年度別学術成果報告

2014年3月31日

『イギリスの日本コレクションのデータベース化、及び公開方法の現状調査報告書』刊行

監修: 久留島 浩

執筆: 三木 美裕

発行元: 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 久留島研究室

発行日: 2014年3月31日

[内容]

2013年秋、イギリスとアイルランドで、日本コレクションのデータベース化とその公開方法の現状を調査し、その報告書を3月に機構から出版した。

調査では、各館での日本コレクションの資料のデータ化や、その調査状況、資料情報の一般公開の方法、今後の計画等を対象とした。主に学芸員からの聞き取り、およびアンケートで一斉に調査を行った。イギリスとアイルランドの86館に質問票を送り、68館から回答を得た。

回答率の高さは、日本コレクションが大切にされている証と考えられる。そのなかに日本を専門とする学芸員がいたのは、僅か3館であった。日本コレクションを有する施設は150館をこえるが、それを担当するのは、日本以外の専門を持つ学芸員という実態がよくあらわれている。聞き取りでは、個々の所蔵日本資料の具体的な情報が不足していて、それを改善したいという希望を何度も聞いた。同時に、展示や教育普及の現場にあたる学芸員からは、その必要とされる資料情報に違いがあるのも実感した。地域や規模、博物館や邸宅という公開の形態の違いから、必要とされる資料情報にも幅があるのがわかる。

首都ロンドンにある国立系の館を除けば、予算や職員の削減が続く地方の館で、日本コレクションの認知度は低く、データベース化では優先順位が低いのも、集計した数字に現れている。機構が行っている日本コレクションのデータベース化には高い関心が寄せられた。当報告書は、日本語と英語併記で出版し、イギリス、アイルランド各地に配布した。その後6月に開催したダラム大学でのセミナーでも取り上げられた。

(文責:三木)


『イギリスの日本コレクションのデータベース化の現状調査報告書』表紙

 

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