一郎(元京都大学大学院理学研究科/地震学/館蔵史料調査・災害史料構造化)
加納 靖之(東京大学地震研究所/地震学/館蔵史料調査・災害史料構造化)
大邑 潤三(東京大学地震研究所/自然地理学/館蔵史料調査・災害史料構造化)
堀川 晴央(産業技術総合研究所/地震学/館蔵史料調査・災害史料構造化)
北本 朝展(国立情報学研究所/情報学/災害史料構造化・市民参加データ構築)
市野 美夏(情報システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設/気候学/災害史料の構造化記述)
鈴木 比奈子(国立研究開発法人防災科学技術研究所/地理学/災害史料の構造化記述
青山 宏(本館研究部/歴史地理学/災害史料構造化)
鈴木 卓治(本館研究部/情報学/災害史料構造化)
後藤 真(本館研究部/人文情報学/災害史料構造化)
天野 真志(本館研究部/近世日本史学/館蔵史料調査・災害史料構造化)

研究目的

本研究の目的は、前近代に発生した暴風、豪雨、洪水、地震、津波、火山噴火などについての歴史災害研究に、オープンサイエンスの手法を導入し、これによって歴史災害研究の情報基盤を刷新することである。オープンサイエンスとは、実験データのオープンデータ公開や、市民参加プロジェクトの実施など、科学研究に関わる様々なデータや手続きの「オープン」化をはかる運動である。情報共有による研究効率の向上や、市民参加による大規模データ収集・解析の実現といった効用があり、医学、生物学、天文学、気象学などの分野で、オープンサイエンス的手法は急速に普及しつつある。

歴史災害研究の分野における主要な研究資源は、過去に編纂された史料集や、古文書・古記録など未翻刻の原史料であるが、これらの文献史料には、しばしば高いアクセス障壁が存在し、識別子も付与されていない。また非構造化データであるため機械処理も困難である。さらに、史料そのものを解読できる研究者の数も限られている。

そこで本研究では、オープンサイエンスの標準手法を導入し、災害史料にオープンかつ機械可読な形式でアクセスするための情報基盤を構築する。また、市民参加型のプラットフォームを開発し、少数の研究者の手では不可能な災害史料の大規模データ化を遂行する。これにより、歴史災害研究の情報基盤を最適化し、史料データの高度な利活用を促進する。具体的な研究課題として次の3項目を設定する:

(1)災害史料の構造化記述モデルの構築
地震学・歴史学・地理学・情報学の各専門家の検討の下、災害史料に含まれる時空間情報や被害状況を、機械処理可能な構造化データとして記述するためのモデルを構築する。構造化データのLinked Open Data化や、史料へのDOI(Digital Object Identifier)付与、データ可視化、原史料画像のIIIF公開、歴史GIS技術との連携など、データの永続的管理や活用手法についても併せて検討する。

(2)市民参加による大規模データ構築 
膨大な量が残されている災害史料から、(1)の構造化モデルに基づくデータを生成するために、多数の市民の参画を実現するクラウドソーシング・プラットフォームを開発する。その土台として、研究代表者らがすでに開発公開している『みんなで翻刻』を拡張する。このプラットフォーム上で、デジタル化した災害史料を公開し、市民の協力のもと災害研究に有用な各種データを構造化して抽出する。特に、史料からの時空間情報と被害情報の抽出に重点を置く。

(3)歴博館蔵史料の調査とオープンサイエンス手法の適用 
歴博内の災害史料、特に近世の災害記録史料について、災害研究者と歴史研究者の協働のもと、系統的な調査を実施する。また館蔵の災害史料の一部を必要な手続きを経た上でデジタル化し、実験的に課題(1)(2)で開発した構造化記述と市民参画の手法を適用する。

研究会等

概要

日程:2020年11月25日(水)
場所:オンライン(Zoom)

内容

【日時】
11月25日(水)14:00〜17:30

【プログラム】
14:00-14:05 挨拶・事務連絡等
14:05-15:05 大邑「歴史地震史料のGIS化と分析の試み-文禄五年畿内の地震に関する史料について-」
15:05-16:05 北本「情報学視点の歴史ビッグデータ研究-データ構造化ワークフローと「れきろく」構想-」
16:05-16:20 休憩
16:20-17:30 全体議論

概要

日程:2018年6月4日(日)
場所:国立歴史民俗博物館

内容

以下のスケジュールで報告と議論を実施した

14:00〜15:30 橋本(歴博)共同研究の背景,目的,計画などについて説明
15:45〜17:15 中西(京都大学)「史料の履歴書:地震史料」
17:15〜18:00 議論:共同研究の今後の計画について