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このたび、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)では、企画展示「日本の中世文書―機能と形と国際比較―」を2018年10月16日(火)~12月9日(日)に開催いたします。

中世の古文書は、見て面白いものです。「くずし字」を読まなくても、見た目で分かること、つまり、書式、名前の書き方、印、紙の大きさや種類など、それぞれに興味深い意味があります。そして、日本の中世、およそ平安時代の後期から安土桃山時代にかけては、政権や社会が大きく変わり続け、それに応じて文書も変化し、さまざまな文書が作られました。

国立歴史民俗博物館は、数千点に上るバラエティーに富んだ中世文書を収蔵していますので、それを生かして、中世を中心に日本の文書の歴史をたどります。さらに、韓国や中国など東アジアの国々の文書と比べると日本の特徴がよく分かりますから、海外で作られた文書やその複製も使って、国際比較も試みます。

公文書のあり方が問われている今こそ必見。約260点の資料を通し、日本の文書の成り立ちが分かる「見て楽しむ古文書展」です。

 

開催概要

日本の中世文書-機能と形と国際比較-
開催期間2018年10月16日(火)~ 12月9日(日)
開催期間 2018年10月16日(火)~ 12月9日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
料金

一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /
小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体

※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は高校生は入館無料です。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館が無料です。

開館時間 9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
休館日 月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
主催 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
後援 日本古文書学会

本展のみどころ

  • 最大規模の総合的な中世文書展です。日本の中世文書の全体像を学べます。
    (総数約260点。「初の総合的中世文書展」となった5年前の「中世の古文書」展の約220点を上回ります。)
  • 古代律令国家の文書から現代の文書までを視野に入れた、日本の「文書史」になっています。
  • 東アジアの文書との比較の視点を盛り込み、国際的な視点から日本の文書の特徴が理解できます。
  • 著名な「源義経自筆書状」をはじめ、多くの有名人の文書も出品されます。
  • 専門的な知識がなくても楽しめます。
    出品する全ての文書には、解説のほか、活字の読みや大意(内容)も付いています。
    キャラクターを使った解説や、タッチパネルのコンテンツ、体験コーナーなどもあります。

       

【プロローグ】口頭伝達と文書

「文書以前」の口頭伝達の世界と文書の関係を、読み上げられるための文書から考えます。

【第1章】古代の文書

律令国家の文書や、古代から存在した書状様式の個人の文書を紹介します。これらが中世以降の文書に引き継がれていきました。

(1)公式様文書―詔・勅、符・解・移―
(2)公式様文書の変形
(3)個人の上申文書―古代の書状様式文書―

【第2章】中世の文書へ

国の官僚機構が出した公文書は、公印のない「下文(くだしぶみ)」などに変容して、様々な組織が用いました。一方で「綸旨(りんじ)」などの書状様式の文書が公文書化していきました。

(1)手続き文書の公文書化―宣旨・口宣案―
(2)下文の系譜
(3)書札様文書の機能拡大と奉書―綸旨・院宣・令旨―

【第3章】武家文書の様式

武家の文書も下文系統の文書と書状系統の文書から成り、次第に後者が中心になっていきました。様々な様式について図解を交えて解説します。

(1)鎌倉幕府の発給文書―下文・政所下文・下知状・御教書―
(2)室町幕府の発給文書―御判御教書・御内書・下知状・奉書―
(3)軍忠状

【第4章】契約と社会集団

土地売券などの中世の契約文書は、私文書でありながら、律令文書の様式を受け継いでいます。集団としての一揆や寺院の文書、公家の家に伝えられた資料群(改元関係など)も紹介します。

(1)売券の世界
(2)譲状と置文
(3)起請文と社会集団
(4)寺院の文書
(5)公家の家伝文書 ―広橋家―

【第5章】書状と印判状

戦国大名の出した文書は、ほとんどが書状様式です。ハンコの押された印判状(いんぱんじょう)も多くは書状様式ですが、アジア的な公文書を意識したものも存在します。

(1)天皇の自筆書状
(2)戦国大名の書状と印判状
(3)戦国期の社会と文書
(4)江戸幕府の文書

【第6章】外交の文書とアジアの文書

日本の文書を相対化して考えるために、アジア諸地域の文書を紹介し、また外交で用いられた文書の様式について考えます。複製やパネルが中心ですが、重要文化財などの実物資料も展示します。

(1)明の皇帝文書・官文書
(2)朝鮮の国王文書・官文書と外交文書
(3)琉球・安南・イルハン朝の国王文書
(4)東南アジア・ヨーロッパへの外交文書

【エピローグ】近現代に受け継がれた文書の形

近代に入ると、「王政復古」を掲げた明治政府は再び印のある公文書を発行します。今日に受け継がれた文書様式のあり方を考えます。

 

 

主な展示資料

第1章

「太政官符(だいじょうかんぷ)」重要文化財
宝亀3年(772) (国所蔵(文化庁保管))
律令に定められた文書様式の一つ。
大伴家持が担当の官僚として自署している。

「北館厨牒(ほっかんくりやちょう)」
唐・儀鳳2年(677)(国立歴史民俗博物館蔵)
中国の吐魯番(トルファン)で発見された、唐代の文書。

 

第2章

「延暦寺政所下文(えんりゃくじまんどころくだしぶみ)」
仁安2年(1167) (国立歴史民俗博物館蔵)
延暦寺が末寺に宛てて出した文書。全面に
印が押された律令文書の系譜を引く様式。

第3章

「関東(かんとう)下知状(げちじょう)」
乾元元年(1302) (国立歴史民俗博物館蔵)
鎌倉幕府が御家人に領地を安堵した文書。
執権と連署が署名している。

「足利尊氏下文(あしかがたかうじくだしぶみ)」
重要文化財 観応2年(1351)(国立歴史民俗博物館蔵)
足利尊氏が家臣に所領を与えた文書。
右端に花押を据えた尊大な様式。

第4章

「尼しやうせう領地売券」
延慶4年(1311) (国立歴史民俗博物館蔵)
土地の売買にあたって作成された証文。
女性が売主であるため、仮名で書かれている。

「後小松天皇口宣写(ごこまつてんのうくぜんうつし)」
嘉慶3年(1389)(国立歴史民俗博物館蔵)
改元の際に、年号の案を作る公家を天皇が指名した文書。

第5章

「伊達政宗書状(だてまさむねしょじょう)」
天正17年(1589)(国立歴史民俗博物館蔵)
伊達政宗が奥州の覇権を握った摺上原(すりあげはら)
の戦いの直前に家臣に宛てた書状。

「千葉邦胤朱印条書(ちばくにたねしゅいんじょうしょ)」
天正13年(1585)(千葉市立郷土博物館蔵)
現千葉県の本佐倉城を本拠とした戦国大名千葉氏の朱印状。

「羽柴秀吉書状(はしばひでよししょじょう)」
天正11年(1583)4月29日 (国立歴史民俗博物館蔵)
羽柴(豊臣)秀吉が賤ヶ岳合戦直後の状況を報じた書状。上杉景勝家臣の直江兼続(なおえかねつぐ)らに宛てられている。

第6章

「明国箚付(みんこくさっぷ)
(前田玄以宛(まえだげんいあて))」
重要文化財 明・万暦23年(1595)
(東京大学史料編纂所蔵)
豊臣秀吉の朝鮮出兵の講和の際、明の使者が
秀吉の家臣に与えた官職の任命状。

※期間限定の展示 展示期間:10/16~28

ギャラリートーク

展示期間中、展示プロジェクト委員によるギャラリートークを開催します。
※詳細が決まり次第お知らせいたします。

歴博フォーラム(一般向けのシンポジウム)

「日本の中世文書」

開催日時 10月27日(土)13:00~16:30
講師 小倉慈司・田中大喜・佐藤雄基・横内裕人・金子拓
会場 国立歴史民俗博物館 講堂(定員260名)
備考 要事前申込

詳細はこちら

国際シンポジウム

「東アジアの古文書と日本の古文書-形と機能の比較-」

開催日時 11月17日(土)9:30~17:15
会場 国立歴史民俗博物館 講堂(定員260名)
備考 要事前申込

歴博講演会

※事前申込不要

第410回「太上天皇の『詔勅』」

開催日時 10月13日(土)13:00~15:00
講師 仁藤 敦史(本館 歴史研究系 教授)
会場 国立歴史民俗博物館 講堂(定員260名)

第411回「日本の中世文書を考える」

開催日時 11月10日(土)13:00~15:00
講師 小島道裕(本館 歴史研究系 教授)
会場 国立歴史民俗博物館 講堂(定員260名)

 

【展示代表 紹介】

代表:小島 道裕(国立歴史民俗博物館 歴史研究系 教授)

主要研究課題は、中世~近世の都市史、歴史資料に見る社会史、歴史展示における教育プログラム。風俗画に描かれた物を「読む」ことや、古文書を物として「見る」ことで、資料の持つ多様な意味を開き、活用していきたい。

副代表:田中 大喜(国立歴史民俗博物館 歴史研究系 准教授)

主要研究課題は、中世武士団・武家政権論、中世地域社会論。武士団・武家政権の研究を通して、およそ700年間にもわたり武士の支配が継続した歴史を持つ日本社会の特質を追究している。

広報用作品画像の使用について

本展の資料画像を、広報素材としてご提供いたします。別紙返信用紙に必要事項をご記入のうえご返信ください。
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<画像使用に際しての注意>

  • 本展広報目的でのご使用に限ります。(展示期間終了まで)。
  • 展覧会名、会期、会場名、クレジット(リスト参照)を必ず掲載してください。
  • 資料画像は全図で使用してください。文字を重ねるなど画像の加工・改変はできません。部分使用については事前申請・許諾が必要です。
  • Web上に掲載する場合は、72dpi以下のサイズにしてください。
  • 資料画像の使用は本展の紹介目的に限ります。展覧会終了後の使用、ならびに2次使用はできません。
  • 転載、再放送など2次使用をされる場合には、別途申請いただきますようお願いいたします。
  • 基本情報、図版使用の確認のため、ゲラ刷り・原稿の段階で広報事務局までお送りいただきますようお願いします。
  • 掲載、放送後は必ず、掲載誌、同録テープを、本展広報事務局へ1部お送り願います。
1. 太政官符 [重要文化財]
宝亀3年(772)
国所蔵(文化庁保管)
2. 北館厨牒
唐・儀鳳2年(677)
国立歴史民俗博物館蔵

3. 延暦寺政所下文
仁安2年(1167)
国立歴史民俗博物館蔵

4.源義経自筆書状 [重要文化財]
12世紀 
国立歴史民俗博物館蔵
5. 関東下知状
乾元元年(1302)
国立歴史民俗博物館蔵
6. 足利尊氏下文 [重要文化財]
観応2年(1351)
国立歴史民俗博物館蔵
7. 尼しやうせう領地売券 
延慶4年(1311)
国立歴史民俗博物館蔵
8.後小松天皇口宣写 
嘉慶3年(1389)
国立歴史民俗博物館蔵
9.伊達政宗書状
天正17年(1589)
国立歴史民俗博物館蔵

10. 千葉邦胤朱印条書 
天正13年(1585)
千葉市立郷土博物館蔵

11.羽柴秀吉書状 
天正11年(1583)4月29日 
国立歴史民俗博物館蔵
12.明国箚付(前田玄以宛)
[重要文化財]
明・万暦23年(1595)
東京大学史料編纂所蔵

本リリースに関するメディア問い合わせ先

国立歴史民俗博物館 広報事務局(株式会社ユース・プラニング センター内)担当:岩川、大山
〒150-8551 東京都渋谷区渋谷1-3-9 ヒューリック渋谷一丁目ビル3F
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