基幹研究

館蔵資料型共同研究

小渡遺跡を中心とする十腰内文化の研究

研究期間:2023年度~2025年度

  氏名
(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者

阿部 昭典 
(千葉大学大学院/縄文時代/十腰内Ⅰ式との広域土器編年、関東の十腰内Ⅰ式集成)

研究組織

吉川 耕太郎
(秋田県埋蔵文化財センター/旧土器・縄文時代/縄文土器・主に有茎石鏃)
中島 将太
(井草文化財研究所/縄文時代(石器)/縄文石器(礫石器)・石皿・磨石)
上條 信彦
(弘前大学人文社会教育学系/縄文時代(石器)/縄文石器、石皿の使用痕分析)
佐賀 桃子
(山梨県埋蔵文化財センター/縄文時代/皿形土製品、動物形土製品)
佐々木 由香
(金沢大学古代文明・文化資源学研究所/植物考古学/土器
圧痕レプリカ分析、植物利用)
國木田 大
(北海道大学大学院文学研究院/文化財科学・考古学/食性分析、年代測定、環境変動)
建石 徹
(東京文化財研究所 保存科学研究センター/縄文時代/土器胎土分析)
菅頭 明日香
(青山学院大学文学部/文化財科学/土器胎土分析)
村本 恵一郎
(五戸町教育委員会/文化財/小渡遺跡周辺遺跡)
中村 耕作
(本館研究部/縄文研究/小渡遺跡の整理、関東・北東北の土器編年対比)
山下 優介
(本館研究部/植物考古学/土器圧痕レプリカ分析)

研究目的

本研究は、小渡遺跡を中心に、東北北部に展開した「十腰内文化(十腰内Ⅰ式文化)」の実態を解明することを目的とする。「十腰内文化」は、北東北から北海道西南部に広がる後期前半期の文化で、世界遺産に登録された環状列石の造営や多様な儀器が発達するなど独特の文化であり、配石や再葬など縄文後・晩期を特徴づける精神文化の初源として重要な意味を持つ。しかし、これらの文化の内実については、分かっていないところが多い。十腰内文化には、土器装飾・儀礼具の種類や有無、環状列石の有無などいくつかの点で地域差が想定されるが、小渡遺跡資料は、周辺遺跡の実態が不明瞭な五戸地域において有数の資料数を誇る。

本研究は、「十腰内文化」の実態解明のために、4つの研究視点から研究を構成する。

一つは、まずは十腰内Ⅰ式土器が、他地域、特に関東地方の堀之内1・2式、加曽利B1式土器と時間的にどのような並行関係にあるのかを明確にする。そのために、広域土器編年を整理する必要があり、共伴資料や型式学的検討に加えて、AMS年代測定法によって、地域間の並行関係を整理する。それにより、他地域の文化的動態と比較し、どのような背景のもとに発達した文化なのかを研究する基盤となる。

二つ目は、この時期の植生や生業活動を解明するために、土器や石器の分析を行う。この時期の土器器種は、深鉢に加えて、浅鉢や壺が特徴的であり、これらの用途の解明につとめる。加えて、土器付着炭化物の炭素・窒素同位体分析から、煮炊調理の実態を明らかにする。さらに、土器表面に残された圧痕から、種子などを検出して、植物利用のあり方を解明する。また石器の分析では、狩猟具である石鏃、粉砕具である石皿の形態的分析とともに、使用痕分析から、生業活動を復元したい。これらを総合することで、「十腰内文化期」の生業活動と生態環境の特徴を明らかにすることができる。特に、土器や石器は小渡遺跡出土資料に豊富に存在する。

三つ目は、この時期のモノや人の動きを明らかにするために、石材分析や土器胎土分析を行う。これらのデータ蓄積により、「十腰内文化」におけるモノと人の動きについて明らかにしたい。東北北部から北海道西南部の文化圏内での地域間関係だけでなく、関東・中部地方で見つかっている十腰内Ⅰ式土器や関連資料の集成を行い、土器胎土分析などを行い、モノ自体が移動したのか、製作者が移動したのかなどを検証する。

四つ目は、この時期の儀礼行為を復元するために、土製品や石製品等の分析を行う。特に、小渡遺跡出土の皿形土製品が出土していることから、これまでに目立った研究もないことから、皿形土製品の分析を中心に行う。

これらから、「十腰内文化」の実態解明とともに、小渡遺跡や周辺遺跡の地域性を明らかにする。

 

研究会等

概要

日程:2023年7月7日(金)~ 7月9日(日)
場所:青森県五戸町周辺

内容

本研究の主対象である五戸町小渡遺跡の現状を確認するとともに、周辺地域の比較対象資料の候補を所蔵する博物館等を見学し、今後の研究方針について協議した。

  • 7月7日 七戸町鉢森平(7)遺跡、八戸市松ヶ崎遺跡
  • 7月8日 五戸町ごのへ郷土館・小渡遺跡、三戸町泉山遺跡踏査・アップルドーム、二戸市埋蔵文化財センター、一戸町御所野縄文博物館、共同研究打ち合わせ
  • 7月9日 八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館、十和田市郷土館
概要

日程:2023年4月29日(土・祝)~ 4月30日(日)
場所:国立歴史民俗博物館

内容

4月29日(土)
1.趣旨説明
2.研究員自己紹介
3.共同研究計画の概要説明、質疑
4.事務的な説明
5.小渡遺跡出土資料の見学
4月30日(日)
1.本年度の研究計画打ち合わせ
 ・資料を見たうえでの研究計画の意見交換。
 ・五戸町周辺地域での資料調査の日程調整。
 ・研究成果の発表について
2.資料観察など(各自)