共同研究:家内における死者祭祀・祭具の現在とその歴史的検討:変容するモノ・家族・社会

歴博共同研究

基盤研究

館蔵資料型共同研究

家内における死者祭祀・祭具の現在とその歴史的検討:変容するモノ・家族・社会

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 土居 浩(ものつくり大学/民俗学/先祖祭祀の系譜、統括)
研究組織 瓜生 大輔(東京大学先端科学技術研究センター/デザイン/仏壇祭祀の変容)
朽木 量(千葉商科大学/考古学/仏壇祭祀の展開)
問芝 志保(東北大学大学院/宗教社会学/仏壇祭祀の展開)
徳野 崇行(駒澤大学/宗教学/仏壇祭祀の展開)
細田 亮(くぬぎ山ファミリークリニック/終末期医療/仏壇祭祀の変容)
村上 晶(駒澤大学/宗教学/先祖祭祀の系譜)
村上 紀夫(奈良大学/日本文化史/先祖祭祀の系譜)
山田 慎也(館内研究部/民俗学/仏壇祭祀の変容)

研究目的

本研究の目的は、現在も進行しつつある家内における死者祭祀の変容、ひいては家族観・死生観の変容について、従来の歴史像を再検討しつつ、新たな歴史像を提示することである。そのため、主に物質文化(モノ)へ着目した検討に取り組む。時代としては近世から現代までを射程に入れており、中軸とするのは家内に安置された仏壇(および位牌)である。仏壇は、日常的な先祖祭祀・死者祭祀の場として、人々の間に広く浸透しており、遺体・遺骨の収蔵施設である墓とは異なる性格を有する装置として、生活空間内で重要な役割を果たしてきた。近年、改めて仏壇や位牌に注目する研究が、様々な研究領域で単発的に散見され、相互の知見を架橋し総合的に検討する必要に迫られている。そのため本研究では、関連する諸領域の研究者を班員とし、以下の3つに分担構成し、相互に連携協力しつつ取り組む。

1.近世から近現代にかけての死者の家内祭祀の展開を検討する「仏壇祭祀の展開」班は、本研究の一つの柱である。たとえば考古学的調査報告からうかがえる歴史的展開はもちろん、たとえば位牌の形態や祭祀のあり方などにみる地域的偏差にも注意をはらいつつ、民俗学や文献史、近世考古学、さらには仏教思想史などの関係諸領域相互の知見を架橋し、統合的な歴史像の構築を目指す。

2.現在の仏壇じまいとその同時代的動態を検討する「仏壇祭祀の変容」は、本研究のもう一つの柱である。仏壇じまい・墓じまいなど、かつての祭具・仏具が、その終焉(しまわれ方)を含めどのような変容を迎えているのか、なかでも老人ホームなど施設へ入所する高齢者が増加していく現在、かつての祭具・仏具のその後ついて、いまだ学術的実態調査は行われていない。幸いにして医療関係の調査協力者が期待できるため、調査協力者も共同研究員として加え研究会で議論を重ね、仏壇じまいの共同調査に取り組み、現代の動態を明らかにしたい。その際、手元供養に代表される現在進行形の諸現象についても、仏壇じまいを取り巻く同時代的動態として、歴史的系譜を押さえつつ検討し、新たな歴史像の構築を目指す。

3.研究史を回顧し従来の歴史像を再検討する「先祖祭祀の系譜」班は、「仏壇祭祀の展開」・「仏壇祭祀の変容」の両班が研究を進める中で、物質文化(モノ)に着目し提示されるはずの歴史像が、単に資料の量的増加に陥り従来の歴史像を無批判に前提していないか、そのフィードバックの役割も担うべく、両班と連携しつつ取り組む。

以上、近世から現代の仏壇じまいまでを射程に入れた新たな歴史像については、研究報告書はもちろん、最終的にはフォーラムや特集展示での公表を目指す。

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