くらしの植物苑特別企画 「伝統の古典菊」
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は、当館の運営等につきまして、格別のご配慮を賜り、厚くお礼申し上げます。
このたび当館では、2023年10月31日(火)~11月26日(日) の期間、くらしの植物苑特別企画「伝統の古典菊」を開催します。
本展では、各地方で独特な特徴を持った古典菊を約110品種と歴博で実生栽培した嵯峨菊、肥後菊などオリジナルの新花約20品種を展示いたします。また今年度は「浮世絵に見る菊」をテーマに、パネル展示により、江戸時代の菊の栽培や観賞などの様子を、浮世絵を通じて紹介します。
つきましては、この展示開催を貴媒体にてぜひ多くの方々にご紹介くださいますようお願い申し上げます。
謹白
新型コロナウイルス感染症拡大の状況により、展示や関連イベントが変更・中止される場合があります。
最新の情報については、くらしの植物苑特別企画ページをご確認ください。
開催概要
くらしの植物苑特別企画「伝統の古典菊」2023年10月31日(火)~2023年11月26日(日)
開催期間 | 2023年10月31日(火)~2023年11月26日(日) |
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会場 | 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑 |
料金 | 個人 100円 ※高校生以下は入苑無料。 ※11月3日(金・祝)は「文化の日」で入苑無料。 ※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入苑無料。 ※博物館の総合展示・企画展示は別途料金がかかります。 ※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。 |
開館時間 | 9:30~16:30 (入苑は16:00まで) |
休苑日 | 11月6日(月)・13日(月)・20日(月) |
主催 | 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 |
趣旨
菊は、日本を代表する園芸植物のひとつです。菊は日本在来の植物ではありませんが、平安時代の宮廷ですでに菊花の宴が流行していたことから、遅くとも律令期には、他の文物とともに中国からもたらされていたと考えられています。平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により、支配者層の間で独特の花が作り出されました。筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊」は伊勢・松阪地方で盛んに栽培されました。そして、菊は支配者層の中で宴に、美術工芸品に、不老不死のシンボルとして特権的な地位を築いていったのです。
それが、近世中頃以降になると大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行したと言われています。それらの流行を支えたのが、花弁のまばらな「肥後菊」と、咲き始めてから花弁が変化していく「江戸菊」です。これらに花の中心が盛り上がって咲く「丁子菊」を加えた伝統的な中輪種は「古典菊」と呼ばれています。
くらしの植物苑では、このような「古典菊」を2000年から収集・展示してきました。今回は、各地方で独特な特徴を持った古典菊を約110品種と、歴博で実生栽培した嵯峨菊、肥後菊などオリジナルの新花約20品種を展示いたします。また今年度は「浮世絵に見る菊」をテーマに、歌舞伎の菊花壇と死絵、女性の菊作り、名所や縁日での菊、菊細工といった、江戸時代の浮世絵に描かれた菊の栽培や観賞などの様子について、パネルで紹介します。
主な展示内容
くらしの植物苑で収集し、栽培・育種した古典菊(嵯峨菊・伊勢菊(松阪菊を含む)・肥後菊・江戸菊・丁子菊)と、江戸菊や肥後菊と同じく近世中頃からつくられている奥州菊、また、当苑で種から育てた実生の新花約20品種を苑内の東屋周辺、ハウス、よしず展示場に展示します。
- 出展品種 計 約130品種(歴博オリジナル約20品種含む)
- 出展鉢数 約500鉢
※生育状況により出展数は変わる場合があります。
展示解説会のご案内
当展示プロジェクト委員による解説を行います。事前予約等は必要ございません。
お名刺をご持参の上、受付で腕章をお受け取りになり、ご入苑ください。
日時 | 2023年10月31日(火) 13:30~ |
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会場 | くらしの植物苑 |
関連イベントのご案内
くらしの植物苑観察会
第296回「浮世絵に見る菊」 講師 平野 恵(台東区立中央図書館専門員)
日時 11月25日(土)13:30~15:30
場所 くらしの植物苑 東屋 ※要入苑料、先着30名予定
広報用素材の提供について
ご希望の写真を送付いたしますので、プレスリリースの画像番号をご連絡ください。
画像(JPEG)はメールで送信いたします。
問い合わせ先は下記「このリリースに関するお問い合わせ」をご覧ください。
広報画像使用に際しての注意事項
- 本展広報目的でのご使用に限ります。(展示期間終了まで)
- 展覧会名、会期、会場名、掲載図版のキャプションを必ず掲載してください。
- 資料画像は全図で使用してください。文字を重ねるなど画像の加工・改変はできません。
部分使用については事前申請・許諾が必要です。 - Web上に掲載する場合は、72dpi以下の解像度にしてください。
- 転載、再放送など2次使用をされる場合には、別途申請いただきますようお願いいたします。
- 基本情報、図版使用の確認のため、校正紙(Web上の場合は掲載URL)をお送りください。
- 掲載、放送後は必ず、掲載誌(掲載面PDF)、同録テープを、1部お送り願います。
展示風景
1)展示風景(東屋)
2)展示風景
肥後菊
宝暦年間(1751~1764)、肥後の名藩主といわれた細川重賢が、文化政策の一つとして栽培を奨励したと伝えられています。文政2(1819)年に肥後藩主別当職の秀島七右衛門が「養菊指南車」という著書をあらわしてから、独特の栽培法が確立しました。
3)佐倉の淑女(さくらのしゅくじょ)
くらしの植物苑作出
4)紅不動(べにふどう)
江戸菊
文化・文政期(1804~1830)に江戸市中において大流行しました。花の咲き始めは周辺の舌状花の花弁が垂れ下がり、中心部の筒状花が見えます。さらに咲き進むと中心部に近い舌状花の花弁から順次立ち上がり、いろいろに折れ曲がって筒状花を包み込むように抱えます。江戸菊は蕾から咲き開くまで10日、開いて狂いながら(芸をしながら)10日、完全に狂って10日と、長く楽しめる花です。
5)江戸絵巻(えどえまき)
6)春日(かすが)
嵯峨菊
京都の嵯峨地方で嵯峨天皇のころから栽培されていたとの説もありますが、伊勢菊と同様江戸末期頃に品種が成立したと考えられます。2m近くまで伸ばす仕立て方は嵯峨菊独特で、皇居の殿上の回廊から観賞できるようにしたといわれています。明治時代になるまでは大覚寺のみで栽培され、門外不出でした。糸のように細い多数の舌状花の花弁が、咲き始めは横に向いて開き、花芯を露出し、花弁がほぼ伸びきると真直ぐに立ち上がって刷毛状に咲くのが特徴です。
7)嵯峨の泉(さがのいずみ)
8)嵯峨の舞(さがのまい)
伊勢菊(松阪菊含む)
三重県松阪地方で、天保~嘉永(1830~1855)頃から栽培されている中輪の花です。嵯峨菊を改良して作り出したと考えられています。花弁は細長く、縮れて咲き始め、伸びるにしたがって花弁が垂れ下がるのが特徴で、珍奇な形の花をつける菊として貴重です。また、大輪咲きの伊勢菊(松阪菊)は、現存する品種も少なく貴重です。
9)桜吹雪(さくらふぶき)
10)歴博オリジナル
くらしの植物苑作出
奥州菊
青森県八戸地方で品種改良された菊で、両手で花をキュッと掴んだように盛り上がり、太い花弁が垂れ下がるのが特徴です。
11)愛国殿(あいこくでん)
丁子菊
江戸時代最初の流行期である元禄(1688~1704)から、享保(1716~1736)頃に「丁子咲」として最初に現れた系統です。花芯部の筒状花が丁子弁になって盛り上がって咲くのが特徴です。
12)希望丸(きぼうまる)
このリリースに関するお問い合わせ
人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
広報サービス室広報・普及係 横尾・寺村・高木
〒285-8502千葉県佐倉市城内町117
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E-mail:koho@ml.rekihaku.ac.jp