くらしの植物苑特別企画「伝統の朝顔」

プレスリリース

2024.06.06

謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は、当館の運営等につきまして、格別のご配慮を賜り、厚くお礼申し上げます。

このたび、当館くらしの植物苑におきまして、2024年8月7日(水)~ 9月8日(日)の期間、特別企画 季節の伝統植物「伝統の朝顔」を開催します。

夏の風物詩としておなじみの朝顔。当苑では、江戸時代以降に作り出されてきた、朝顔とは思えない変わった花形や葉形の「変化朝顔(へんかあさがお)」を、約100系統、約700鉢展示いたします。

また今年は、「禹長春の幻の朝顔資料」をテーマに、禹長春(う ながはる)という人物の業績とともに、彼の朝顔研究資料についてパネルで紹介します。

江戸時代から楽しまれてきた「えっ!これが朝顔?」と思える変化朝顔の世界をご堪能ください。

つきましては、この展示開催を貴媒体にてぜひ多くの方々にご紹介くださいますようお願い申し上げます。

謹白

※関連イベントが変更・中止される場合があります。最新の情報は、植物苑特別企画ページ等でご確認ください。

開催概要

くらしの植物苑特別企画 季節の伝統植物 「伝統の朝顔」

開催期間

2024年8月7日(水)~9月8日(日)

会場

国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑

料金

個人 100円、団体 50円
※高校生以下は入苑無料です。
※団体は20名以上です。
※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入苑無料。
※博物館の総合展示は別途料金がかかります。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開苑時間

9:30~16:30 (入苑は16:00まで)
※開花の特性上、午前中の早い時間が見ごろです。
※8月12日(月)~ 18日(日)は8:30から開苑いたします。

休苑日

8月19日(月)・26日(月)・9月2日(月)・3日(火)

主催

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

朝顔は古くから多くの人々に親しまれてきました。特に江戸時代以降、文化・文政期、嘉永・安政期、明治・大正期など、繰り返し朝顔ブームが訪れ、変化朝顔とよばれる、朝顔に見えないような多様な形の花と葉を持つ朝顔が創り出されてきました。特に、朝顔は一年草であるにも関わらず、種子を結ばない変異も種子によって維持してきたことは世界的に見ても特異なもので、幕末の嘉永・安政期にはきわめて多くの品種が創り出されていたようです。

しかし、大正期以降、現在でも広く栽培されている大輪朝顔の栽培が盛んになる一方、変化朝顔の愛好家は次第に減少し、第二次世界大戦後の変化朝顔はわずか数名の愛好家によって維持される状況になりました。幸いなことに、江戸期に起源を持つ変化朝顔の変異の多くは、愛好家や研究者の努力によって現在まで維持されているのです。そこで、江戸時代以降の独創的な知識と技術を駆使してつくり上げられた伝統の朝顔を広く知っていただき、人と植物との関わりを見るべく、当苑では1999年以降、歴史資料としてこれらの朝顔を展示してきました。

今回は、「禹長春の幻の朝顔資料」をテーマに、育種学者・遺伝学者である禹長春(う ながはる)という人物の業績、および、彼が研究した朝顔の資料についてパネルで紹介いたします。

また、くらしの植物苑内で栽培した鉢植えの朝顔を、ビニルハウス、東(あずま)屋、よしず展示場で展示します。

主な展示内容

  • 変化朝顔 正木系40系統、出物系25系統
  • 明治時代以降の大輪朝顔25系統程度
  • ヨーロッパ・北米産の近縁の朝顔10系統程度

計約100系統、約700鉢を展示

★公的機関としては日本最大規模です!

※生育状況により出展数は変わる場合があります。

関連イベントのご案内

展示解説会のご案内

日時

8月7日(水) 11:00~

場所

くらしの植物苑

当展示プロジェクト委員による展示解説を行います。事前予約等は必要ございません。
お名刺をご持参の上、受付で腕章をお受け取りになり、ご入苑ください。

くらしの植物苑観察会

第305回「禹長春の幻の朝顔資料」

講師

仁田坂 英二 (九州大学大学院 理学研究院)

日時

8月24日(土) 13:30~15:30

場所

歴博講堂

広報用素材の提供について

ご希望の写真を送付いたしますので、プレスリリースの画像番号をご連絡ください。
画像(JPEG)はメールで送信いたします。
問い合わせ先はリリース本文【このリリースに関するお問い合わせ】をご覧ください。

ご注意

  • 本展広報目的でのご使用に限ります。(展示期間終了まで)
  • 展覧会名、会期、会場名、掲載図版のキャプションを必ず掲載してください。
  • 資料画像は全図で使用してください。文字を重ねるなど画像の加工・改変はできません。部分使用については事前申請・許諾が必要です。
  • Web上に掲載する場合は、72dpi以下の解像度にしてください。
  • 転載、再放送など2次使用をされる場合には、別途申請いただきますようお願いいたします。
  • 基本情報、図版使用の確認のため、校正紙(Web上の場合は掲載URL)をお送りください。
  • 掲載、放送後は必ず、掲載誌(掲載面PDF)、同録テープを、1部お送り願います。

展示風景(東屋)

1) 展示風景(東屋)

展示風景(ハウス)の画像

2) 展示風景(ハウス)

朝顔水盤展示

3) 朝顔水盤展示

黄斑入蝉葉浅葱丸咲大輪(日本晴)

4) 黄斑入蝉葉浅葱丸咲大輪(日本晴)

青打込桔梗渦葉短毛淡藤切咲牡丹

5) 青打込桔梗渦葉短毛淡藤切咲牡丹

青斑入握爪龍葉淡藤鼠色風鈴獅子咲牡丹

6) 青斑入握爪龍葉淡藤鼠色風鈴獅子咲牡丹

黄尾長立田葉紅筒白切咲

7) 黄尾長立田葉紅筒白切咲

青打込弱渦柳葉青采咲牡丹

8) 青打込弱渦柳葉青采咲牡丹

青蜻蛉丸笹葉紅覆輪切咲牡丹

9) 青蜻蛉丸笹葉紅覆輪切咲牡丹

青斑入海松葉茶覆輪細切采咲牡丹

10) 青斑入海松葉茶覆輪細切采咲牡丹

青桔梗渦葉短毛青紫糸覆輪桔梗咲八重

11) 青桔梗渦葉短毛青紫糸覆輪桔梗咲八重

豆知識 ー変化朝顔の名称-

江戸時代に育まれた園芸植物の中で、変化朝顔には特異な名称がつけられています。第一次ブーム(文化・文政期)の番付表にはその走りが見られますが、第二次ブーム(嘉永・安政期)に基本ができあがります。それは葉の色、模様・質・形、茎の形、花の色・模様・花弁・咲き方・花弁の重ねを順番に記述し、必要に応じて付加してゆく命名法で、現在の遺伝学から見ても非常に理にかなったものです。

たとえば「青水晶斑入弱渦柳葉淡藤爪覆輪采咲牡丹(あおすいしょうふいりじゃっかやなぎばあわふじつめふくりんさいざきぼたん)」を見てみましょう。まず始めに、葉についての記述です。青(葉の色)・水晶斑入(模様)・弱渦(質)・柳葉(形)に分解できますが、これは青葉の水晶斑入で、「渦」と「柳」の突然変異が入った葉であることを示しています。次に、花についての記述です。葉の記述と同様に、淡藤(花の色)・爪覆輪(模様)・采咲牡丹(咲き方)に分解できますが、淡藤の地に覆輪が入った花色で、撫子のような花弁で、采咲という細かく切れた咲き方であることを示しています。

左に青水晶斑入弱渦柳葉、右に青水晶斑入弱渦葉の画像

左:青水晶斑入弱渦柳葉 右:青水晶斑入弱渦葉(葉)

淡藤爪覆輪采咲牡丹の画像

淡藤爪覆輪采咲牡丹(花)

このリリースに関するお問い合わせ
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 広報課 広報・普及係 石渡・室橋・髙木
〒285-8502 千葉県佐倉市城内町117
TEL 043-486-6488(直通),FAX 043-486-4482,E-mail:koho@ml.rekihaku.ac.jp