機構基幹研究プロジェクト

広領域連携型基幹研究プロジェクト: 異分野融合による総合書物学の拡張的研究

(主導機関:国文学研究資料館)

延喜式のデジタル化技術による汎用化

研究期間:令和4年度~令和9年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 小倉 慈司(本館研究部/日本古代史/統括・本文研究)
研究組織 井上 正望(埼玉学園大学/日本古代史/校訂・現代語訳)
石川 智士(東海大学海洋学部/水産学/技術史)
稲田 奈津子(東京大学史料編纂所/日本古代史/技術史)
小川 宏和(武蔵野美術大学美術館・図書館民俗資料室/日本古代史・食物史/校訂・現代語訳)
小口 雅史(法政大学文学部(国際日本学研究所)/日本古代史/文献目録)
神戸 航介(宮内庁書陵部/日本古代史/校訂・現代語訳)
鈴木 蒼(宮内庁書陵部/日本古代史/校訂・現代語訳)
小風 尚樹(千葉大学人文社会科学系教育研究機構/人文情報学/TEI)
中村 覚(東京大学史料編纂所/人文情報学/TEI)
西川 明彦(宮内庁正倉院事務所/美術工芸/技術史)
早川 万年(学識経験者(元岐阜大学)/日本古代史/校訂・現代語訳)
三舟 隆之(東京医療保健大学医療保健学部/日本古代史・食物史/技術史)
山口えり(広島市立大学国際学部/日本古代史/校訂・現代語訳・英訳)
余語 琢磨(早稲田大学人間科学研究院/考古学/技術史)
Joan R. PIGGOTT(南カリフォルニア大学/日本古代史/英訳)
Alessandro Poletto(セントルイス・ワシントン大学/日本仏教史/英訳)
鶴島博和(学識経験者(元熊本大学)/西洋中世史・比較史/比較史)(R5.7~)
清武雄二(葛飾区郷土と天文の博物館/日本古代史・食物史/技術史)(R5.7~)
後藤 真(本館研究部/情報資料学/データベース・TEI)
仁藤 敦史(本館研究部/日本古代史/技術史)
三上 喜孝(本館研究部/日本古代史/技術史)

プロジェクト(主導機関:国文学研究資料館)の概要

国文学研究資料館は、大規模学術フロンティア促進事業「日本語の歴史的典籍の国際研究ネットワーク構築計画」のもと、足かけ5年にわたり、古典籍の「書物」という面に焦点を絞り、書物と人との関わりを研究する「総合書物学」という異分野融合プロジェクトを推進してきた。当初の目標どおり、この成果は総研大における文化科学研究科共通科目「総合書物論」の開講に結実し、人文学の異文化融合研究の成果を大学院教育に還元するという新たな一歩を踏み出した。ただし、「総合書物学」プロジェクトは、前例のない研究スタイルそのものをめぐって理論的な基盤を構築しながらスタートしたものであり、各機関が対象とする膨大な史資料群を前に予算・人員的制約もあり、研究内容そのものはまだ緒に就いたばかりであるともいえる。
そうした中、本プロジェクトは「総合書物学」のバージョンアップをはかるべく、2020年9月に文部科学省に策定された「データ駆動による課題解決型人文学の創成」(ロードマップ2020)の指針を見据え、新たなる時代のデジタルヒューマニティーズの成果などを適宜取り込みつつ、広領域連携研究の拡張を目指すと同時に、総研大における文化科学研究科共通科目「総合書物論」の展開に寄与し、学界ならびに社会への貢献を目指すものである。
具体的には3つ(国文学研究資料館、歴博、国立国語研究所)の研究ユニットから形成され、そのいずれも日常では顧みられる機会の少ない古い時代の書物群を対象とし、《語彙レベルや文字組成といった何らかの単位に基づいて断片化》→《付加価値を有するデータとして再構築》という共通したフローを基盤としている。こうした共通化は、相互に情報や意見の交換を行うことを活発にするとともに、共同研究集会の開催を通して、フィードバックや新たな展開へのブレイクスルーを呼び込むことを企図したものである。
以上、本プロジェクトは各ユニットの成果を「総合書物論」という授業科目のもとに有機的に結びつけるという異分野融合の観点に基づいており、「総合書物学」のさらなる拡張を実現させる役割を担うべく始動するものである。
全体のマネジメントは国文研が行い、随時、①全体研究会、②ユニット交流会、③成果公表検討会などを招集、開催する。

本研究は、書物という文化遺産に秘められた人類知を解き明かしていくことで得られる学術的な研究成果はもちろんのこと、そのプロセスにおけるトライ&エラーをも国内外の研究機関に発信し、議論の活性化に寄与する運営体制を敷いている。さらには公開研究会(オンライン含む)、国際シンポジウムの開催を通して、新たな教育や研究のあり方を模索している様々な場へ還元する。こうした活動は、単に「AIvs人間」などというような二項対立的な図式に陥ることなく、これからの社会における人文知とテクノロジーの共存のあり方を示し得るという、メタ構造を有している点も特筆すべきであり、教育現場を入口に、一般社会に対し大きな波及効果があると考えられる。もちろん、各ユニットの研究対象や達成目標はある程度の自由さを担保し、それぞれの分野における研究が蓄積してきた強みを活かしつつ、これからの人文学研究を刷新するユニークな発想に根ざしたものを優先したことはいうまでもない。

歴博ユニットの役割・研究テーマの概要

国際的に共有可能な延喜式データの構築、すなわち人と機械がともに読める汎用的なデータの構築(本文・現代語訳・英訳)をめざす。

これまでの総合書物学における『延喜式』研究はいまだ道半ばであり、本ユニットのプロジェクトによってさらなる拡充をめざす。TEI を用いることにより、日本の古代典籍・写本の記述方法の汎用性を高め、TEIの応用を通してデジタル技術の活用を果たす。また、海外の日本古代史研究者の育成、英語によるデータベース公開により日本古代史研究の国際化を進めると同時に、校訂作業・デジタル化を通じて日本古代史・人文情報学・書誌学研究者を育成することにもつながる。

研究会等

概要
日程:2023年7月17日(日)
場所:オンライン開催
内容

日英比較史オンライン研究会
・清武雄二氏
 「『延喜式』にみえる水産品の概要と特質」
・鶴島博和氏
 「紀元1000年の漁労革命」

上記各報告および参加者による意見交換を、ZOOMを使用したオンライン形式で実施した。

概要
日程:2023年6月25日(日)
場所:国立歴史民俗博物館(オンライン併用)
内容

本文検討会
・三輪仁美「『延喜式』本文校訂の現状と課題」
 *途中、古田一史による本文校訂作業の事例紹介を含む。
・渡邉美紗子「校訂本文提出からデジタル延喜式公開までの流れ」
・戸村美月「担当者へのお願い」
・三輪仁美「『延喜式』巻一三の校訂」

上記各報告を、国立歴史民俗博物館第一会議室およびZOOMを使用したハイブリッド形式で行った。

概要
日程:2022年9月23日(金・祝)
場所:国立歴史民俗博物館、オンライン
内容

講演会「私の古代史研究と史料学」(講演者:熊谷公男東北学院大学名誉教授)をオンライン開催した。