くらしの植物苑特別企画 「伝統の古典菊」

プレスリリース

2025.09.25

このたび、国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑におきまして、2025年11月5日(水)~11月30日(日)の期間、特別企画 季節の伝統植物「伝統の古典菊」を開催します。

本展では、各地方で発展した独特な特徴を持つ古典菊を約110品種と歴博で実生栽培した嵯峨菊、肥後菊などオリジナルの新花約50品種(試作中の約30品種を含む)を展示いたします。また今年度は「菊の栽培書を読むー栽培用具を中心にー」をテーマに、パネル展示により、江戸時代に記された菊の栽培書から、栽培に際して案出された各種の道具類に注目し、紹介します。

つきましては、この展示開催を貴媒体にてぜひ多くの方々にご紹介くださいますようお願い申し上げます。

※関連イベントが変更・中止される場合があります。最新の情報は、ホームページ等でご確認ください。

開催概要

くらしの植物苑特別企画 季節の伝統植物「伝統の古典菊」

開催期間 2025年11月5日(水)~2025年11月30日(日)
※肥後菊は12月7日(日)まで展示
※苑内メンテナンス・悪天候等、諸般の理由により、開苑日・開苑時間等の変更、各種催し物を延期または中止する場合があります。最新の情報は館のホームページ及びSNSでご確認ください。
会場 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
料金 個人100円、団体50円
※高校生以下は入苑無料です。
※団体は20名以上です。

※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入苑無料です。
※博物館の総合展示・企画展示は別途料金がかかります。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
開館時間 9:30~16:30 (入苑は16:00まで) 
休苑日 11月10日(月)・17日(月)・25日(火)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

※内容は変更する場合があります。ご了承ください。

趣旨

菊は、日本を代表する園芸植物のひとつです。日本在来の植物ではありませんが、平安時代の宮廷ですでに菊花の宴が流行していたことから、遅くとも律令期には、他の文物とともに中国からもたらされていたと考えられています。平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により、支配者層の間で独特の花が作り出されました。筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊(さがぎく)」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊(いせぎく)」は伊勢・松阪地方で盛んに栽培されました。そして、菊は支配者層の中で宴に、美術工芸品に、不老不死のシンボルとして特権的な地位を築いていったのです。

それが、近世中頃以降になると大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行したと言われています。それらの流行を支えたのが、花弁のまばらな「肥後菊(ひごぎく)」と、咲き始めてから花弁が変化していく「江戸菊(えどぎく)」です。これらに花の中心が盛り上がって咲く「丁子菊(ちょうじぎく)」を加えた伝統的な中輪種は「古典菊」と呼ばれています。

くらしの植物苑では、このような「古典菊」を2000年から収集・展示してきました。今回は、各地方で発展した独特な特徴を持つ古典菊を約110品種と、歴博で実生栽培した嵯峨菊、肥後菊などオリジナルの新花約50品種(試作中の約30品種を含む)を展示いたします。また今年度は「菊の栽培書を読むー栽培用具を中心にー」をテーマに、『後の花』『菊花檀養種(きくかだんやしないぐさ)』など江戸時代中・後期に記された菊の園芸書や栽培書から、菊独特の栽培に用いられた道具類について、パネル展示により紹介します。

主な展示内容

くらしの植物苑で収集し、栽培・育種した古典菊(嵯峨菊・伊勢菊(松阪菊を含む)・肥後菊・江戸菊・丁子菊)を約110品種と、江戸菊や肥後菊と同じく近世中頃から作られている奥州菊、また、当苑で種から育てた実生の新花約50品種(試作中の約30品種含む)を苑内の東屋周辺、ハウス、よしず展示場に展示します。

●出展品数 計 約160品種 *うち、歴博オリジナル約50品種(試作中の約30品種含む)
●出展鉢数   約500鉢

※生育状況により出展品数・鉢数は変わる場合があります。

展示解説会のご案内

当展示プロジェクト委員による解説を行います。事前予約等は必要ございません。
お名刺をご持参の上、受付で腕章をお受け取りになり、ご入苑ください。

※詳細につきましては下記「このリリースに関するお問い合わせ」までご連絡ください。

日時 2025年11月5日(水) 13:30~
会場 くらしの植物苑

関連イベントのご案内

くらしの植物苑観察会

博物館ガイダンスルームにて開催、事前申し込み不要
第317回「菊の栽培書を読むー栽培用具を中心にー」 講師 平野 恵(台東区立中央図書館)
日時 11月22日(土) 13:30~15:30

広報用素材の提供について

ご希望の写真を送付いたしますので、プレスリリースの画像番号をご連絡ください。
画像(JPEG)はメールで送信いたします。
問い合わせ先は下記「このリリースに関するお問い合わせ」をご覧ください。

広報画像使用に際しての注意事項

  • 本特別企画広報目的でのご使用に限ります。(展示期間終了まで)
  • 展覧会名、会期、会場名、掲載図版のキャプションを必ず掲載してください。
  • 資料画像は全図で使用してください。文字を重ねるなど画像の加工・改変はできません。
    部分使用については事前申請・許諾が必要です。
  • Web上に掲載する場合は、72dpi以下の解像度にしてください。
  • 転載、再放送など2次使用をされる場合には、別途申請いただきますようお願いいたします。
  • 基本情報、図版使用の確認のため、校正紙(Web上の場合は掲載URL)をお送りください。
  • 掲載、放送後は必ず、掲載誌(もしくは掲載面PDF)、同録DVDを、1部お送り願います。

展示風景

展示風景(東屋)

1)展示風景(東屋)

展示風景

2)展示風景

肥後菊(ひごぎく)

宝暦年間(1751~1764)、肥後の名藩主といわれた細川重賢が、文化政策の一つとして栽培を奨励したと伝えられています。文政2年(1819)に肥後藩主別当職の秀島七右衛門が「養菊指南車」という著書をあらわしてから、独特の栽培法が確立しました。

佐倉の淑女

3)佐倉の淑女(さくらのしゅくじょ)
くらしの植物苑作出

天空の花火

4)天空の花火(てんくうのはなび)
くらしの植物苑作出

江戸菊(えどぎく)

文化・文政期(1804~1830)に江戸市中において大流行しました。花の咲き始めは周辺の舌状花の花弁が垂れ下がり、中心部の筒状花が見えます。さらに咲き進むと中心部に近い舌状花の花弁から順次立ち上がり、いろいろに折れ曲がって筒状花を包み込むように抱えます。江戸菊は蕾から咲き開くまで10日、開いて狂いながら(芸をしながら)10日、完全に狂って10日と、長く楽しめる花です。

涛の花霞

5)涛の花霞(なみのはながすみ)

下谷金鶴

6)下谷金鶴(したやきんかく)



嵯峨菊(さがぎく)

京都の嵯峨地方で嵯峨天皇のころから栽培されていたとの説もありますが、伊勢菊と同様江戸末期頃に品種が成立したと考えられます。2m近くまで伸ばす仕立て方は嵯峨菊独特で、皇居の殿上の回廊から観賞できるようにしたといわれています。明治時代になるまでは大覚寺のみで栽培され、門外不出でした。糸のように細い多数の舌状花の花弁が、咲き始めは横に向いて開き、花芯を露出し、花弁がほぼ伸びきると真直ぐに立ち上がって刷毛状に咲くのが特徴です。

嵯峨の泉

7)嵯峨の泉(さがのいずみ)

嵯峨の舞

8)嵯峨の舞(さがのまい)

伊勢菊(いせぎく)(松阪菊(まつざかきく)含む)

三重県松阪地方で、天保~嘉永(1830~1855)頃から栽培されている中輪の花です。嵯峨菊を改良して作り出したと考えられています。花弁は細長く、縮れて咲き始め、伸びるにしたがって花弁が垂れ下がるのが特徴で、珍奇な形の花をつける菊として貴重です。また、大輪咲きの伊勢菊(松阪菊)は、現存する品種も少なく貴重です。

友白髪

9)友白髪(ともしらが)

暁紅

10)暁紅(ぎょうこう)

奥州菊(おうしゅうぎく)

青森県八戸地方で品種改良された菊で、両手で花をキュッと掴んだように盛り上がり、太い花弁が垂れ下がるのが特徴です。

冨山の雲

11)冨山の雲(ふざんのくも)

極楽殿

12)極楽殿(ごくらくでん)

丁子菊(ちょうじぎく)

江戸時代最初の流行期である元禄(1688~1704)から、享保(1716~1736)頃に「丁子咲」として最初に現れた系統です。花芯部の筒状花が丁子弁になって盛り上がって咲くのが特徴です。

白雲丸

13)白雲丸(はくうんまる)

岸の赤星

14)岸の赤星(きしのあかぼし)

このリリースに関するお問い合わせ
人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
広報課 広報・普及係 石渡・田川・髙木
〒285-8502千葉県佐倉市城内町117 
TEL 043-486-0123(代)  FAX 043-486-4941
E-mail:koho@ml.rekihaku.ac.jp