基盤研究

館蔵資料利用型共同研究

「豊後若林家文書」の修正翻刻と総合比較

研究期間:平成30年度

研究代表者 鹿毛 敏夫(名古屋学院大学)
館内担当教員 荒木 和憲(本館研究部)

研究目的

「若林家文書」は、豊後国海部郡佐賀郷の一尺屋(大分県佐賀関町)を本貫とする若林家に伝来した中世古文書群であり、現在は、(1)国立歴史民俗博物館の「豊後若林家文書」と、(2)佐賀関町の若林ヤスエ氏蔵「若林文書」、(3)大分市の合澤康就氏蔵「若林文書」の3カ所に別れて所蔵されている。

3つの文書群はともに『大分県史料』に活字化されているが、(3)の合澤氏蔵「若林文書」27点は、昭和32(1957)年刊『大分県史料』13のなかで、「原本焼失」と誤認して「伊東東氏稿本」に依拠して翻刻したため、数多くの誤刻を含んでいる。また、昭和58(1983)年刊『大分県史料』35に翻刻された①の国立歴史民俗博物館蔵「豊後若林家文書」86点にも、若干の誤読・誤植が指摘されている。

そこで、本共同研究では、第1に、3つの文書群の原本調査を実施して、『大分県史料』誤刻部分の修正を施す。そして第2に、これまで一括の古文書群として総合的な調査が行われたことがない3群の史料を、統一的に比較調査し、重複文書の正文・写関係を分析して、同文書群全体の伝来系統を考察する。

若林一族の伝統的な生活基盤が、海部地域の海に展開したことは間違いなく、その生産活動は豊後水道の豊かな海産物への漁撈活動が大きな比重を占めている。16世紀には大名家臣団に編成されて活動するが、一族としての生産活動は、武士・漁民・船大工等、多方面に展開していた事実も明らかにしたい。