種実や葉の遺跡出土例が検索できます

遺跡の時代や地域ごとにどんな植物が見つかっているのかを約6万点のデータから探してみましょう。

日本の遺跡出土大型植物遺体データベースとは

遺跡や堆積物中から見つかる過去の植物の種実や葉,枝などの肉眼で観察できる組織の遺存体を総称したものを大型植物遺体と呼びます。日本各地で毎年行われている遺跡発掘調査に伴ってこれらの大型植物遺体の分析が数多く行われており,大規模開発が進んだ1980年代以降膨大な出土記録が蓄積されつつあります。遺跡出土大型植物遺体は当時の植生や人と植物との関係史を明らかにする上でとても重要な資料です。しかし,分析を行っている研究者でさえ個別の分析事例に辿り着くことが困難な状況であり,網羅的なデータベースの構築が必要不可欠でした。
そこで,国立歴史民俗博物館では千葉大学大学院園芸学研究科と協力し,日本国内の遺跡出土大型植物遺体のデータベースを作成するプロジェクトを2012年度から開始しました。このプロジェクトでは国立歴史民俗博物館の図書室にある約6万冊の遺跡発掘調査報告書の悉皆調査を行い,大型植物遺体の分析例がある報告書約2500冊を抽出し,記載されている大型植物遺体の記録をデータベース化しました。2016年3月までに登録されたデータベース件数は約63000件にのぼります。このデータベースによって,人と植物との関係史の解明がより一層進むことを期待します。

注意事項

  • 1)本データベースはあくまで一次資料(発掘調査報告書)に辿り着くためのものであり,植物の同定間違いや,発掘調査時の出土層位・帰属年代の解釈の違い,誤記載などの誤った情報もデータベースには蓄積されている。データベースから得た情報は必ず発掘調査報告書本体にあたって確認する必要がある。
  • 2)本データベースを利用して論文・報告書等を執筆する場合は以下の文献を引用すること。石田糸絵・工藤雄一郎・百原新2016「日本の遺跡出土大型植物遺体データベース」『植生史研究』24-1: pp. 18-24.
  • 3)データベースの作成は百原新と工藤雄一郎の指示の下,石田糸絵が中心となって進め,伊藤彩乃,河上友宏,清末美帆,小林弘和が従事した。
  • 4)本データベースは以下のプロジェクトの成果の一部である。
    国立歴史民俗博物館開発型共同研究「縄文時代の人と植物の関係史」(代表:工藤雄一郎:2010〜2012年度),科学研究費補助金挑戦的萌芽研究「遺跡出土植物遺体データベース構築に基づく生業形態と植物分布変遷との関係の解明」(代表:百原新:2012〜2014年度,研究課題番号:24650585),国立歴史民俗博物館データベース開発経費 (代表:工藤雄一郎:2014〜2015年度)

ページの先頭へ