上京の一条通りを室町通りへ歩く二人連れの僧は、独特な形の黒い笈(おい)を背負った高野聖である。本来は全国を行脚(あんぎゃ)して高野山の因縁を説き、勧進(かんじん)や納骨を行っていたが、後には呉服などの行商も行った。『三十二番職人歌合絵巻』にも巡礼と対で描かれている。左隻第4扇にも見られる。