個別共同研究
東アジア先史時代の定住化過程の研究
研究期間:平成19年度~平成21年度
研究代表者 | 小林 謙一 (中央大学文学部) |
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研究組織 | 黒尾 和久 (国立ハンセン病資料館) 中山 真治 (府中市文化スポーツ部) 武川 夏樹 (栃木県教育委員会) 纐纈 茂 (名古屋市見晴台考古館) 櫛原 功一 (山梨文化財研究所) 今福 利恵 (山梨県教育庁) 中村 哲也 (青森県埋蔵文化財センター) 兵頭 勲 (愛媛県埋蔵文化財センター)) 綿貫 俊一 (大分県教育庁埋蔵文化財センター) 橋本 真紀夫 (パリノ・サーヴェイ株式会社) 矢作 健二 (パリノ・サーヴェイ株式会社) 大内 千年 (千葉県教育振興部) 郭 鐘 ((財)ウリ文化財研究所) 津村 宏臣 (同志社大学) 遠部 慎 (北海道大学) 工藤 雄一郎 (本館・研究部) 西本 豊弘 (本館・研究部) 藤尾 慎一郎(本館・研究部) 春成 秀爾 (本館・研究部) |
研究目的
縄文時代の集落研究は、土器編年研究と並び、日本先史考古学の大きな柱となってきたが、その内容は決して成果が大きいとは言えない。高度成長期による大規模開発に伴う広域調査により、集落調査例は膨大なものとなったが、かえってその実体については不明であり、特に最も遺跡数が多く集落も多く発見されている東日本縄文中期についてみると、同時存在住居の把握や集落の定住性について、異論が続いている。同一の集落例をさして一時期に100軒の集落が長期に定住と考える研究者と、1時期には1軒しかなく短い期間で移動とする研究者が、実証的な研究に立ち返ることなく、仮定に基づいた縄文社会像を組み立てようとしている。膨大なデータとなった集落調査例を集成すると同時に、集落の内容をどのように時期区分するかを検討しなくてはならない。
同様の研究上の混乱は中期以外の時期についても認められるが、縄文文化の始まりという点で最も重要な縄文草創期・早期については、いつからどのように定住が始まったのか、洞窟遺跡にみる居住痕跡をどのように考えるかは、日本列島における人類史的発展段階を捉える上で、極めて重要な時期である。前年度までに行った愛媛県上黒岩遺跡はその一つの典型的な遺跡であり、西日本の草創期・早期の居住遺跡を集成し、比較検討することは、資料的制約もあってこれまでおこなわれたことがなく、上黒岩遺跡の成果を基準として他の岩陰遺跡や開地遺跡、さらには近年事例が増えてきた竪穴住居について検討することが期待されている。
以上にあげた縄文中期と草創期の居住遺跡(集落と洞窟またはキャンプサイト的セツルメント)は、縄文集落研究さらには縄文社会論の上で、重要かつ典型的な研究対象となる。集落構造や居住形態について解明を進め、さらに土器編年や年代測定研究とあわせ検討することで、定住生活の開始と展開をめぐる先史社会研究として、大きな成果があげられると考える。将来的には、縄文時代全般、列島全域・東アジア全体の先史集落に対して、縄文集落遺跡の集成的研究を行っていくための基礎的作業としたい。
研究会開催予定-東アジア先史時代の定住化過程の研究 2009年度第4回研究会 |
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日程 : 2010年3月13日(月) 13:30~17:20 |
備考 |
報告者・タイトル |
研究会開催-東アジア先史時代の定住化過程の研究 2009年度第2回研究会 |
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日程:2009年8月10日(月) 13:00~17:00 |
備考 |
小林謙一 「大日野原遺跡発掘調査の調査方法」 |