日本古代史の研究者だった井上辰雄(いのうえたつお)氏のご遺族(いぞく)より、2019年に歴博に寄贈(きぞう)された資料を公開します。
正倉院文書は奈良の東大寺正倉院に伝来していたおよそ1300年前の古文書ですが、江戸時代末にその存在が知られ、整理が進められるようになりました。そのなかでごく一部が民間に流出しましたが、井上氏はこの庫外正倉院文書を入手しました。
内容は、葦浦継手(あしうらのつぎて)という経師(きょうし)(お経を書き写すことを仕事とする人)が、772年9月に自分が書写した写経の枚数を報告した書類です。
もう1点の盤龍鏡は、中国の後漢時代(25~220年)につくられた、文様・文字が鮮明な非常に良質の鏡です。
庫外正倉院文書は35年ぶり、盤龍鏡は初公開です。
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葦浦継手手実(しゅじつ)(庫外正倉院文書) 葦浦継手が写経を6巻79紙分行ったことを知らせる報告書です。写経所では、これらの書類をもとに給料を支給しました。
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盤龍鏡(後漢時代) 向かい合う龍と虎を主なデザインとする中国の鏡です。「宋氏」と作者の名が入った鏡で、100年前後につくられました。
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