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国立歴史民俗博物館
館長 久留島 浩

国立歴史民俗博物館(略称「歴博」)は、大学共同利用機関法人人間文化研究機構を構成する6つの研究機関の1つです。現代的視点・世界史的視野のもとに、日本の歴史と文化に関する研究を進めています。文献史学・考古学・民俗学および自然科学を含む関連諸学の協業によって、学際的で基盤的・先進的な研究を、大学をはじめとする国内外の研究者とともに推進することを特徴としています。同時に1983(昭和58)年に開館した当初から、こうした研究の成果を、総合展示および企画展示というかたちで可視化することで研究そのものの高度化を図るとともに、広く社会に公開・発信することを目的として、博物館という形態をとっています。

現在、世界各地で国家や民族、宗教間の争いが起こり、さまざまな格差が広がっています。地球環境も深刻な事態を迎えています。地球的規模で自分たちの未来を予測することが困難になっている現在だからこそ、自らの歴史を主体的に学ぶことが求められているのだと思います。さらに、わたしたちは、2011(平成23)年3月11日の東日本大震災で、多くの町や村が、そこで暮らしてきた人々の生活とともに一瞬にして津波にのまれる様子を目の当たりにしました。復興は少しずつ進んでいますが、かつて住んでいた地で自らの生活を再建しようとする人々や、原発事故の影響でそこに住むことができなくなり、先祖から受け継いできた地域の歴史や文化を後世に残すことができなくなった人々の姿をみるなかで、それぞれの地域の歴史や文化を継承することが、その地域に生きる人々にとっていかに大切かということを学びました。2016(平成28)年4月の熊本大地震は、さらに大きな、広範囲におよぶ震災がいつ起こっても不思議ではない、という認識を新たにしました。同時に、地域の歴史や文化に関わる資料を確かな形で継承することの必要性と、住民自らが地域の歴史を学ぶことの重要性とを痛感しました。そして、歴博を含めそれぞれの地域で歴史系博物館が果たす役割や責任が大きいことにあらためて気がつきました。

最後になりましたが、2016(平成28)年度から、「総合資料学の創成と日本歴史文化に関する研究資源の共同利用基盤構築」を館の中心的なプロジェクトとして推進しています。国内外の大学・大学博物館および歴史民俗系博物館などと連携しながら、歴博がこれまで進めてきた人文・社会科学と自然科学との両面からの分析に加え、さらに広い分野からのアプローチによって異分野融合型の「総合資料学」を創出しようという計画です。これは、これまで進めてきた「博物館型研究統合」をさらに具体的に展開することでもあるわけですが、これまで以上に、「博物館型研究統合」に基づき、日本の歴史と文化に関する総合的・先端的研究を推し進め、また大学をはじめとする多くの研究者のための共同利用機関としての責務を果たしたいと思っております。

今後とも歴博に対する皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

2018(平成30)年7月