第127号 2004年11月20日発行

題字解説

  • 特集:絵と語り
  • 連載「歴史の証人-写真による収蔵品紹介-」
    「被衣」

表紙解説

那智参詣曼荼羅/五趣生死輪図(本館蔵)

那智参詣曼荼羅
(熊野那智山宮曼荼羅図、青岸渡寺本の複製、本館蔵)

熊野三山のひとつ、熊野那智大社の様相を描いた参詣曼荼羅で、中世の熊野信仰を知るためには欠かせないもの。見る人を那智へと誘うさまざまな聖地や説話が描き込まれている。特に右上の那智の滝はそれ自体が神とされてきたもの。また中央下部の鳥居には観音の浄土を目指して補陀落渡海に旅立つ舟が見える。熊野比丘尼をはじめとする宗教者たちが、この絵を日本各地に持ち運び、熊野への信仰を広めたと考えられている。

五趣生死輪図(本館蔵)

仏教に基づく輪廻転生の宇宙観を絵画化したもの。類似の絵画は日本列島に限らず、仏教文化圏に広く見られる。大鬼が抱える円の中に地獄、餓鬼、畜生、人、天の五趣が描かれるものだが、ここでは特集のタイトルをはめ込んでみた。

目次

[特集] 絵と語り

絵解き研究・絵画史料論 / 小池 淳一

歴史の証人 写真による収蔵品紹介

被衣 / 澤田 和人

[特集] 絵と語り

  • 六道絵にみる絵と語り / 鷹巣 純
  • 絵を読む視点-間引き図を読む- / 久野 俊彦
  • 「遊び」の絵巻「鳥獣戯画」-甲巻の主題と制作目的について- / 五月女 晴恵
  • [コラム] 爪弾きの呪力 / 常光 徹
  • [コラム] 失せ物絵馬と龍神信仰 / 川島 秀一

歴博対談 第47回

「絵解き研究の地平 / 〔林 雅彦×小池 淳一〕

歴博けんきゅう便 第20回

国際研究集会
「日韓口承文芸交流」 / 常光 徹

研究者紹介 〔その15〕

古代史研究とは何か / 仁藤 敦史

書評

国立歴史民俗博物館研究報告第111集 『大和における中・近世墓地の調査』
国立歴史民俗博物館研究報告第112集 『地域社会と基層信仰』 / 谷川 章雄

自著紹介

宮地 正人 著  『歴史のなかの新選組』
安室 知 著   『歴史研究の最前線Vol.2 環境史研究の課題』

展示批評

企画展示「海をわたった華花」 生きたモノを見せるための工夫を見る / 山本 哲也

れ・き・は・く・井・戸・端・会・議

歴博かわら版