IU-REAL異分野融合・新分野創出プログラム共同研究

概念の多様性を包含するナレッジグラフによる分野横断型知識構築および活用に関する研究

研究期間:2023年度~2025年度

研究代表者 武田 英明
(情報・システム研究機構 国立情報学研究所/人工知能、学術コミュニケーション、設計学/統括、情報学的形式的検討、システム化)
研究組織

後藤 真
(人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館/人文情報学、情報歴史学、デジタル・アーカイブ/歴史学分野を中心とした人文ドメインの分析)
大向 一輝
(東京大学大学院人文社会系研究科/人文情報学、ウェブ情報学、学術コミュニケーション/ナレッジグラフ検索システムの設計)
関野 樹
(人間文化研究機構 国際日本文化研究センター/時間情報学、人文情報学/時間情報基盤との連携)
亀田 尭宙
(人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館/人文情報学、ウェブ情報学/歴史データインフラへの知識情報実装)

IU-REAL異分野融合・新分野創出プログラムについて

大学共同利用研究教育アライアンス(IU-REAL)のもとに、4機構(人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構)間の連携により新たな分野の連携や創出を見いだすことを期待し、法人の枠を越えた異なる研究分野の研究者の自由な発想による研究を推進するものです。

共同研究について

かつて社会の基盤(インフラストラクチャ)とは、道路等の交通網や電気ガスなど市民の暮らしを支える物質的な供給に関わるものが主であった。デジタル社会になった今日、情報的な基盤が重要な役割を果たすようになった。デジタル社会基盤として重要なのは単に大量のデータを抱えていることではない。そのデータが適切に構造化されて利用されていることである。ことにGoogle社においてはグーグル・ ナレッジグラフという形で、収集したデータから基礎的なモノやコトを同定して、それらのネットワーク(グラフ)を構築している。このナレッジグラフを自社のサービスの中で利用している(Google検索の右側に出現するパネルはその利用例である)。

ナレッジグラフは事実や知識をグラフ構造で記述し利用するもので、技術的にはSemantic Webの技術、ことにLinked Open Dataの技術が利用されている。ナレッジグラフの柔軟性や拡張性、スケーラビリティが注目され、Google社のナレッジグラフ以降、プラットフォーム企業やIT企業で多様なナレッジグラフが作られるようになった。

その可能性の一つとして社会の知識基盤として利用が期待されている。実際、Googleのナレッジグラフは社会にあるモノ、コトに関する知識の基盤として事実上機能している。しかし、Googleのナレッジグラフであっても、まだ社会基盤としては不十分である。Google社は自社のサービス向上のためにナレッジグラフを構築しているのであって、そのナレッジグラフは結果として均質性や普遍性を求めたものとなっている。

学問分野での知識も同様の構造化による知識基盤が期待され、実際いくつかの分野ではナレッジグラフを利用した記述が行われている。例えば、バイオサイエンス分野においては、多くのオントロジーとともに大規模なナレッジグラフが作られている。その結果、分散されたデータベースにあるデータを統合的に検索できたり、今までにないデータの組み合わせを発見することで学問上の進捗が生まれている。

このように自然科学分野においてはナレッジグラフ化による知識基盤は進んでいるが、本研究ではこれを人文学分野に展開し、新たな知識基盤を構築することを目的とする。