近代日本の先祖祭祀と文化的アイデンティティ-東アジアとの差異化の観点から-
特別研究員奨励費
近代日本の先祖祭祀と文化的アイデンティティ-東アジアとの差異化の観点から-
研究代表者 | 問芝 志保(本館・研究部) |
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研究目的
日本近代における「先祖祭祀の近代的再編」がいかにはたされたかという大きな問題系のなかで、西洋のみならずもう1つのきわめて重要な〈他者〉であったアジア諸国との接触に焦点をあてるものである。近代日本がアジアへ向けた視線、すなわちアジアという〈他者〉との差異化の意識がもたらした実質的な影響という観点から、先祖祭祀と墓制の再編の問題を解明することを目指す。
具体的には、(1)明治初期の神葬祭政策下で形成された墓地観・墓観、(2)明治中期~大正初期頃における啓蒙主義的・開明派知識人におけるアジア葬送文化に対する評価(単にアジアの祖先崇拝や葬送墓制習俗を軽視・蔑視するのではなく、称賛・尊敬していた可能性がある)、(3)特に台湾を事例とし、台湾の墓制に対する日本側の評価と介入、という3つの切り口から分析を進める。