基盤研究

館蔵資料型共同研究

日本植物文化史の分野横断的な検証と展示手法の再構築

研究期間:2020年度~2022年度

  氏名(所属/専門分野/分担課題)
研究代表者 青木 隆浩(本館研究部/産業史学/総括と食文化学)
研究組織 辻 誠一郎 (東京大学名誉教授/植生史学/植物利用の歴史)
岩淵 令治 (学習院女子大学/近世史学/近世の栽培史)
工藤 雄一郎 (学習院女子大学/考古学/縄文時代の植生史学)
菅根 幸裕 (千葉経済大学/近世史学/房総半島の近世史)
西田 治文 (中央大学/植生史学/植物学からの検証)
平野 恵 (台東区立中央図書館/本草学/薬草の近世史)
三浦 励一 (龍谷大学/雑草学/植物の語源と栽培史)
黒河内 葉子 (東京大学大学院/植物材料科学/植物栽培の活用史)
柴崎 茂光 (東京大学大学院/林学/山村の植物利用)
日高 薫 (本館研究部/美術史学/植物の工芸品利用)
村木 二郎 (本館研究部/考古学/植物の展示手法)
荒木 和憲 (本館研究部/中世史学/植物加工品の交易)
島津 美子 (本館研究部/分析科学/植物の染料利用法)
澤田 和人 (本館研究部/服飾史学/服飾と染料の歴史)

研究目的

くらしの植物苑は、1995年に開苑して、植物という生きた資料と本館展示との関わりを意識してきたが、これまで苑内の資料を全面的に意識した共同研究を立ち上げたことがなかった。1999年の「伝統の朝顔」展から始まった「季節の伝統植物」展では、九州大学の仁田坂英二氏や恵泉女学園大学名誉教授の箱田直紀氏、台東区立中央図書館の平野恵氏など第一線の研究者から協力していただき、最先端の研究成果を展示に反映することができた。今後は、常設展示に関しても新たな研究に基づいた改善に取り組む必要がある。

そこで、まずはくらしの植物苑の開苑目的に基づいて、人と植物の関係史をあらためて検証し、その成果を解説プレートの改善に活かして、常設展示のリニューアルに結び付けていきたいというのが、本共同研究課題における最大の目的である。そのために強く意識していることは、植物の利用や品種の維持に対する認識が、研究分野や時代によって大きく異なるということである。

本共同研究課題では、できるだけ分野横断的であることと、時代によって植物利用のあり方が異なることを重視したいと考えている。具体的な作業としては、植物苑に植栽されている品種のリストに基づいて、これまで各分野で蓄積してきた研究成果を突き合わせていきたい。植物に関するデータベースがいくつか公開されているので、それを用いながら、植物の利用法について分野横断的な検証をおこなう。

そのうえで、人と植物の関係に基づいた解説プレートの新たな作成を検討する。現状の解説プレートは劣化が進んでいるので、いずれにしても交換が必要である。この解説プレートの作成を踏まえながら、来苑者が目的に合わせて歩けるような導線を、コンパクトなガイドブックと苑内地図の作成によって紹介したい。

また、くらしの植物苑であえて植栽していないイネや小麦などの農耕植物をどのように紹介していくか検討する。農耕植物の多くは、植物苑の土地条件によって植栽できていない。しかし、人と植物の関係史をみていくには、本館展示とも関連した解説方法を検討する必要がある。

さらに、ヒョウタンやウリを加工した道具類や工芸品の保存と植物苑外での展示を検討していく。これによって、モノ資料と植物苑での生きた資料との関連が強化されると考えている。