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謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素より、当館の運営等につきましては、格別のご配慮を賜り、厚くお礼申し上げます。
当館では平成27年10月20日(火)から11月23日(月祝)までの期間、総合展示 第3展示室副室において、特集展示「泥絵と江戸の名所」を開催します。
泥絵(どろえ)は江戸時代末期に流行した民衆的絵画で、顔料に胡粉(ごふん)を混ぜた安価な絵具や合成顔料のプルシアンブルーを使用し、さらに線遠近法(透視図法)を取り入れ、油彩画に近い印象を与えるのが特徴です。泥絵には江戸の名所が描かれることが多く、中でも大名屋敷が好まれました。長い表長屋などが遠近法を取り入れるのに好都合だっただけでなく、武家の都である江戸の町において、豪壮な外観が一種の「名所」として認識されていたのです。
今回、当館が所蔵する「江戸及び諸国名所泥絵集」コレクションから、大名屋敷など江戸の名所を描く泥絵を多数紹介。また、あわせて大名屋敷ばかりを描く錦絵シリーズ、歌川広重の「江都(えど)勝景(しょうけい)」も公開します。
つきましては、この展示開催を貴媒体にてぜひ多くの方々にご紹介くださいますようお願い申し上げます。
敬具
開催概要
『泥絵と江戸の名所』
開催期間 | 2015年10月20日(火)~11月23日(月・祝) |
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会場 | 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室 |
料金 | 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円 ( )内は20名以上の団体 |
開館時間 | 9時30分~16時30分(入館は16時00分まで) |
休館日 | 毎週月曜日 (月曜日が祝日の場合は翌日) |
主催 | 国立歴史民俗博物館 |
趣旨
幕末に来日したF・ベアトが愛宕山から写した江戸のパノラマ写真を見ると、整然と建ち並ぶ大名屋敷が市街地の多くを占め、現在のごみごみとした東京とはだいぶ印象が違うことに気づかされます。江戸の町の約7割は江戸城や、大名・旗本らの屋敷が建つ武家地で占められていました。地方から江戸に出て来た人たちは、隅田川べりの行楽地や両国や浅草といった盛り場の他に、武家の都の名所として壮麗な表門や長大な表長屋でかたちづくられる大名屋敷もまた見物してまわっています。
そうした大名屋敷は、広重の描く浮世絵の名所絵にもしばしば描き出されていますが、浮世絵ほどには知られていない江戸の民衆絵画である泥絵には、格好の画題となっていました。
当館には全50枚からなる「江戸名所及び諸国名所泥絵集」の他、作者が不明なものが多い泥絵としては珍しく「司馬口雲坡」の署名を持つ「江戸城堀端図」などを所蔵しています。今回の特集展示では、館蔵の泥絵の中から大名屋敷など江戸の名所を描いたものを選び、それに関連する歌川広重の錦絵などを比較展示し、武家の都特有の名所のありようをご覧に入れたいと思います。
大久保 純一(おおくぼ じゅんいち) |
みどころ
・鮮やかな青、独特の遠近表現…泥絵特有の画風を楽しむ!
・署名をもつ泥絵「江戸城堀端図」も公開
ベロ藍(プルシアン・ブルー)の鮮烈な色感と誇張された線遠近法(透視図法)を多用しつつ、大名屋敷の外観を特徴的にとらえる泥絵特有の画風をごらんいただきます。泥絵はもともとは司馬江漢や亜欧堂田善といった洋風画家の描く油彩画の質感を模倣しようとしています。しかしながら、本家の重厚な油彩画と異なり、肉筆画でありながらも、おそらくは地方への安価な土産物であったため、グラデーションや点景人物の描写などに量産化を目的としたパターン化が見られます。そうした民衆絵画特有の素朴な画風が魅力でもあります。
一方で、浮世絵の分野で名所絵の第一人者であった広重が描く大名屋敷は、見事な遠近表現で、ほとんど破綻を見せません。霞ヶ関や有馬屋敷など、同じ場所を描いた泥絵と比較して両者の絵づくりの違いを見てください。
なお、江戸の町全体のイメージをお示しするために展示する洋風の「江戸景観図」からは、武家の都らしい市街地の眺望が見て取れます。
主な展示物(予定)
▲江戸景観図 江戸末期(本館蔵) |
・泥絵 江戸城堀端図
・泥絵 霞ヶ関図
・江戸及び諸国名所泥絵集
・歌川広重 江都勝景
など約30点(すべて本館蔵)
関連の催し物
展示解説会のご案内
日時 | 10月20日(火)11時00分~ |
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会場 | 本館第3展示室副室にて開催 |
当展示プロジェクト委員による展示解説を行います。事前予約等は必要ございません。 詳細につきましては下記「このリリースに関するお問い合わせ」までお問合せください。
ギャラリートーク
展示担当者による解説を開催します。日程や詳細については、れきはくHPをご覧ください。
展示についてのお問い合わせ電話番号
ハローダイヤル:03-5777-8600 (8時00分から22時00分まで)
その他の催し物
企画展示
「大久保利通とその時代」
10月6日(火)~ 12月6日(日)本館企画展示室にて開催
開館時間:9:30~16:30(最終入館16:00)
入 場 料:一般830円、高校生・大学生450円、中学生以下無料
歴博フォーラム
各会場にて開催、入場無料、要申込、先着順(定員260 名)
第97回「人と植物の文化史-くらしの植物苑がみせるもの-」
講師 青木 隆浩(本館民俗研究系)他
会場 国立歴史民俗博物館 講堂
時間 10:00~16:30
第98回「さらにわかった!縄文人の植物利用-その始まりと編みかご・縄利用-」
講師 工藤 雄一郎(本館考古研究系) 他
会場 国立歴史民俗博物館 講堂
時間 10:00~16:30
第99回「古墳とはなにか-大地に刻まれた心と社会-」
講師 山田 康弘(本館考古研究系) 他
会場 明治大学リバティタワー
時間 10:00~17:00
歴博講演会
歴博講堂にて開催、13:00~15:00、入場無料、申込不要、先着順(定員260 名)
第382回「琉球列島と長崎の祝祭と信仰-海を越えた民俗文化-」
2015年10月10日(土) 松尾 恒一(本館民俗研究系)
第383回「大久保利通資料に関するあれこれ」
2015年11月14日(土) 樋口 雄彦(本館歴史研究系)
第384回「描かれたアイヌ民族」
2015年12月12日(土) 春木 晶子(北海道博物館)
くらしの植物苑 特別企画
くらしの植物苑にて開催、開苑時間:9:30~16:30(最終入苑16:00)
「伝統の古典菊」
11月3日(火祝)~ 11月29日(日) 解説会:11月4日(水)13:30
「冬の華・サザンカ」
12月1日(火)~ 2016年1月31日(日) 解説会:12月1日(火)13:30
入苑料:高校生以上100円
くらしの植物苑観察会
くらしの植物苑にて開催、13:30~15:30、事前申込不要、要入苑料
第199回「染めの色と植物」
2015年10月24日(土) 島津 美子(本館情報資料研究系)
第200回「参勤交代と菊作りの広がり-八戸藩を事例に-」
2015年11月28日(土) 岩淵 令治(学習院女子大学)
第201回「サザンカの系統保存」
2015年12月19日(土) 箱田 直紀(元恵泉女学園大学)
広報用素材の提供について
ご希望の写真(データ)を送付いたしますので、各プレスリリースの写真番号をご連絡ください。e-mailでも結構です。問い合わせ先は下記の「このリリースに関するお問い合わせ」をご覧ください。
ご注意
- 本図版の使用は「平成27年度第3展示室特集展示『泥絵と江戸の名所』」の広報に関するものに限ります。
- 掲載に際しては、最小限でも「催事名」「会場」「会期」「掲載図版のキャプション」を明記していただくようお願いします。
- 情報確認のため、校正紙(ウェブ上の場合は掲載URL)をお送り下さい。ウェブ上での掲載の場合は、画像サイズを400ピクセル以下・72dpi以下のサイズにしてください。
- ご掲載いただいた場合は、お手数ですが掲載物をご送付ください。
以上の点に留意いただけない場合に発生したトラブルについて、本展主催者として一切の責任を負いかねますのでご注意ください。
1. 泥絵 江戸城堀端図 江戸末期 司馬口雲坡 江戸城日比谷門付近の八代洲河岸から西を望んだ風景を描いた泥絵。粗雑なものも少なくない泥絵の中では、描画が比較的丁寧、細密で、また絵師の落款(司馬口雲坡」)がある点で貴重である。 |
2.江戸及び諸国名所泥絵集 有馬家屋敷 江戸末期 赤羽根橋の北に広がる赤羽根広小路(勝手が原)から、久留米藩有馬家上屋敷に火の見櫓(画面左)と増上寺の塔(画面右)を描く。ただし、画像は反転している。 |
3. 泥絵 霞が関 江戸末期 霞ヶ関の坂を正面に見る泥絵の定型的構図。向かって右が広島藩浅野家、左が福岡藩黒田家の藩邸。酷似する図様のものが複数知られている。 |
4.江戸及び諸国名所泥絵集 向島三囲稲荷 江戸末期 花火で知られる隅田川の向島堤から筑波山を望む。 |
5.江戸名所 本郷の景 江戸時代(安政元年) 歌川広重画、山田屋庄次郎版。山田屋版の「江戸名所」は人物の風俗描写豊かな江戸名所絵シリーズとして知られる。本図は加賀藩邸を背に本郷通りを行き来する人々を描く。 |
6.東都名所 霞か関之図 江戸時代(天保末頃) 歌川広重画、江崎屋版。天保末頃の広重の江戸名所絵シリーズ「東都名所」中の1図で、霞ヶ関の坂上から江戸市街、江戸湾を眺望する。 |
7.江都勝景 よろゐの渡し 江戸時代(天保後期) 歌川広重画、川口屋正蔵版。「江都勝景」は、江戸の大名藩邸の外観を画題とした珍しい江戸名所絵シリーズ。本図に描かれる鎧の渡しは、日本橋川を茅場町から小網町へと渡す場所にあり、これに面した丹波田辺藩牧野家の藩邸が描かれている。 |
8. 赤羽根有馬屋敷前の三美人 弘化4~嘉永5年 歌川国芳画、丸屋清次郎版。赤羽根の久留米藩有馬家の屋敷を背景に三美人を配する。右の二人は武家の女、左は芸妓か。邸内には江戸の名所であった水天宮の幟、火の見櫓が描かれ、路上には、参詣する人々が数多く描かれる。 |
9. 江戸景観図 江戸末期 |
※すべて本館蔵
このリリースに関するお問い合わせ
人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 博物館事業課
広報サービス室広報係 松澤・小林・尾高
〒285-8502千葉県佐倉市城内町117番地
TEL 043-486-0123(代) FAX 043-486-4482
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