即日閲覧室にて正倉院文書複製資料のデジタル画像が閲覧できます

国立歴史民俗博物館は開館時より、歴史研究に資する目的で、コロタイプ印刷による正倉院文書(現品は宮内庁正倉院事務所が所蔵)の精密な複製資料を製作し所蔵しております。資料全体の複製製作にはあと数十年の月日を要する大事業です。

このたび、宮内庁正倉院事務所より、展示・研究のために複製資料のカラーデジタル画像を館内で公開することの許可を得ることができました。当館が開発した歴史資料自在閲覧システムを介して、即日閲覧室にてデジタル画像をご覧いただくことができます。即日閲覧と同じ要領でお申し込みくださいただし現品所蔵者との取り決めにより、表示画面の撮影を含む一切の複写はできませんのでご了承ください。

解説:正倉院文書自在閲覧システム(公文編)

正倉院文書の中心は、東大寺の写経事業の記録が帳簿として記されたものだが、裏面には公文と呼ばれる奈良時代の諸国からの行政報告が記されているものがある。この文書群の表裏を対応させて表示することを可能にしたのが本システムである。

正倉院文書は、幕末から明治期において、印が捺された文書(主に公文)を中心とした整理が行われ、もとの構成が変化している。これを復元することが、正倉院文書研究の大きな課題であり、表裏のつながりの復元精度を高めるには表裏の断簡情報を同時に確認することが必要となる。しかしながら、近年の正倉院文書研究において、朱の合点やシミなどの微細な情報が重要視されているにもかかわらず、正倉院文書のカラー写真は全面的には公開されておらず、情報を公開することに重要な意義があると考える。こうした状況に鑑み、原品所蔵者の宮内庁正倉院事務所と、デジタル画像の取り扱いについて研究・展示用に館内に限定して公開することの許可を得た。公開方法は、DBというよりは画像資料としての属性が強いことを勘案して、即日閲覧室にタッチパネル対応のディスプレイとパソコンを新たに設置して、外部からの閲覧者に公開することとした。本システムにおいて、開館以来以来継続的に製作してきたカラーコロタイプ印刷のレプリカをデジタル的に表示させることにより、拡大表示による精度の高い情報を提供することが可能となった。また、付加情報として断簡単位の接続情報を表示している。

本システムは、人間文化研究機構連携研究「正倉院文書の高度情報化研究」(代表 仁藤敦史 二〇一〇~二〇一四年度)における成果の一部である。

(仁藤敦史:本館研究部歴史研究系)