第132号 2005年9月20日発行

題字解説


表紙解説

流水秋草模様振袖/ポスター「秩父銘仙」/ポスター「婦人倶楽部ゆかた」(本館蔵)

流水秋草模様振袖(写真左)
有栖川宮威仁親王(ありすがわのみやたけひとしんのう)次女で1908(明治4)年に徳川慶久(とくがわよしひさ)に嫁した実枝子(みえこ)夫人所用の一領である。濃艶な色使いをもって西洋的に植物をあらわすことが、明治末期から大正前期にかけて流行した。この振袖はその典型例である。 化学染料を用いているが、これまでにない色調と技術に先進性が見出されたためであろうか、化学染料はいちはやく上流階級のきものに導入されている。

秩父銘仙ポスター(写真左)
銘仙(めいせん)は太い糸を用いた絵絣の絹織物で、群馬県を中心に生産された。廉価で丈夫であることに加え、派手で大胆な柄は人心を奪い、大正末期から昭和前期にかけて大流行をみせた。
婦人倶楽部ゆかたポスター(写真右)
明治後半から昭和前期は、きものに流行模様が次々と去来した時代である。ゆかた染も例外ではない。「二万円大懸賞つき」とあるのは、懸賞金をかけて図案を募集したのであろうか。

目次

[特集]流行

流行から覗けば‥ / 澤田 和人

歴史の証人 写真による収蔵品紹介

人間文化研究機構連携展示 うたのちから-和歌の時代史- / 吉岡 眞之

[特集] 流行

  • 流行する雪舟 / 綿田 稔
  • 助六の「かたち」-「大通」流行との関係 / 安井 雅恵
  • 流行・創造のエネルギー / 藤本 恵子
  • 探検・冒険 そして無銭徒歩旅行の流行 / 山本 光正
  • [コラム] 書画会 / 大久保 純一
  • [コラム] ファッション・リーダーとしての足利義満 / 澤田 和人

歴博けんきゅう便 第22回

歴博共同研究・総研大学長プロジェクト
合同公開研究会報告
観客から博物館を見る-研究をどう見せるか- / 安達 文夫

研究者紹介 〔その20〕

「考古少年」のその後-江戸へ / 岩淵 令治

博物館展示のいま 3 中山道広重美術館

美術館から持ち帰るもの / 菅原 真弓

書評

山本光正 著 『江戸見物と東京観光』 / 桜井 邦夫

れ・き・は・く・井・戸・端・会・議

歴博かわら版