共同利用型共同研究

雑誌『SOGI』から見る近年の葬儀の変化についての研究

研究期間:2023年度

研究代表者 宮澤 安紀(國學院大學/教社会学)
館内担当教員 山田 慎也(本館研究部 民俗研究系)

研究目的

本研究は、これまで日本の研究者によって「第二の近代化」「第二の個人化」などとして捉えられてきた近年の日本の葬送をめぐる状況の変化を、1991年から2016年まで刊行された葬儀の専門誌から具体的に跡づけようとするものである。

日本では高度経済成長期以降、都市化や家族の個人化によって葬送が急激な変化を遂げてきた。葬儀については従来葬祭を担っていた地域共同体が解体したことでそれに代わる葬儀社が進出し、葬儀の商品化や消費者意識の高揚を背景に、無宗教葬や小規模化を含む多様化が進んだ。一方で墓のあり方をめぐっても、特に1990年代以降は父系による継承を前提とした一般的な「家の墓」を相対化することで、散骨や樹木葬、また手元供養などの墓を作らない選択肢も普及した。

このような死と葬送をめぐる変化は、これまで日本の研究者によって「近代化」や「個人化」などの言葉で捉えられてきたが、特に1990年代以降の、伝統や慣習を否定し自己の選択の自由を重視するような傾向は、「第二の近代化」(森謙二 2010)や「第二の個人化」(村上興匡 2018)などの言葉で表現されてきた。

しかし、こうした議論は具体的なデータから立ち現れたものと言うよりは、葬送の動向全体を抽象的に捉えたもので、「近代化」「個人化」といった言葉で表現される意味内容も曖昧である。また、1990年代以降の状況は、どちらかと言えば散骨や樹木葬などの、新たな葬法に着目した研究が多く(金セッピョル 2019、S.P.Boret 2014など)、葬儀自体の変化を跡付けた実証的なデータはいまだに乏しい。そこで本研究では、1990 年代以降に行われた葬儀の様子を、多数写真資料として残している唯一の雑誌である『SOGI』を分析対象とすることにより、この変容が実際にどのようなものであるのかを、実証的かつ具体的に跡付けることを目的とする。