基盤研究

館蔵資料利用型共同研究

写真・絵葉書からみるアイヌの生活用品の地域的特徴

研究期間:平成30年度

研究代表者 城石 梨奈(釧路市立博物館)
館内担当教員 内田 順子(本館研究部)

研究目的

本研究は、明治期から昭和期にかけて、アイヌ文化の研究調査のために撮影された写真のほか、観光関連で制作され、一般社会にも流通した絵葉書を対象として、これらの画像に写る衣装や装飾品、民具などに着目し、アイヌの物質文化の地域的特徴、とりわけ申請者が勤務する道東地域の物質文化の特色を明らかにすることを目的とする。アイヌの先住民族としての地位と権利の承認が公的になされることの重要性が認識されると同時に、アイヌ文化復興の動きが近年ますます活発になっているが、その中でもっとも重視されていることのひとつに、言語における方言に見られるような、各地域による相違、地域的な特色ということがある。しかし、道東地域を例に挙げると、ある一定時期の基礎的な研究資料は残されているものの、それらの集約と整理・分析が進められておらず、文化復興における活用にも困難をきたしている。このような状況にあって、画像を手掛かりに、物質文化の掘り起こしとその分析整理によって地域の特色を抽出することは非常に有効な手段として注目される。

これまでのアイヌ資料を対象とした先行研究においては、物質文化や非物質文化の研究の参考資料として画像記録を部分的に用いる例や、画像のコレクションの成り立ちという側面から研究した例は見られる。本研究では、画像資料を研究の中心に据え、歴博所蔵のアイヌ関係の画像資料の情報を整理し、他機関が所蔵する関連画像資料との横断的な比較研究を行う他、地域のインフォーマントの協力によって、アイヌの物質文化の地域的特徴を明らかにしていく。所蔵館をこえて関連資料の情報を統合する機関間連携のほか、地域の人びとの参加を得るなどの地域連携の視点をもって研究を進めるところが、本研究の特徴である。