特別研究員奨励費

日本絵画における風景表現の諸機能と社会的役割に関する研究

研究期間:平成16年度~平成18年度

研究代表者 水野僚子 (日本学術振興会特別研究員(PD))(本館・外来研究員)

研究目的

本研究は、具体的な土地の風景を描き出した日本の絵画作品を対象に、風景表現を歴史的事実としてではなく一つの表象として捉え、モチーフや表現など画面の構成要素を詳細に分析することで、古代から近世の人々の「土地」や「風景」に対するイメージの受容の様相や展開を明らかにすることを目的とする。絵画の調査を基礎とした、詳細な図様分析を通じて、図様の意味と機能を探るとともに、描かれた土地の踏査、文献資料等の検討を通じて、イメージ生成の思想的・文化的社会背景を探る。また、ジェンダーやポストコロニアルの視点を用いた分析も合わせて行い、表現に内在する権力構造を明らかにすることで、表象としての風景を社会との関係の中で分析・解釈する。以上の検討を通して、様々な時代・階級・土地に帰属する人々が、ある「土地」あるいはその「風景」に対していかなるイメージを描き、さらにその表象がどのように社会に機能したのかを探ることを目的とする。