第95号 1999年7月20日発行

題字解説

  • 特集:くらしの歴史学 病気と癒し
  • 新収蔵品紹介 間宮うらさん寄贈
    間宮助産院資料

表紙解説

疱瘡絵と薬屋看板(本館蔵)

疱瘡絵

木戸家史料,錦絵(疱瘡ニ関スルモノ)。絵師:豊国 版元:大倉屋平吉 版行年:天保14年(1843)~弘化4(1847)年「矢間喜兵衛 重太郎女房おりん」の字がみえる。屏風の後ろで疱瘡にかかった子供に赤い着物を着せて疱瘡神から守ろうとしている。疱瘡絵は江戸時代末期から明治時代初期に流布した疱瘡治療を目的とした錦絵。幕末期には,疱瘡のほか麻疹や虎列刺(コレラ)などを題材とした錦絵が多数版行された。疱瘡絵は通常赤色で描かれ,赤絵とか紅摺絵などとも呼ばれた。赤色には厄病除け,災難除けの力があると信じられていた。また。疱瘡絵では源為朝などの武将に疱瘡神を成敗してもらおうとしたり,赤い達磨を厄除けのために描いたりしているものが多い。

薬屋看板

「ウルユス」570×830×40mm(江戸~明治)胃腸薬の看板。ウルユスというのは空という文字を分解した語で,胃を空にするという意味。薬屋看板「熊膽木香丸」840×415×40mm。胃腸薬の看板。腹痛には熊の肝がよく効くことを「鬼に金棒」で表現した。

目次

巻頭エッセイ 博物館へ行こう!

寄生虫は奇妙な虫? / 荒木 潤

新収蔵品紹介 間宮うらさん寄贈

間宮助産院資料

[特集] くらしの歴史学 病気と癒し

  • 治療法と文化-現代病院文化研究 / 渡邊 欣雄
  • スモンの人々 / 羽賀 しげ子
  • 古代のトイレにみる病と薬 / 金原 正明
  • [コラム] 疫鬼と壷に封じる / 金子 裕之
  • [コラム] 従軍看護婦 / 関沢 まゆみ

歴博対談 第25回

日本人の医療と生死 / [波平 恵美子+立川 昭二]

書評

阿部 義平著 『蝦夷(えみし)と倭人』
大きな構えの北日本史 叙述の試みに成功 / 評者 菊池 徹男

教室から博物館へ

-学校教育の現場から- 千葉県富里第一小学校
歴史発見!歴博活用のアイディア / 一場 郁夫

地球時代の日本研究 第14回

イギリスの博物館と史跡で考えたこと / 小島 道裕

歴史への招待状

くらしの植物苑 特別企画「伝統の朝顔」 / 辻 誠一郎

歴博かわら版