第3展示室特集展示「生田コレクション 鼓胴」

プレスリリース

2025.06.10

このたび、国立歴史民俗博物館では、第3展示室 特集展示「生田コレクション 鼓胴」を2025年7月23日(水)~ 8月31日(日)に開催します。

当館が所蔵する生田コレクションは、明治時代から大正時代にかけて、親子二代にわたって収集された能楽関係資料です。これまで音楽・楽器史、技術史、美術史の研究資料として高く評価されてきました。

今回の展示では、本コレクションの中核をなす小鼓胴を中心に、大鼓胴・太鼓胴ほか主要な資料を展示します。間近に眼にする機会の少ない鼓胴の展示を通じて、楽器製作技術や、多彩な装飾の美術工芸的魅力に迫るとともに、近代における能楽の存続を支えた二人の収集者について紹介します。

つきましては、この展示開催を貴媒体にてぜひ多くの方々にご紹介くださいますようお願い申し上げます。

開催概要

第3展示室特集展示「生田コレクション 鼓胴」

開催期間 2025年7月23日(水)~ 2025年8月31日(日)
※館内メンテナンス・悪天候等、諸般の理由により、開館日・開館時間等の変更、各種催し物を延期または中止する場合があります。最新の情報は館のホームページ及びSNSでご確認ください。
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室
料金

一般600円(350円)/大学生250円(200円)
高校生以下無料

※( )は20名以上の団体料金です。
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場(16:00まで)できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日

 

7月28日(月)、8月4日(月)、5日(火)、18日(月)、25(月)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

みどころ

  • 明治時代の数寄者と大正時代の研究者の親子二代によるコレクションです
  • 表面に施された蒔絵装飾の美しさと、文様に隠された意味をお楽しみください
  • 鼓胴内部の「鉋目(かんなめ)」に象徴される楽器製作技術に注目します

趣旨

生田コレクションは、明治から大正期、ビール産業の草創に貢献した人物として知られる生田秀(1857-1906)と、その長男で鼓胴研究に勤しんだ生田耕一(筒哉、1882-1933)とが、二代にわたり収集した能楽関係コレクションです。能においては、小鼓・大鼓・太鼓・能管という性格の異なる四種の楽器が用いられますが、本コレクションの中核をなすのは小鼓胴、すなわち小鼓の本体にあたる音を共鳴させるための筒 92点です。能楽を代々家業とした家や大名家等に伝来した資料とは異なり、研究的な視点によって集められたため、流儀(流派)の好みに偏らず、室町時代から大正時代という幅広い制作年代の鼓胴を含む、系統だったコレクションである点に特色があります。

今回の特集展示では、音楽・楽器史、技術史、美術史の研究資料として高く評価されてきた生田コレクションから小鼓胴・大鼓胴・太鼓胴ほか主要な資料を展示します。鼓を構成する各部品や、鼓胴内部の鉋目に象徴される楽器製作技術、鼓胴表面に施された多彩な蒔絵装飾、さらにはコレクションの成立背景などを通じて、室町時代から江戸時代にかけて発展・興隆し、さらに近代に受け継がれて現在もなお伝統芸能として生き続ける能楽文化の一端を紹介します。

生田秀

生田秀(1857-1906)
(生田秀昭氏提供)

主な展示資料

生田コレクション 鼓胴 より

  • 菊唐草蒔絵小鼓胴
  • 真葛蒔絵小鼓胴
  • 源氏夕顔蒔絵小鼓胴
  • 桜花散蒔絵小鼓胴
  • 栗蒔絵大鼓胴
  • 紫陽花蒔絵太鼓胴
  • 能管 銘「鳳凰竹」
  • 桜花蒔絵鼓箱
  • 生田耕一・山崎楽堂著『皷筒之鑑定』わんや謡曲書肆、1917年(個人蔵)
  • 皷筒研究會著『鼓筒圖譜』能楽編輯所、1918 年(個人蔵)
参考資料

など 約100点一部個人蔵、その他すべて国立歴史民俗博物館蔵

展示代表

展示代表

日高 薫

HIDAKA Kaori

大学共同利用機関法人人間文化研究機構
国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授

専門分野:漆工芸史
主な研究テーマは、蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究、交易品としての漆器をめぐる文化交流に関する研究。また、在外の日本関係資料の調査研究をすすめている。
東京大学文学部美術史研究室、共立女子大学国際文化学部研究助手を経て、1994年から国立歴史民俗博物館に所属。

関連イベントのご案内

展示解説会のご案内

日時

7月23日(水) 11:00~

場所

総合展示 第3室 特集展示室

当展示代表による展示解説を行います。事前予約等は必要ございません。
お名刺をご持参の上、総合案内で腕章をお受け取りになり、ご入館ください。
※ただし、動画での撮影をご希望の場合は、事前にご相談くださいますようお願いいたします。

展示についてのお問い合わせ電話番号

ハローダイヤル:050-5541-8600

広報用素材の提供について

ご希望の写真を送付いたしますので、広報画像リストの番号をご連絡ください。
画像(JPEG)はメールで送信いたします。
問い合わせ先は下記の「このリリースに関するお問い合わせ」をご覧ください。

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  • 展覧会名、会期、会場名、掲載図版のキャプションを必ず掲載してください。
  • 資料画像は全図で使用してください。文字を重ねるなど画像の加工・改変はできません。部分使用については事前申請・許諾が必要です。
  • Web上に掲載する場合は、72dpi以下のサイズにしてください。
  • 転載、再放送など2次使用をされる場合には、別途申請いただきますようお願いいたします。
  • 基本情報、図版使用の確認のため、校正紙(Web上の場合は掲載URL)をお送りください。
  • 掲載、放送後は必ず、掲載誌(もしくは掲載面PDF)、同録DVDを、1部お送り願います。

菊唐草蒔絵小鼓胴

1) 菊唐草蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

明治31年、秀によって購入された最初の収集品。

秋草蒔絵小鼓胴

2) 秋草蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

萩や桔梗・野菊・薄などの秋草を金銀の蒔絵で繊細に表している。

秋草蒔絵小鼓胴の乳袋内部

3) 秋草蒔絵小鼓胴の乳袋内部
国立歴史民俗博物館蔵

「請」には、無限に広がる波をかたどる青海波文の美しい鉋目が刻まれる。

真葛蒔絵小鼓胴

4) 真葛蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

金蒔絵に螺鈿を交えて、秋の野に繁茂する葛を描く。

源氏夕顔蒔絵小鼓胴

5) 源氏夕顔蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

御所車に扇、夕顔の花を描いて、源氏物語の「夕顔」の場面を表している。

波水草蒔絵小鼓胴

6) 波水草蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

金蒔絵で、変化のある流水に沢瀉や水葵を表している。

桜蝶蒔絵小鼓胴

7) 桜蝶蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

筒の内外を手刳りによって成形した古作の小鼓胴。乳袋は肩が張り、特徴的な形態である。

桜花散蒔絵小鼓胴

8) 桜花散蒔絵小鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

観世新九郎家に名筒として伝来し、「大桜」と呼ばれていたもの。

栗蒔絵大鼓胴

9) 栗蒔絵大鼓胴
国立歴史民俗博物館蔵

大鼓胴の棹の中央には三本の線が刻まれており、大きさだけでなく形状も小鼓胴と少し異なる。

このリリースに関するお問い合わせ
人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
広報課 広報・普及係 石渡・田川・髙木
〒285-8502千葉県佐倉市城内町117 
TEL 043-486-0123(代)  FAX 043-486-4941
E-mail:koho@ml.rekihaku.ac.jp