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雪舟、探幽、松陰、谷文晁!! ジュラ紀から現代まで珠玉の「ニセモノ」「ホンモノ」約300点!!

国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)にて、企画展示「大ニセモノ博覧会 -贋造と模倣の文化史-」(2015年3月10日(火)~5月6日(水))を開催する運びとなりました。本展は、ジュラ紀から現代まで約300点におよぶ「ニセモノ」「ホンモノ」の展示を通じて、それらがいかに独自の歴史や文化的な創造性を広げ、私たちの暮らしの中でどのような役割をしてきたのかを紹介する展覧会です。これまで「ニセモノ」に焦点をあて、民俗学、考古学、人類学などの分野を飛び越えて紹介した特別展はあまり類をみません。

本展を通して、常に陰のイメージをもつ「ニセモノ」に対して、また新たな視点が生まれるかもしれません。目からウロコの展覧会です!

開催概要

大ニセモノ博覧会-贋造と模倣の文化史-
開催期間2015年3月10日(火)~5月6日(水・振)
開催期間 2015年3月10日(火)~5月6日(水・振)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
料金

一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /
小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体 

※総合展示もあわせてご覧になれます。 
※毎週土曜日は高校生は入館無料です。

開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
休館日 月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
主催 国立歴史民俗博物館

本展の見どころ!

ニセモノ ゾクゾク!!

・「ニセモノ」の地域性に迫る!
・日本にもミイラがいた!? ペリーの日本来航の日誌に記された真実とミイラの製作法もご紹介!
・奈良県の収集家水木氏のコレクションから、コレクターの世界を垣間見る。
・ジュラ紀から現代までにわたる、「ニセモノ」の数々一挙公開。
・新発見!! 織田信長の「ホンモノ」の書を初公開。

展示趣旨

私たちの日常生活では、お金をもうけるためだけの「食品偽装」や「ニセブランド」など、他人を騙す「ニセモノ」の話題に事欠きません。しかし本来、「ニセモノ」と「ホンモノ」は非常に微妙な関係にあり、「明と暗」「黒と白」といった単純なわけ方ができない場合もたくさんあります。

「ニセモノ」は、暮らしのなかで重要な役割をもち、さまざまな歴史をもっています。また、「ニセモノ」が「ホンモノ」を乗り越え、文化的な創造性を発揮することもあります。さらに、博物館で作られる研究目的の「ニセモノ」は、「ホンモノ」よりもむしろ研究価値が高い場合さえあるのです。

この企画展示では、「ホンモノ」に対する「ニセモノ」を単に展示するのではなく、「ニセモノ」と「ホンモノ」の複雑な関係が、時代や社会背景によって、どのような原理で振幅してきたのかを明らかにしていきます。

【展示代表 紹介】

西谷 大(にしたに まさる)
所属:国立歴史民俗博物館 考古研究系・教授
専門分野:東アジア人類史
主な研究テーマ:東アジアの生業に関わる歴史、日本の地域研究(人と自然の関係史)
著書:『食べ物と自然の秘密』小峰書店(2003)
   『多民族の住む谷間の民族誌-生業と市からみた環境利用と市場メカニズムの生起-』角川学芸出版(2011)

展示構成

プロローグ

 :安南陶器ニセモノ事件

I 暮らしの中のフェイク

 :ニセモノの地域性
 :見栄と宴会の世界-ある旧家の所蔵品から-

II フェイク-偽文書、偽造の世界

 :偽酒・似印酒
 :研究者を取り巻くニセモノ騒動
 :なぜ偽文書は作られたのか-武田家、徳川家康の偽文書-
 :「正倉院文書」の奥深い歴史

III コピー、イミテーションの世界

 :復刻、模刻された版画
 :瓦の模倣と創造-コピーが生み出す新たな創造-
 :焼き物の模倣と技術-コピーが生み出す意外な製品-
 :縄文人のイミテーション-貝製腕飾り-

IV ニセモノの創造性

 :人魚は本当にいた!-見世物小屋、錦絵、欧米に輸出された人魚のミイラ-
 :葬儀のなかの欧米文化-慶弔用花環の展開-

V 博物館の「レプリカ」と「コピー」

 :化石のレプリカとフェイク
 :偽金を作る-技術復元のためのレプリカ-
 :音楽の複製と著作権

見どころ

安南陶器ニセモノ事件


ニセモノの安南陶器(個人蔵)

ニセモノの安南陶器を売るためのビデオまでニセモノ!!
安南陶器(安南焼)とはベトナムで作られた陶器の総称です。日本には室町時代末期から江戸時代前期にかけてもたらされ、茶道具として珍重されました。ここで展示する安南陶器は、偽造した発掘現場を撮影し、それを客にみせることによって、信用させて売りつけたものです。その後、この詐欺の手口は新聞報道され、販売業者は行方不明になっています。

ニセモノの地域性

右)伝 雪舟「鷹之絵」掛軸(個人蔵)
下)伝 雪舟「鷹之絵」掛軸の鑑定書(個人蔵)


ニセモノから読み解く、夢と宴会の世界
書画は財産としての価値もありますが、もう一つの役割は他人にみせて自慢することです。そのため地域のなかでの有名人の書画が選択される場合が多いようです。展示では、山口県、兵庫県播州、千葉県の3家の収蔵品をとりあげます。山口県といえば、やはり吉田松陰、山縣有朋などが有名です。また雪舟は京都から山口・周防に移り住みましたので、山口ではなじみ深い絵師です。兵庫県・播州のある家の収集品には、池大雅、頼山陽(京都で活躍)、大塩平八郎、大石内蔵助など、関西で歴史上活躍した人物の作品が並びます。千葉県の場合は、その家が豪農と武士との中間の家柄であったため、大名クラスが所有する雪舟、狩野探幽などが収蔵されています。つまり各家の収集品は、ご当地もの書画=地域性があり、さらに「家の格」も誇示していたことがわかります。

偽酒・似印酒


酒造伝書茶仕立覚(鴻巣市教育委員会蔵)
(安い酒を「極上正宗」「極上剣菱」の味に するために加える薬種の秘伝書)

庶民の憧れから生まれた「ニセモノ」のお酒
「泰平の世」となった江戸時代。各地でさまざまな商品が創り出されます。やがて、販売競争の中で、商品銘が産み出され、宣伝によって社会に浸透していきました。こうした「ブランド化」の一方で、商標登録や保護の法制度が設けられることはありませんでした。このため、有名な商品銘の類似銘が氾濫し、トラブルが発生したのです。このコーナーでは、酒を事例に、商品銘のコピーの問題(似印酒)、味の偽造(偽酒)の秘伝書を紹介します。

焼き物の模倣と技術

模倣の涙ぐましい努力が生んだ「ニセモノ」
中国で生産された天目茶碗のなかでも、「建盞」と呼ばれた高級品は鎌倉武士たちの垂涎の的でした。しかしそうそう手に入るものではなく、これを模倣した瀬戸焼の黒釉天目茶碗が開発されました。さらに東国では、在地の瓦質土器で瀬戸の天目茶碗を模倣するものまで出現します。


中国産の天目茶碗「建盞」
(モデルになるもの)
(国立歴史民俗博物館蔵)


瀬戸焼で模倣した黒釉の天目茶碗
(国立歴史民俗博物館蔵)

縄文人のイミテーション


萩ノ平遺跡から出土した貝輪型土製品。多数の貝輪を着装した様子を模している。(栃木県教育委員会蔵)

縄文人も現代人のように「ニセモノ」でおしゃれ
縄文時代の人々も、「代用品」を使っていました。人が歩いて物を運ぶこの時代、山間部のムラに、海で採れる貝で作られた白い腕輪が持ち込まれることは、なかなかありませんでした。そこで当時の人々は、粘土や石で貝の腕輪のイミテーションを作り、それを身につけて代用していました。その感覚は、高価なダイヤモンドの代わりに、模造品を用いる現代の私たちと変わるものではありません。縄文人の想いに共感してください。ベンケイガイ、オオツタノハなどで作られた貝輪の代用品として、粘土や石で作ったイミテーションを身につけていました。

織田信長が東大寺へ宛てた文書(本物)


織田信長黒印状 (新発見本物資料)(個人蔵)

「ホンモノ」も新発見!?
織田信長が出した本物の文書です。当館がお預かりする、奈良県の収集家水木氏のコレクションに含まれていた、未紹介のものです。 内容は、信長が京都周辺の敵対勢力と死闘を繰り返していた天正元年(1573)の9月、大和の松永久秀との戦いに際して、6年前に大仏殿を焼かれたばかりの東大寺が戦争の被害を受けないように保護したものです。 有名な「天下布武(てんかふぶ)」の黒印が押され、「信長」の署名も見えますが、実際に文書を書いたのは、右筆(ゆうひつ=秘書役の家臣)の武井夕庵(たけいせきあん)です。

偽金を作る



畳鋳法で復元制作された大泉五十(国立歴史民俗博物館蔵)

当時の技術で復元された錬金術!?による偽金
発掘で出土した鋳型から銭貨を、また小判の製作工程を記録した小判所絵図と書物から小判を、当時と同様の方法で復元製作したものを展示します。

【銭貨】
種銭を真土(まね)に押し当て、湯道をつけて鋳型(真土型)を作り、溶けた青銅を流し込んで枝銭の和同開珎を十枚同時に作ります。また、母笵から1種類2枚ずつの鋳型(砂型)を作り、それを15組重ね合わせて、畳鋳法によって大泉五十を120枚同時に作ります。


色付の前(右:金56%)とあとの復元小判(国立歴史民俗博物館蔵)

【小判】
鋳型の竹流台と、その中に溶かし込んで作った金属インゴット(色を似せたビスマス合金)、それを叩き延ばした延金(ビスマス合金)、荒切金(実物の小判と同じ金銀合金)、小判の形に整えた打替小判(金銀合金)、それに極印をうったもの、色付(いろつけ)を施して金色にしたもの、の各工程を、元禄小判をモデルにして、小判所絵図と『金位并金吹方手続書』に基づいて復元製作します。

人魚は本当にいた!? 見世物小屋、錦絵、欧米に輸出された人魚のミイラ


人魚のミイラ (国立歴史民俗博物館蔵)

中世から信仰の対象であり、輸出の一大産業だった人魚のミイラを展示!! 現存する最新の人魚のミイラ!!
人魚といえば、アンデルセン童話の「人魚姫」や、ディズニー映画の主人公アリエルなど、欧米の美しい人魚を思い浮かべる方が多いと思います。その美しい人魚のふるさと欧米に、江戸時代の終わり頃から明治時代にかけて、日本からたくさんの人魚のミイラが輸出されていました。その当時、和歌山ではミイラの製造が盛んになり、ペリーの航海日誌にも記述が残されているとか。また、シーボルトがミイラを購入して国外に輸出していたという記録も残されています。幕末から明治にかけてなぜミイラの製造が流行ったのか、その背景や謎も解き明かしていきます。この企画展では、当時のものを参考にしながら、新しく人魚のミイラを再現して製作し、それを初公開いたします。また、ほんの少しですが人魚のミイラの作り方についても紹介します。

主要展示資料

※展示換えがあります

  • 伝雪舟「鷹之絵」掛軸(個人蔵)
  • 伝池大雅「枯林群鳥」屏風(個人蔵)
  • 伝酒井抱一「柳に鶯」掛軸(個人蔵)
  • 伝大石内蔵助 書状(個人蔵)
  • 伝大塩平八郎 書(個人蔵)
  • 伝吉田松陰 書(個人蔵)
  • 大正時代書画価格表(個人蔵)
  • ビデオ(ミャンマーのパゴダから「ニセモノの安南陶器」が発掘される風景)(個人蔵)
  • 武田家恩借証文各種(巻子・木版・横半)(個人蔵)
  • 天平二十年六月二十五日山辺諸公手実(拾遺27号)(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 酒造伝書茶仕立覚(鴻巣市教育委員会蔵)
  • 化石(三葉虫やカニなど)(千葉県立中央博物館蔵)
  • 和泉国海会寺軒丸瓦(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 天目茶碗「建盞」(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 荻ノ平遺跡腕飾り(栃木県教育委員会蔵)
  • 人魚のミイラ(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 平田篤胤 書翰(人魚を食べる部分)(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 人形魚 悪病除(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 錦絵「西国巡礼観音霊験記 人魚」(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 人魚写真 ガラス乾板(千葉県立中央博物館大利根分館蔵)
  • 小判製作工程復元資料(国立歴史民俗博物館所蔵)
  • 天正大判(日本銀行貨幣博物館蔵)
  • 慶長大判(日本銀行貨幣博物館蔵)
  • 蓄音機(朝がお型)(国立歴史民俗博物館蔵)
  • 始祖鳥 化石 レプリカ(千葉県立中央博物館蔵)

※内容は変更になる場合があります。

※修復した蓄音機を使って、展示でも出てきた「桃中軒雲右衛門」などのレコードの、解説付き演奏会を行います。そのほかにも、各種体験イベントを開催予定。詳しくは当館ホームページでお知らせいたします。

歴博講演会

第376回「ホンモノより価値のあるニセモノたち」

開催日時 2015年4月11日(土) 13:00~15:00
会場 国立歴史民俗博物館 講堂
講師 西谷 大(当館考古研究系)
定員 260名(先着順)
聴講料 無料(事前申込不要、当日会場までお越しください)

ギャラリートーク

詳細日時につきましては、当館ホームページ上にてお知らせします。

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  • 基本情報、図版使用の確認のため、ゲラ刷り・原稿の段階で広報事務局までお送りいただきますようお願いします。
  • 掲載、放送後は必ず、掲載誌、同録テープを、本展広報事務局へ1部お送り願います。
1)ニセモノの安南陶器
(個人蔵)
2)伝雪舟「鷹之絵」掛軸と鑑定書
(個人蔵)
3)人魚のミイラ
(国立歴史民俗博物館蔵)
4)荻ノ平遺跡腕飾り
(栃木県教育委員会蔵)
5)色付け前後の復元小判
(国立歴史民俗博物館蔵)
 
6)伝池大雅「書画貼交屏風」
(個人蔵)
 
7)ピルトダウン人(偽化石)
(個人蔵)
 
8)伝大石内蔵助 書状
(個人蔵)
 
9)伝吉田松陰 書
(個人蔵)

本リリースに関するメディア問い合わせ先

国立歴史民俗博物館 広報事務局(株式会社ユース・プラニング センター内)担当:岩川、大山
〒150-8551 東京都渋谷区渋谷1-3-9 東海堂渋谷ビル3F
TEL:03-3406-3411/FAX:03-3499-0958/Mail:rekihaku@ypcpr.com

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国立歴史民俗博物館
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