半世紀にわたる歴博の挑戦!正倉院に残された古代の文書を後世へ


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国立歴史民俗博物館では、クラウドファンディングサービス「Readyfor」にて、「正倉院文書」複製製作のための支援募集を開始します。

1300年前の日本最古の紙史料群「正倉院文書」は、東大寺の正倉院に伝えられた、紙史料として世界に類を見ない貴重なものです。この貴重な文化財の保存と国内外での研究や展示に活用していくことを目的として、長期間の展示に耐えられる精巧な複製を国立歴史民俗博物館は35年にわたり製作してきました。現在全約800巻のうち半分の製作が完了しています。しかし、予算縮減により、今のままのペースでは、複製製作完了まであと半世紀以上かかる可能性があります。そこで、一刻でも早く複製をつくり後世へと残していくために、皆様のお力をお借りいたしたく、インターネットで支援金を募ることといたしました。皆様のご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。

クラウドファンディング「半世紀にわたる歴博の挑戦!正倉院に残された古代の文書を後世へ」が成立しました。(2018.3.30)

この度のクラウドファンディングにより、538名の方々から当初の目標を大幅に上回る総額10,644,000円にも及ぶ浄財を集めることができました。これにより国立歴史民俗博物館の『正倉院文書複製製作プロジェクト』は大きく前進し、平成30年度における「続々修第12帙第8・9巻」の製作が可能となりました。ご支援くださいました皆様には深く感謝申し上げます。

今後とも複製製作は続いていきますが、皆様の厚い志を受け止めて、精進していきたいと思います。引き続きご理解、ご支援をいただければ幸甚です。

クラウドファンディングについてのリターン報告

その1 便利堂工房見学ツアー

昨年度に行われたクラウドファンディング「半世紀にわたる歴博の挑戦!正倉院に残された古代の文書を後世へ」のリターンに係わる京都・便利堂工房ツアーが10月2日(火曜)と同3日(水曜)に開催されました。当日は午後からコロタイプ印刷の撮影・版づくり・ゼラチン刷版焼き付け・印刷(写真1)などの工程を見学し、さらに絵はがきにコロタイプ印刷をする実演を5名の参加者に体験していただきました(写真2)。複雑な工程について皆様、一様に驚かれたようでした。(仁藤・記)


写真1

写真2

その2 館長及び研究者との懇談会・感謝状贈呈

「便利堂工房見学ツアー」に続き、10月27日(土曜)に「館長及び研究者との懇談会・感謝状贈呈」が歴博で開催されました。当日は午前に、久留島館長から感謝状の贈呈があり(写真3)、引き続き食事をとりながらの館長と研究者との和やかな懇談会が開催されました。午後には、館長による「長崎諏訪祭礼図屏風」の解説(写真4)と仁藤による「正倉院文書」の解説(写真5)をおこないました。屏風の読み解きや正倉院文書複製の精巧さに興味を持たれたようでした。(仁藤・記)


写真3

写真4

写真5

その3 企画展示『日本の中世文書』講演会・正倉院複製文書完成記念特別解説会・バックヤードツアー

クラウドファンディングによる複製対象となっていた「続々修十二帙第八・九巻」と「芳名帳」6巻のお披露目を兼ね、11月23日(金曜)と25日(日曜)の両日、合わせて約50人の参加を得て「企画展示『日本の中世文書』に特別ご招待」の講演(写真6)、および「正倉院複製文書完成記念!特別解説会へのご招待」(写真7)、「解説付き!バックヤードツアー」(写真8・9)の企画が歴博で開催されました。参加者の皆様は、館員の解説を熱心にお聞きくださり、質問も多数いただきました。

これでリターン事業は一段落です。なお3月の総合展示第1展示室リニューアルに合わせて、特集展示として「続々修十二帙第八・九巻」と「芳名帳」6巻のお披露目をおこないますのでご期待ください。(仁藤・記)


写真6

写真7

写真8

写真9