共同研究:日本の葬儀の自由化・無宗教化に伴う音楽演出の変遷と現在
共同利用型共同研究
日本の葬儀の自由化・無宗教化に伴う音楽演出の変遷と現在
研究代表者 | 田井 みのり(東京都立大学大学院 人文科学研究科後期課程3年/文化人類学) |
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館内担当教員 | 山田 慎也(本館研究部 民俗研究系) |
研究目的
本研究では、現代日本の葬儀の自由化や無宗教化に伴う演出の変化について、葬儀写真の調査と葬儀社スタッフへのインタビューにより調査を行う。その際、特に音楽葬と呼ばれる音楽を中心的に用いた葬儀や、お別れ会を含む機会における音楽演出に焦点を当て、日本の葬儀においていかに音楽が用いられてきたかを重点的に検討することで、現代日本の葬儀の特質を明らかにする。
日本の葬儀の自由化については、数多くの研究がなされているが(e.g. 金セッピョル 2019)、音楽について中心的に扱った研究は、管見の限りない。一方、日本の葬儀では戦前から音楽が用いられることがあり、現在では、葬儀演出の主要な手段として、また無宗教葬などにおいて葬儀を構成する中心的な媒体として音楽が取り入れられている。こうしたことを鑑みれば、日本人の死生観や葬儀に対する意識の変化を捉える上でも、日本の葬儀において音楽が取り入れられてきた歴史的経緯や、それが人びとの如何なる要請によるものであったのかは検討に値する。
貴館の館蔵資料として所蔵されている「表現文化社『SOGI』葬儀記録写真」には、音楽葬や葬儀、お別れ会における音楽演出に関する写真、関連資料が多く含まれている。それらの資料の情報を年代ごとに整理したうえで、地域新聞等を含む関連する資料にあたり、地域ごとの葬儀の音楽演出に関する情報を収集する。加えて、各地の葬儀社のスタッフへのインタビュー調査を行うことで、日本の葬儀において音楽が取り入れられてきた経緯について多角的に捉え、また音楽演出のサービスの現状について明らかにする。